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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第三章 決着
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Conclusion:2 修行

初めての能力説明

頑張りました!

 竹井さんがこの町にやって来て二日が経った。オレとマルカはその日、竹井さんが宿泊している宿を訪ねていた。


「竹井さん」

「大介でいいよ、桐久保くん」

「じゃあ、オレもカルマで」

「それで、なにか用かな?」


 大介さんがカップに注いだコーヒーを差し出しながら、尋ねる。


「オレに、修行を付けてくれないか?」

「修行?」

「今のままじゃ、親父…………〈代行者〉に勝つことができないから、もっと力をつけたいから、あんたに頼みたい」


 ふむ、と大介さんが考え込む。


「修行、という考えは悪くないけど、明確や理由が無くては意味がないよ?」

「だから、〈代行者〉に勝てるだけの力を…………」

「それじゃアバウト過ぎるよ。もっと具体的に」


 そう言われて考え込む。

 彼の元で修行して、何を得る? 格闘術? いや、我流でここまで来たのだ。習っても今更だろう。

 となれば、冥道に変わる術か。


「オレに、術を、魔術を教えてくれ」

「術、か」


 大介さんがなんとも言えないような顔をする。


「ダメか?」

「いや、教えるのは構わないんだけど、どう教えたものかと思ってね」

「どう言うことだ?」


 なぜ彼が術の修行で悩むのか理解出来なかったオレは、大介さんに問う。


「君は、魔術あるいは魂術を使うとき、術式と言うものを組んだことはあるかい?」


 逆に問われて、考えて見る。


「そういえば、無いな」

「この世界の術は、マンガやアニメみたいに複雑な術式や魔方陣を余り必要としない。大型の術に少し使うくらいだ」

「…………つまり、どういうこった」


 まだ上手く飲み込めていないオレに、大介さんはいいかい? と、前置きをして話し始める。


「魔術や聖術、魂術には屍魔人の冥道という例外はあるけれど、基本的には決まりなんか無いんだ。それらは、術者の望むままに変化する」


 ほら、と彼は掌に黒い火の玉を作り出して見せる。


「今のはね、本来あり得ない黒い炎というものを、僕のイメージ通りに魔力を練って作ったんだ」


 そう言って笑い、オレへと視線を向ける。


「だからほら、君のハンティング・イーヴィル。あれは君の『魔人を滅ぼす』という願いに呼応して発現した(もの)なんだ」


 その説明に、オレはなるほど、と頷く。


「つまり、イメージが大切と言うことなんだな?」

「それはそうなんだけどね。やっぱり何事にも練習は必要だよ」

「まあ、確かに慣れた物の方が使いやすいし」

「それだけじゃなくて、最適化の意味もある。やっぱり使えば使うほど、燃費は良くなるよ」


 ふむ、と考え込むオレに、彼は声をかける。


「だから、君が新しい力を求めると言うのなら、潜ると良いよ。君の深層心理に」

「深層心理?」

「さっきも行ったでしょ? 術は、術者の望み通りになるんだって。君が今、どんな能力を欲しているのか、自分の目で見てくるといい」

「それでなにか変わるのか?」

「論ずるより実践だ。何せ、屍魔人は不明な所が多い。つまり裏を返せば、それは可能性(ポテンシャル)の塊なんだ。大丈夫、潜るのは手伝ってあげる」

「そうか…………わかった、頼む」


 オレがそう言って頭を下げると、大介さんが困ったように笑いながらこう告げた。


「それはいいけど、彼女、起こしてあげなよ。じゃないと、潜っても意味が無いからね」

「あん?」


 振り向くと、マルカがベッドの上で鼻提灯を膨らませていた。


「…………」


 指先に魔力を込める。魔人モードではないので微々たる物だが、今はそれで十分。これは魔術だ。名前は…………そうだな、


「【起床指打撃(おきろボケナスが)】!」


 ズバァン!

 そんな音を響かせたデコピンにより、マルカは飛び起きる。


「あいたぁー! な、なんだ今のは!」

「デコピンだ。そんなことよりマルカ」

「そんなことで済まされる威力じゃなかったぞ!?」

「いいから、ほら、成るぞ」

「え? なぜ?」


 キョトンとした彼女に、オレは無表情でデコピンの形にした手を向ける。


「お、おお落ち着けカルマ! その魔力量はちょっと洒落にならないから! わ、わかった、成る! 話聞いてなくてごめんなさい!」

「分かれば宜しい」


「「魔人変躯(イーヴィル・トランス)」」


 そして魔人となったオレは、椅子の上に座る。

 すると、大介さんがオレの姿を見みて頷く。


「やっぱり、いつ見ても屍魔人(しかばね)白髪紅眼(はくはつこうがん)は綺麗だね」

「そうかね?」

「隣の芝生は青く見える、ってことさ。僕にはその髪も眼も無いからね」


 そう言って、彼は座るオレの頭に手を伸ばす。


「それじゃ、行っておいで。僕が送るから、君は目を瞑ってて」


 言われた通り、オレは目を瞑る。


「それじゃ、行ってらっしゃい。【心理の門(メンタル・ゲート)】」


 そして、オレとマルカの意識は、深く沈んで行くのだった。





『リンク・スタート!』

『言うと思ったよマルカ!』

『やっぱこれかなーって』 

「いや、君たち真面目に頼むよ?」


 そして今度こそ、沈んで行くのだった。






『バースト・r 『言わせねえよ!』




多分、次回は初の本格的修行になる…………かなぁ?

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