二次元って最高だよな!
皆さんどうもこんにちわ。私立雪乃沢学園高等部2年。緑川卓弥といいます。いや、もしかしたらこんばんわ。かもしれません。
突然ですが皆さん。二次元というものをご存じでしょうか?いや知らないはずはありませんね。
そう二次元、二次元というものはすばらしい。二次元のキャラクターは俺に文句をいってこない。
二次元の女の子はとても可愛らしく、黒い心を一切持っていない。嫌われる心配もなけりゃ
悪口だっていわれない。
バンッと机に手をあてる。いやたたく。
「そう!!!やはり二次元の女の子は最高だぜ!!千乃理ちゃぁーーん」
ベットの上にある抱き枕に抱き着く。一日の疲れを癒すため、至福の時間を味わうのだ。
誰にも邪魔されない俺のテリトリー。俺と千乃理ちゃんの愛の巣。
俺はカーテンをしめ、電気を消した。ニヤリと気味の悪い、いや気持ち悪い笑みをうかべ、
抱き枕に顔を近づける。
「千乃理ちゃんごめんよー!最近ずーっとかまってあげられなくてさ。俺はわるくないんだよぉ!」
抱き枕に抱き着き、しゃべりかけるという行為はとても常識からかけ離れているだろう。
しかし、俺は気にするということをこれっぽっちも感じていない。いや恥ずかしいという感情がない。って表現するとかっこよくない?
しかしそのテリトリーに無理やり耐性のない他人を干渉させてしまったらどうだろうか、同じ屋根の下という表現は家族に対しておかしいかもしれないが…同じ家に住んでいる以上、その影響はどこかで受けてしまうだろう。
「うっせぇよ!!兄貴!!」という声と同時に自室のドアがバンッと開かれる。
栗色の髪。ポニテール。いかにも元気が取り柄。長所は明るいところ、ポジティブなところ。がとてもお似合いな少女が入ってくる。
俺のテリトリーに早くも侵入者が、こうして平和且つ至福の時間が壊されるのだった。完。
そこには俺の三つ下の中学生。従妹のメスガキこと、瑠々が角材を持って立っている。というよりもあれは構えているといった方がいいのだろうか?
「キモイ!ウザイ!うるさい!くたばれ!!」
メスガキ(瑠々)は思い切り腕を振り上げ、重力に従って腕を振り下ろす。
「うおらぁぁぁぁぁ!」と女の子らしからぬ大声をあげる。
瑠々ちゃん?そんな汚い言葉使い女の子らしくないよ?そうこのアニメキャラのように
って、あれ?角材に俺の顔が近づいて…って振り下ろしてきていやがっている!!
傍らから見ればそれは暴力というよりか、駆除。排除ともいえるだろう。
「あ、あぶねぇ!!」
間一髪俺は右腕で防ぐが、ゴスッと鈍い音が俺の部屋に鳴り響く。右腕に鈍い痛みが走る。
「ぐぇぇぇー!!痛ったぁーい!」
とても女々しく弱弱しい声をあげる。しかしこれで終わる俺ではない。俺は顔つきをかえた。
すかさず俺も反撃の意思を見せる。
俺の至福の時間を邪魔しやがって。お兄ちゃんカチンと来ちゃったもんね。
「うがぁーーー!このメスガキィ!なにしやがる!ぶっ飛ばされてぇのか!!」
俺の拳がメスガキ(瑠々)の頭を横切る。
「キャッ」っとメスガキは短い悲鳴をあげる。
先ほどまでの俺とは打って変わってまるで別人のような言動を放った。
「フン、俺は女には手をあげないからな勘弁してやろう」
俺は頭のメモ帳に今の言動をペーストした。これは使える!かっこいいぞ!
と考えていた矢先に。
「ごらぁぁぁぁぁ!!」
瑠々のケリが…あれ?目の前がぼやけて…視界が反転して…
「それは…反則だよ…」
バタンと音を立て俺は倒れる。そう瑠々の右足は見事に俺の股間にクリーンヒット。
効果は抜群だ。
数時間後俺は柔らかな感触を感じ、目が覚めた。
「これは?」
視界が真っ暗で柔らかい?さらにいい匂いが…
「ってなんじゃこりゃぁ!?」
俺は顔を上げる。
「あ、お兄ちゃん起きた?」
「いや!起きたけど!これなんだ!」
そう俺は瑠々の膝の上、膝枕?うつ伏せは膝枕というのだろうか?をされていた。
「お前兄妹ですることじゃないだろう!?」
俺はあわてて瑠々から離れ距離を取る。
「いやいや従妹同士でしょ?」
と満面の笑みで瑠々はいった。確かに従妹同士ではあるが同じ家に住み、実の兄妹のように
育てられてきたのだ。俺の中で兄妹というレッテルははがれることはない。
俺はとっさに話をかえる。
「お前さっきまで、俺にキレてただろ。なんでキレてたんだだよ。すげえ痛かったからな!」
「いやはやその節はすいませんでした。」
テヘッと擬音が聞こえてきそうな感じで悪びれた様子もなく語ってくる。
「でもお兄ちゃんも悪いからね!気持ちわるい声が、隣の部屋までまるぎこえだよ!!」
確かに俺も悪かったのかもしれない。
「途中お兄ちゃん外のお兄ちゃんになりかけたよね?偽っている方のお兄ちゃんに。いつも
そうならいいのになぁ」
瑠々は子供が親におねだりするように俺に懇願してくる。うぜぇ…
「とにかく俺は家くらい趣味を爆発させてえんだよ。」
俺は自分を偽っている。
先ほども言ったが二次元、アニメそういった類は大好きだ。しかしそれを隠して学校生活を過ごしている。
アニメがいつから好きだ!などの明確な時間は思い出せないが、ずっと隠してきた。
俺は金色の髪(瑠々にそめてもらった)をかきあげ。ピアスをはずす。そう自分で言うのはなんだが学校ではリア充の部類だろう。(彼女はいないが)
そして俺は瑠々いった。
「俺は絶対にオタクを隠し通すんだ!!!」
大声でさけんだ。近所迷惑もいいとこだ。実際に聞かれていたら困るが…
家でもそうしてくれるといいんだけどね…とつぶやきが聞こえるが俺は気にしない。外にバレなければいいのだ。
そう俺はオタクを隠し続ける。何度も自分に言い聞かせ日常生活でミスをしないよう改めて
心に刻んだのだ。