第一章 第三話 救援その2
お待たせしました。
「ギィィッ!?
ま、まだ仲間がいたのか!?」
狼男は自分を刺した相手・ゼルを視界の端に捉えながら、その場に倒れそうになるが、まだゼルの大剣が背中から貫通している為それも出来なかった。
「グゥゥッ!?
…し、仕方ねぇ…こうなったら…!?」
「…?…終わってない?…」
「…!?ゼル!ソイツから離れろ!!」
ゼルは背中側に居たため解らなかったが、カートは狼男の左正面に居たため、狼男の様子がおかしいことに気付きゼルに離れるように命じる。それを聞いたゼルは狼男の背中から大剣を抜き始めた。
「ぐっ、グルルルッ!?
…き、貴様等も…道連れだぁぁぁっ!?」
「…!?ガァッ!?」
「!?ゼル!?…うぉっ!?」
狼男はどこにこんな力が残っていたのか、大剣が抜けた瞬間、ゼルをカートのいる方へ蹴り飛ばした。ゼルとカートはぶつかりその場に転がってしまう。
「…!?ゼル!?カート!?
…!?」
「グルゥォォォォォォッ!
…こ、これだけは…使いたく…なかった…が、し、仕方ねぇ…き、貴様等全員、オレ様の糧となれぇぇぇっ!?」
「…!?…自分の首を刺した!?自殺か…!?」
「…!?いいえ…違うわ。
反転しようとしているのよ!?」
そう、カミューの言うとおり狼男は残った左腕の爪を自分の首に突き刺した。まるて自殺をするかのように…。
「は(り)、反転って!?」
「…反転現象って言ってね、狼男が自分の生命力と引き換えに、生命力が尽きるまで止まらない、暴走状態のことよ!?」
…だか、ジュリアの見解はカミューのそれとは全く逆だった。
[反転現象]と呼ばれる、それは自分の生命力と引き換えに、無限の力を与える暴走状態にすることが出来る。
最も与えられる力は個人個人で違うが、それでも以前の数倍から十数倍になる。
「風よ!悪しき者を打ち払え!!風弾!!!」
ジュリアはカミューを担ぎ直し、狼男に隙を見せないように杖を構えると風弾の呪文を唱えた。
すると、ジュリアの周囲に風の塊が出現し、狼男目掛けて飛んでいった。
…が、狼男は左腕を振り払うように動かしただけで、飛んできた風弾を掻き消した。
「…くっ!?
ゼル!カート!!何寝てんの!?コイツをなんとかしなさいよ!?」
「くっ!ゼル、行くぞ!?」
「…!?…コクリ…!!」
ジュリアの叫びを聞きながら漸く起き上がった2人は、それぞれ武器を構えて狼男に対峙する。…だが、狼男は反転して暴走状態になった為、スピードも上がり2人の攻撃を易々とかわしていく。
それに相性も悪かった。カートの武器は弓矢で主に中・遠距離が一番効果を発揮するのだが、狼男は中・近距離を維持し時折飛んでくる矢は全て叩き落としていた。
ゼルの大剣も似たようなものだ。ゼルの持つ大剣は190cm前後あるゼルより若干短いぐらいな為、重量もそれなりにある。
ゼルはその巨体を生かして上手くその大剣を操ってはいるが、スピードが上がった狼男には簡単によけられていた。
「ギャッハッハッハッ!?
どうした、魔獣狩り(ハンター)共!?貴様等の力はそんなモノか!?」
「るっせぇ!?テメェこそ反転してるだけで、元の力はそれ以下だろうが!?」
「…ずるい…」
狼男の挑発をカートとゼルは効果がないと知りつつ攻撃をしながら受け流していた。
「…じ、ジュリアさん…お、俺のことは…はぁ、はぁ…良いから…2人の方へ…」
「バカっ!?アナタね、今はあたしが魔力で傷口からこれ以上出血しないようにしているけど、それを止めたら直ぐに死ぬわよ!?」
そう、ジュリアが言うように今はカミューの背中の傷から出血していなかった。カミューの背中をよく見ると、薄い碧色の光が傷口を覆っておりそれが蓋のようになり、それ以上の出血を防いでいた。
仮にジュリアが魔力を流すのを止めれば、一気に傷口から出血しカミューはそのまま出血多量で死んでしまうだろう。
「チィッ!!
(だが、どうする!?
アイツが来ればまだ勝機はあるが、少年の様子を見る限りこれ以上は保たない!!
…ヤツじゃねぇが、仕方ねぇか)
…ゼル!ジュリア!!賭けに出る!!!」
「…!?」
「カート!?まさか、あんた!?」
カートはそう言うと胸元から蒼く輝く小さなペンダントを取り出した。
それを見たゼルとジュリアはカートが何をしようとするのが解り、カートを止めるのだった。
<続く>
やっぱりキャラが増えすぎだったかも…
著者の思惑通りに動かず、勝手にフラグを作ってるし
…これ、収集付くかなぁ
ここまでお読み下さり、
ありがとうございました。
次回もお楽しみに




