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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第三章 決着
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Conclusion:15 火薬と獣の終わりの詩

前回でお互いの詠唱を出してしまった物だから、今回は少し苦労しました。

『さぁ、どこからでもかかってきなよ!』

「ええ、お望み通りに、ぶち抜いてあげ!」


 アタシの持つ二丁の銃、M92Fが激しく火を吹く。


『甘いね! そんな物はもう当たらないよ!』

「でしょうね……でも、これなら? 【生成(メイキング)・M84】!」

『うわ! ま、まぶしい!』


 アタシが投げたそれは、テイムの目の前で眩く炸裂した。M84、ごく一般的な閃光弾だが、それでも一瞬の隙を作るのには十分だった。


「【生成(メイキング)・M67】!」

『のおわぁ!』


 次に投げたのは手榴弾。別名アップルグレネード。爆風よりも、破裂した際の破片で相手を殺傷するタイプの投擲弾だ。

 しかし、このラッシュでもテイムには大したダメージを与えることは出来ていないだろう。


『こんの…………! 行け! 【黒鳥の刺連撃(ブラックバード・スラスト)】!』

「くっ! 【銃生成(ガン・メイキング)・AK47】!」


 テイムが放った、黒い鳥達の嘴による連撃を、生成した突撃銃をもって応戦する。


「【生成(メイキング)・M84】!」

『それはもう効かないよ!』


 投げられた閃光弾を弾こうと前に踏み込んだテイムを見て、アタシはニヤリと口の端を持ち上げる。


「かかったわね! 【クレイモア】起爆!」

『がっ…………っ!』


 彼が踏んだのは、クレイモア。『大きな剣』という意味を持つ指向性対人地雷だ。

 その凶悪な爆風に、テイムは吹き飛ばされる。


「流石のアンタでも、今のは堪えるらしいね」

『くっそ、怒った。僕もう怒った。出てこい! 【黒竜(ジャバウォック)】!』

「ようやく出したわね! 喰らいなさい! 【生成(メイキング)・トマホーク】!【生成(メイキング)・ハープーン】!」


 翼を広げた黒竜へと、二つの対艦砲が迫る。


『無駄だよ! 黒竜(ジャバウォック)、【火焔の息吹き(バーン・ブレス)】!』


 しかし、黒竜の炎の息吹きが、その二つのミサイルを打ち落とす。

 だが、それもまた囮。


「【銃生成(ガン・メイキング)・ミニガン】!」


 生成したのは、ミニガンとは名ばかりの、M134機関銃。両手持ち。通称『無痛ガン(ペインレスガン)』と呼ばれる、毎秒100発という凶悪な連射性能を持つ機関銃。


 それを躊躇い無くテイムへと引き金を引く。


『くっ! 【魔黒象(イーヴル・エレファント)】!』


 咄嗟に彼が呼び出したのは、大きな黒い象が三頭。

 通常の武器なら攻撃は通らない。それはミニガンもしかり。

 だが、


「迫撃砲、発射!」


 アタシの背後に召喚されていた迫撃砲が火を吹く。


『!? いつの間に!?』

「始めからよ、始めの詠唱から」

『なら、僕だって! 【巨人(ジャイアント)】【鷲獅子(グリフォン)】!』


 追加して喚ばれたのは、巨大な化物達。

 恐らくどれも、黒竜並の耐久度と強さを誇っているはずだ。


『さあ、これで終わり(チェックメイト)だよ! 叩き潰せ!』


 圧倒的質量が迫り来る。避けられる隙は無い。不可能だ。でも、だからこそ、今が一番の好機。

 自らの勝利を確信したとき、人は最も気が緩む。それは魔人とて同じことだ。


それ(チェックメイト)は、こっちの台詞よ!」


 今だ、穿て。


「穿ち貫け【PGM ヘカートⅡ】!」


 そして、轟音が鳴り響く。




『がふっ…………ぇ?』


 血を吐き、テイムは膝をつく。


『なんだよ、今のは…………どこから?』


 自分の腹に、背中から大穴を開けた原因を探そうと、彼は振り返る。そこには、役目を果たし、消え行く途中のスナイパーライフルが。


『あれは…………』

「…………対物ライフル、PGM ヘカートⅡよ」


 テイムが声のした方を見遣ると、そこには片足を引き摺り、片腕を押さえたサナの姿があった。


『なんで…………生きてんのさ』

「それは………こっちの、セリフ………」


 サナの右手には、一丁の銃が握られている。


『ああ、僕は負けたのか…………』

「どっこいどっこいよ。アタシだってキツい」

『2つ、聞いていいかい?』

「何よ」

『やっぱりあれも、最初から?』

「ええ、その通りよ。戦いは、頭を使わなくちゃね」

『怖いなぁ………見てよ、こんなに大穴開いちゃってさ』

「人間なら真っ二つになってる所よ……」

『じゃあ、最後。どうやってアレ、回避したんだい?』

「簡単よ。あれを見なさい」


 そう言われて見た先には、それぞれ、体のあちこちを消失させた魔獣達が。


『なるほど、爆風か』


 そう、爆風。

 自分に迫り来るそれらを、サナは大量の爆発物をバラ撒き、吹き飛ばしたのだ。


『それでよく、その程度で済んだね』

「自分の能力だって事と、神騎としての補正よ」

『ちえ、羨ましいなぁ………』

「さあ、これで終わりよ………」


 そう言って、サナは手に持つ銃、【デサートイーグル50AE】をテイムに向ける。


『そうだね…………でも!』


 一度顔を伏せたテイムが顔を上げると、そこに張り付いていたのは笑顔。

 それも、狂気じみた何かに染まった笑顔。


『君も、道連れさぁ!』

「なっ!?」


 彼の胸、核の部分が激しく輝き始める。


『〈奏でし獣〉テイムが贈る、一世一代の大花びさぁ!』

「くっ!」


 サナは踵を返し、走り出す。

 遠く、なるべく遠くへ。

 しかし、傷付いた足が上手く動かない。縺れる。倒れる。


「やだ……アタシは…………私は………死にたく…………―――」


 そして、紅い破滅の閃光が周囲を包み込んだ。




えっと、あの…………「ラストがヘカートⅡの狙撃とか、どこの沢城さんだ」とか言わないでくれると助かります。


 べ、別にあれから取った訳じゃないですよ? いやホント。

 あ、でも、自爆は取ったような取ってないような…………



 それはそうと、この間読んだ本のせいでカタカナ表記の「アタシ」がオカマに見えて仕方がない


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