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妹と入る銭湯!

全年齢向け

うーんと妹がうなる。

一緒に亜香里を引き上げた後、泉の周りを行ったり来たりしていた白い髪の美少女が近くに寄ってくる。

「×××!」

おぼれて意識を失い、ようやく目を覚ましたわが妹、亜香里は俺の顔をじっと見つめたかと思うと、頭を横に倒して周りを確認する。

「大丈夫か?」

はあ、とため息を一つ漏らし、目を細めて俺をにらむ。文句を言いたいようだ。

「夢じゃないのかー。」

かなり暗い声で呟く。亜香里の目に光がない。


しばらくどうしようかと悩んでいると、

「××××。」

何かを言いながら少女が林の中を指す。

「・・・・・・案内してくれるのか?」

寝たままの亜香里と目を合わす。

「そうじゃない・・・・・・? はい。」

亜香里が寝たまま両腕を真っ直ぐ伸ばす。

「・・・・・・まったく。」

亜香里をおんぶして彼女についていった。




彼女の案内によって、村に着いた。

村人は彼女と同じように、人間のように見える。

着くや否や、村人がわらわらと集まってきた。村の年老いたお婆さんがその集団の中から出てくる。

「×××。」

「あー、えっと。」

言葉が分からないということを伝えるにはどうすればいいのか言い淀んだ。白い髪の少女はどこかに行ってしまった。

しかし、

「もしもし・・・・・・これでわかりますかな?」

おばあさんの言葉を理解できるようになった。

「ええ。急に・・・・・・。」

「ほっほっほ。それはよかった。」

お婆さんが高らかに笑う。

「これは魔法というもので本来はモンスターに・・・・・・おやまあ、濡れているじゃないか、お嬢さん。これ。すぐに銭湯へ案内してやりなさい。」

亜香里のくしゃみを聞き、銭湯を勧めてくれた。




「お、お兄ちゃん・・・・・・。一緒にお風呂に入ってくれない?」

俺の妹の亜香里が顔を真っ赤にしながら俺の腕を引っ張って女湯に引き込もうとしていた。言葉からは恥ずかしさが伝わってくるが、引っ張る力はかなり強い。

「亜香里。別にお兄ちゃんは構わない。なぜなら亜香里とは小学五年生ぐらいまで一緒に入っていたからな……。」

亜香里は引っ張る力を緩めない。だんだんと女湯に近づいてきちゃう。

「でもここは他の女の人も入ってくるだろ!? それは異世界とてまずいって!!」

人か分からないのも入ってくるかもしれないけどさあ。湯気を肌で感じる。

「ちょっと中を見てくる。」

そういって亜香里は銭湯の中に向かう。

「今は誰もいない! し、なにが入っているか分からないところに入りたくないよう。」

涙目で訴えてくる。



無言で妹と背中合わせで風呂に入る。無言の方が気まずい。いや、意識など断じてしていないが。

こっちみないでよとか言われたが、一緒に入れって言ったのは亜香里の方だろう?

湯加減はもといた世界と変わらない。

ふぅと体の真ん中からあふれてくる心配を吐き出す。

気持ちいい。

がら。

突如聞こえてきた入り口からの音に驚く。亜香里体も体をびくっと震わせたのが背中越しに伝わってきた。

「入ってき――――――!?」

「しっ!!」

「こ、こんにちは~。」

亜香里が入ってきた方にぎこちない挨拶をする。おいおい、なに挨拶などしているのだ、早く出ていってもらえ、と心の中で思いながら、妹の小さい背中に身を縮めて隠れる。

「こんにちは。」

普通に挨拶が返ってきた。

「私の言葉分かる?」

その言葉に不安がっているニュアンスが伝わってくる。自分の母国語だと言葉の表情まで理解できるのか・・・・・・。いや、これも魔法のおかげかも。

そんなことを考える。

「あ、はい。分かります。」

亜香里がどぎまぎしながら答える。

「ほんと? よかったあー。さっきはごめんね。モンスターとの会話魔法がこんなことに使えるなんて知らなくって・・・・・・さすが長老だなー。あ、長老っていうのはね……。」

声が近づいてくる。

「だれか××××。」

途中から言葉が分からなくなった。今のは妹の後ろにいる人物・・・・・・つまり俺に向けての言葉な感じがした。

「×××。」

沈黙が訪れた。

彼女がその言葉を言ったっきり声がしない。しかし、振り向くこともできない。

「あかり・・・・・・。」

か細い声で妹の名を呼ぶ。

ぽちゃんと湯船が音をたてる。水面に入ったモノの量が音と波で伝わってくる。

少女が入ってきた?

我慢の限界の末、ダメだと分かってはいるが、ちらりと横目で後ろを確認してみる。

青。

深い青の目が目に入る。

じっとこちらを見ている。眉を寄せ、睨んでいるように見える。

青い目と視線を五秒ほど合わせる。

「えっとー・・・・・・。」

青い目がかっと見開いた。

「×××! ×××!!」

彼女が肩まで浸かっていた体を起こして大声で叫ぶ。

「ななななんでこっち向いたのお兄ちゃん!」

続けて亜香里の声も響いた。


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