憧れの暗黒騎士になる予定だったのになぜか農作業をすることになった俺のサクセスストーリー
さぁ、ついにやって来ました。異世界に。
なかなか入り口が見つからずに本当に苦労した…。
この場所に来たかった理由はただ1つ「暗黒騎士」になりたかったからだ。
ダークで強い暗黒騎士。こんなにカッコいい職業はない!
ワクワクとドキドキを胸に秘め、俺は最寄りの職業案内所に向かった。
「あっすいません。暗黒騎士の職業に就きたいのですが…」
俺は受付のお姉さんに聞いてみた。
「暗黒騎士ねぇ…。あなた馬に乗れるの?」
「いいえ、乗れません」
「じゃあ無理よ」
その時、俺の夢は脆くも打ち砕かれた。
そう言えばたしかにそうだ。暗黒騎士はたしかに馬に乗っている。そんな初歩的なことを俺は考えてなかった。
「暗黒関係の職業に就きたいの?」
悲しみに沈んでいる俺を見かねて、お姉さんはそう言った。
「あっはい。他に何かありませんか?」
「暗黒歩兵ってのがあるけどどう?」
お姉さんは微笑みながらそう言った。
暗黒歩兵……。なんだか良い響きだ。暗黒騎士もいいけど、暗黒歩兵の方もなんだかカッコいいな…。
「あっ俺、暗黒歩兵にします」
少し悩んだ末に俺はそう決めた。
「OK、それじゃあ、この紹介状と書類をもって魔王軍の前線基地に行ってみて」
「えっ……。魔王軍?」
「そうよ。たしか、この近くに魔王軍の遊撃部隊の基地があるから行ってみて。きっと良い答えをもらえるわ」
「あっはい。ありがとうございます。言ってみます」
俺はお姉さんから渡された紹介状と書類をしっかりと持って魔王軍の基地へと向かった。
「こんにちわ~!」
「はい、どなた?」
強そうなゴーレムが出てきた。
「あっ……。魔王軍の面接を受けに来たんですが……」
「あ~面接ね。よく来てくれたわ。最近、求人だしてもあんまり来てくれないのよ。ちょっと待ってね。隊長を呼んでくるから」
「優しいゴーレムさんは基地本部の建物へと入っていった」
「お~君か!!今日は面接に来てくれてありがとう。俺が魔王軍遊撃隊の隊長をしているゴルヌスだ。よろしく!」
盗賊のような顔をした男は笑顔で俺にそう言った。
「はい、私はユキオスといいます。志望は暗黒歩兵です!こちらこそよろしくお願いします」
そして、面接が始まった。
「ふ~ん、君最初は暗黒騎士になりたかったんだね」
俺の履歴書を見ながらゴルヌスはそう言った。
「はい……。馬に乗れなくて……」
「あ~それ、致命的だね。でも、暗黒歩兵の方がやりがいがあるよ」
「暗黒歩兵って具体的に何をするんです?」
俺は思いきって聞いてみた。
「今はみんな農作業してるよ。最近、勇者来ないから」
「えっ!?農作業!?勇者と闘ったりしないんですか?」
「闘いたくても勇者が来ないんだよ…。勇者呼んできてよ。でも農作業も楽しいよ?」
「はぁ…。そうですか。ここでは何を作ってるんです?」
「魔界大根さ。無農薬でおいしいよ」
「えっ!無農薬なんですか!それはすごい!!実は私、転生する前は農家だったんです。ちょっと作業風景を見させてください!」
「うん、いいよ。もうキミ採用だね。これから畑を見に行こうか!」
こうして俺の異世界農業ライフが始まった。
魔界大根の栽培方法はけっこう難易度が高かったが今ではコツもつかみ、良い感じで収穫の日を迎えることができた。
暗黒騎士にはなれなかったけど、この世界に来ることができて本当に良かった。
今では心からそう思ってる。




