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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第三章 決着
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Conclusion:9 罰


今年中に終わるかなー、って思ってた時期が僕にもありました。

 全てに一段落が着き、大介さんからの提案で、オレ達は久し振りに登校することになった。

 曰く『学生の本分は勉強だからね。

 ……………それに、見ておいた方がいい。僕達魔人が犯している罪と、それに課せられた罰を』との事だ。


 そんな、引っ掛かる事を聞かされながら、オレ達はおよそ一ヶ月振りに登校することになった。


「あー! 久し振りだね、五人とも」

「そうだな、三年の先輩も居なかったみたいだし」


 案の定、久し振りに登校したオレ達兄妹、ヒナタ、ルル、梶原に質問の波が怒濤の勢いで襲い来る。

 それを誤魔化すために苦笑いしながらあしらっているとき、ふと、違和感に気付く。


 ―――いつも通り過ぎやしないか?


 一年と中等部の後輩二人が消えたんだ。

 もしかしたら、まだ休んでるとか、そう思っているかも知れないが、それでも、一切話題がでないのはおかしい。


 この違和感にはヒナタ達も気付いたようで、少し怪訝な顔をしている。


「まあ、まだわたくしの弟はしばらく出てこれませんけど…………」


 何を思ったか、ルルがそういうことを言った。

 本来の正しい反応なら、ここでその理由を聞いたり、心配するはずだ。本来なら。

 しかし、


「え? インデリアさん、弟なんていたの?」


 その反応は、全くの予想外だった。

 一瞬絶句したルルだったが、すぐに取り繕う。


「え、ええ。見た目は女の子のようですから、妹と思われているかも知れませんね」

「へぇー! それは見たいね!」


 だが、それですらも意味を成さない。

 この学友達の反応は、まさか…………。


「インデリアさんの弟かぁ…………一度でいいから見てみたいな…………」


 やはり、そうなのか…………。

 キースは何度もこの教室を訪れている。彼らが知らない訳が無いのだ。

 それなのに、彼等彼女等はまるで知らないような口ぶりだ。


「これは…………」


 今、オレ達の心中は『何故?』で埋め尽くされている。

 忘れられているという悲しみより、その事象への疑問ばかりが溢れてくる。


 何故、忘れている?

 何故、消えている?

 何故、あたかも初めから居なかったような物言いなんだ?


 遅れて、悲しみのような、恐怖のような、怒りのような、訳のわからない感情の嵐が吹き荒れる。


 ルルやヒナタ、梶原もマルカも顔を青ざめさせている。きっと、オレも同じような顔をしているだろう。


「ど、どうしたの?」


 クラスメイトが心配そうな声をかけてくる。

 オレはハッと気を取り直し、返答する。


「だ、大丈夫、問題ない」


 これは佐伯先輩と話し合って見なければ…………。




 放課後、オレ達は集まり、話し合うことにした。


「剣道部の方にも話を聞いてみたけど、やっぱり二人の事は覚えていないらしい。…………いや、あれは知らない、と言った方が妥当な反応だった」


 やはり、同じことが起きていた。

 つまり、誰の記憶からもキースと神谷が消え去って、そして、いなかった事になっていた。


「カルくん、これが………」

「ああ、多分、これが大介さんの言っていた罰なんだろうな」


 オレの言葉に、全員が俯く。

 罰、か…………。じゃあ、オレ達の罪って、なんなんだろうな。

 オレは確かに、罪を纏うと言って魔人へと成る。だけど、オレの認識では、同胞を喰らう事への罪だと思っていた。


「やあ、見てきた様だね、僕達魔人に課せられた罰を」


 いつのまにか、目の前に大介さんが立っていた。


 その言葉に、オレは返す。


「罰?」

「そう、罰」


 そう言って頷く彼に、いつもの笑顔はなかった。





 そして彼は語る。オレ達の、罪と罰を。





ちょっと今回、少し中途半端ですいません。


罰と罪を併せて説明したかったので

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