にわ
目を開けたらそこは広い部屋だった。
「だうたやや」
声を出そうとするがうまくしゃべられない。知らない天井だと言いたかったのに……
これはベビーベッドだろうか。その上に横たわる我輩は赤ん坊のようだった。回りを見渡すと、20畳くらいの部屋に高そうな絵画や、ツボ等の調度品が置かれており、部屋の隅にはメイドが控えていることから、容易に金持ちだと想像できる。
あ、我輩王族だったね!ガチャのせいか……まぁいいや!
早速自分を鑑定してみる。
アルカード・フォン・ナハト【ナハト帝国第一王子】
種族:吸血鬼(君主級)
0歳
EXP:0/20 Lv1
HP:20/20
MP:100/100
STR:5
DEF:4
AGI:4
DEC:6
INT:20
CHA:255
LUC:255+++++
エクストラユニークスキル
【髪の願い】【神運】【覇王】【神器の創造人】【君主級吸血鬼】
ユニークスキル
【髪の救い】【武神】【魔導王】【限界突破】【王の系譜】
エクストラスキル
【武芸百般】【至高の料理人】【異世界転生必須スキルセット】【全状態異常耐性】【全属性耐性】
スキル
【召喚術LvⅩ】【夜目】【隠密LvⅩ】【念話】【テイム】
【君主級吸血鬼】
君主級吸血鬼の証。
君主>真祖>始祖>長老>貴族>一般>屑鬼
の順で強く、偉いとされる。君主級吸血鬼は人間が目にすることはないであろう伝説のような存在。他人を吸血鬼化でき、血液からは使い魔を作り出し、様々なモノに変身できる等能力は多岐にわたる。
また、貴族以下の吸血鬼に存在する神聖魔法が弱点等の弱点が無い。
【王の系譜】
人を心服させやすくなる。また、魅力が1.5倍になる。声が大きくなる。
【限界突破】
ステータスの限界値以上に成長できる。+で表示される。しかしどれだけ成長しようと+++以上には到達したものはほぼいない。+を持っているものといないものでは大きな壁がある。
ポイント割り振りしたはずなんだけど……あ、もしかして最大値のことかな?赤ん坊がコイン曲げられたら怖いしな。【変身】は我輩の特殊能力だ。様々なモノに変身できる。霧とか狼とか色々だ。
我輩美形だと思っていたがカンストとは恐れ入る。白馬の王子様()になれるかな?王子様だし。
我輩元いた世界だと真相だったのにランクアップしてるね!君主級なんてドラキュラさん位しか知らなかったけど。君主級だと不老半不死みたいなチートなんだよな、不老といっても全盛期までは成長するし、老衰や老化って概念がなくなるだけだけど。
運がやばい。+++って到達できないんじゃなかったのか。
そんなことを考えていると、イケメンが我輩の聖域に近づいてきた。
「アルカードか!昨日ぶりだな!」
我輩の前でイケメンが破顔しながら喜んでいる。
我輩の父親だと思うが、一応鑑定してみる。
レオン・フォン・ナハト【ナハト帝国国王/闇炎の支配者/魔王】
24歳 Lv255
種族:吸血鬼(君主級)
HP:65535/65535
MP:65535/65535
STR:255++
DEF:242
AGI:255
DEC:240
INT:255+++
CHA:255+
LUC:188
エクストラユニークスキル
【魔王】【君主級吸血鬼】【???】【???】【???】
ユニークスキル
【武神】【魔導王】【限界突破】【闇炎の支配者】【王の系譜】【???】【???】
エクストラスキル
【武芸百般】【HP自動回復】【MP自動回復】【限界突破】【深淵魔法】【炎獄魔法】【狂化】【状態異常無効】【全属性耐性】【即死無効】
スキル
【魔法強化Ⅹ】【強化無効】【変身】【吸血】【仁王立ち】【指揮Ⅹ】【鼓舞】【幻影魔法Ⅹ】【神聖魔法Ⅹ】……etc
え?親父強くね?魔王並みじゃね?いや、魔王だったわ。称号に書いてあるし。
なにこのスキルとステータス……
親父の方がイケメンなのかよ!
「ん?俺を鑑定したのか……?気のせいかなぁ」
やばい!バレそう!魔王だけあって第六感も優れてると言うことか……
いつのまにか抱き上げられていたが気にすることもなく親父の実力をひしひしと感じていた。
するといつの間にか後ろに綺麗な女の人がいた。
銀髪ロングで目は赤く胸は女性であることをこれでもかと言うくらい主張している。その白く透き通った肌色は黒を基調としたドレスがよく似合っている。
「あらあら、アルカード起きてたのね。おはよう。あなたもおはよう。昨日はどうだったの?」
母親と思わしき女性はそういって微笑んでいる。
「おうっクリス、今日も綺麗だな!昨日は元老院の糞爺共がうるさくて結局和平交渉は先送りだ!くそったれの爺共め!城内に敵が潜んでるとか訳のわからないことを言い出しやがって!」
「まあまあ怒らないの、お爺ちゃん達は別に悪い人じゃないんだから、ただちょっと頑固な所があるだけなんだよ?ちゃんと話せばわかってくれるはずよ。それより、今日もかっこいい……血を貰ってもいい……?」
そこから二人のラブラブな会話が始まったが、唐突に来た睡魔に身を委ね眠ることにした。
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時は過ぎ、我輩は12歳の成人の義を受けに元老院まで来ている。
元老院には最初嫌なやつらの集まりだと思っていたが、実は良い人たちばかりで、親父の暴走を止めるのに四苦八苦している苦労人の集まりだということがわかってからここのお爺ちゃんと達とは8歳の頃から茶飲み友達になっている。
「グランお爺ちゃん、我輩が来たよ!今日の茶菓子は和三盆を使用したもろこしだよ!」
グランお爺ちゃんは俺の実のお爺ちゃんだ。見た目は20代前半のイケメンなのだが、実年齢は4桁に及ぶらしい。
「これこれアルカード、今日は成人の義じゃろ?ちゃんと成人の義をうけんか、お茶はそのあとじゃ」
グランは呆れながら魔方陣を指差した。
「わかったよおじいちゃん!」
成人の義とは吸血鬼に限り行うものではなく、人間でもやるらしい儀式で、生涯の相棒となる使い魔の召喚を行う。
召喚術での使い魔との違いは、同化できるかできないかの違いのみだが、これがまた大きい。
たとえば、STR50の使い魔が居たとしよう。召喚者のSTRも50だとすると、召喚者の筋力は75になる。計算式は、使い魔の数値をそのまま%にして召喚者のSTRにかけたぶんだけあがる。なのでこの場合は、50×1.5になり、75になると言うわけだ。さらにカンストのステータスがある場合は同化時に限り上限値を突破することができる。
使い魔にもランクがありⅩを筆頭にⅠランクまでだ。
ランクは完全ランダムで平均的なランクはⅣ位だ。一説によるとLUKが関係しているらしい。
では早速召喚しよう。
「んっと、我輩の力になる使い魔こーい」
詠唱するもしないも自由だが、無言よりはましだと魔方陣に魔力を込めた。
途端に魔方陣は強烈な光を放った。
「なっ!これは……!?」
なにやらおじいちゃんが驚いているが、我輩の運だとこうなるのかなぁと大体想像していたので我輩は驚かない。
光が収まり、現れたのは8人の使い魔達だった。