Resolution:END 決戦準備
なんか少し短いです。
オレ達は、神谷を守れず、キースを救えず、己の無力を嘆いた。
いつしか涙は枯れ、声は掠れ、心は磨り減り、そして感情は燃え上がっていた。
―――魔人を滅ぼす。
皆から託され、己の願いとしていたそれが、オレ達全員の願いとなっていた。
大切なものを、愛するものを奪った、魔人を滅ぼす。
オレは力を磨いた。
マルカの諫言も無視して、半ば自らを痛め付けるように、魂を、魄を削りながら。そのせいか、何度か倒れもした。
今、オレがこうして話して休めているのは、ヒナタやルルが泣きながらオレの看病をしていたからだ。もう誰も亡くしたくないと。そう泣きなが、オレを止めてくれた。
―――あれから、二ヶ月が経った。
涙は既にもう枯れた。
魂魄も十分に喰らった。だが足りない。まだ、親父に勝てる気がしない。
そんな時だった。
『彼』が、オレ達の下へやって来た。
見た目は平凡で、線も細く、まさにモブキャラと言えるようなその少年からは、しかし、得も言われ得ぬ威圧感のような物を感じた。
「あなたが、桐久保カルマさん、ですね?」
「ああ」
「初めまして。僕は人魔相互扶助組織『サーガ』の現総帥、竹井大介です。あなたのことはアスカさんから聞いていました」
聞くと、アスカさんが調べて見つけた魔人の居城へ攻めるため、各地で勇士を募り、神騎にも接触していたようだ。
「彼らは準備をしながら、こちらへ向かっているはずです」
「ああ、すまないな」
「いえ、この仕事は、僕らにとっても必要なことですから」
「クエスト?」
「ああ、こちらの話です。気にしないで下さい」
少し気掛かりな言葉も聞こえたが、取り合えずこれで事は大きく動く。
「カルマよ」
「なんだ、マルカ?」
「漸くだな」
「ああ、漸くだ」
「長かったですわね、カルマ様」
「ああ、長かった」
「短くもあったけどね」
「そうだな、梶原」
「この二ヶ月、僕らは悲嘆に暮れました」
「だからこそ、オレ達は立つ」
仲間と、言葉を交わす。
そして、ヒナタと目を合わせる。
「けど、まだまだだよね?」
「ああ、まだまだだ」
「そうだな、先はまだ長い」
「わたくし達は、これから始めるのですわ」
だからこそ、オレ達は力強く頷く。
オレは立ち上がる。
「オレ達は、まだまだ強くなる。そして」
全員の顔を見回す。
皆、悲しみを乗り越えた、強い目をしている。
オレ達は独りじゃないから、誰一人として、心が折れなかった。
―――――これで、あとはオレ達が力を付ければ。
「彼等から託された遺志を、オレ達の願いを、果たす!」
はい! と、彼女達は頷いた。
それを見ながらオレは、オレ達は感じていた。
決戦の時が近いと――――――――
さて、これで「あの日交わした約束を」の第2章は終了です。
あとは3章でラストへ向かって飛ばしまくる訳なんですが、これからも、どうかこの稚拙な小説をよろしくお願いします。




