Resolution:28 火薬と獣
この戦いが多分、一番調べながら書いたと思います。
ですが、超付け焼き刃ですので、何か間違っていたら教えて下さい
「【生成・M67】!」
アタシが作ったのは、一般的な手榴弾。それを黒い栗鼠のような魔獣の群へと投げ込む。
数秒の間を起き、轟音と爆炎が広がり、魔獣を蹴散らす。
『ほらほらぁ、まだまだいくよぉ!』
テイムの能力により、魔獣はまだまだ産み出されてくる。
今度は大きな、熊のような魔獣が二体。
「【銃生成・レミントンM870】」
作り出したのは、ショットガン。
「ぶち抜く!」
引き金を二度引き、二体を屠る。
同時に、
「【銃生成・AK47】」
両手に突撃銃を作り、その他の魔獣を蹴散らしていく。
『あっちゃー、やっぱその場作りの魔獣じゃあダメかー』
「なら、さっさと負けてくれない?」
『あはは、つまらない冗談だね』
「【銃生成・デザートイーグル50AE】!」
彼の手が止まったのを見計らい、即座に銃を生成、射撃する。
『ぎゃっ! い、痛いじゃないか!』
「うっさい!」
弾丸を雨霰と撃つが、その全てが彼の影から現れた黒い影によって防がれる。
「ようやく出したわね」
『ん? この子が目当て? じゃあお望み通り、思う存分戦いなよ! 行っちゃえ、【黒龍】!』
それは黒い竜。
その長い鎌首をもたげ、こちらを見下ろす。
一声、鳴くと同時に、翼を広げ飛び上がる。
「【銃生成・RPG-7】!」
作り出したのはポピュラーなミサイルランチャー。
「ぶっ放す!」
引き金を引き、ミサイルを飛ばす。
飛ばされたミサイルは正確に狙いを違わず、竜の胴体へと撃ち込まれ、直後、
凄まじい轟音と空気の振動が襲う。
「よし!」
『び、びっくりしたぁ…………でも』
黒煙の中から現れたのは、傷一つ負っていない黒い竜。
「嘘でしょ…………」
『残念。でもそんなんじゃ、うちの【黒竜】は殺せやしない』
まずいわ。
アタシが持つ知識の中で、今のが最大火力の武器。それが通用しないのであれば、アタシにはどうすることも出来ない。
『Grrrrr!!!』
竜が火炎球を吐く。圧倒的な質量と熱量を持った一撃が落ちてくる。
ギリギリ、何とか直撃は避けたものの、その爆風でアタシは吹き飛ばされ、壁に激突する。
「かは…………っ!」
崩れ落ち、顔を上げた先は、
――地面が、燃えていた。
「…………」
――周囲は赤く染まり、
「…………て」
――漂うのは、肉の焼ける臭い
「…………めて」
――皆、燃えてて、
「…………やめて」
――私だけが、生き残った。
「…………やめてよ」
――何で、お前だけ
分かってる。これは記憶だ。ただの、フラッシュバック。
だけど、だからこそ、
――この、疫病神が!
「やめてぇえええ!」
せっかく繋ぎ合わせた心にヒビが入る。
『え、ちょ、どうしたのさ!?』
「ああ…………あぁあ…………あぁぁぁあ」
体が震える。痛みと熱気で、寒さなど無いはずなのに、震える。
――何でお前だけ生き残ってんだ!
――お前さえいなければ、あの事故はなかった!
――私の息子を返して!
「やめて! アタシは…………私は何もしてない、してないのぉ!」
――お前がお前がお前が!
――疫病神め!
――何でお前みたいなのがいるんだ!
『え、えーっと、なんだかわからないけど、やっちゃえ【黒竜】!』
爆風が襲う。
それがさらに、7年前のあの事故を思い出させる。
それは、不慮の事故だった。
夏休み、家族と海外旅行に行き、その帰りの便だった。
旅行先で私が体調を崩し、予定を切り上げて帰ったのが、運命の分かれ目だった。
バードストライク。
上空を飛ぶと、稀にジェットエンジンの中に鳥が激突するという事故。
一羽だけなら、まだやりようはあった。
だがそうじゃなかった。
偶然にも、全てのエンジンに黒い鳥が激突した。
結果は不時着……いや墜落。
墜ちた飛行機は大破。乗客乗務員は、ただの一人を除いて死亡、或いは行方不明。
生存者は、ただ一名。
日本人の十歳の少女だった。
――それが、私。梶原サナ。
「私は違う私は違う私は違う…………」
『えっと……なんかしてくれないと、スッゴい困るんだけど?』
「私は、疫病神なんかじゃない…………」
――だけど、ね?
聞こえたのは、私の声じゃない。でも、私を苛む声でも無い。
――サナちゃんは、悲しみを乗り越えたよね?
7年来の親友の声だった。
彼女は、自らもその胸に大きな悲しみを抱えていたと言うのに、私を励まして、見守ってくれた。
――だから、神騎になれたんだよね? 私と、会えたんだよね?
そう、あの出来事があったから、私は神騎になれた。これで誰かを守れる。私は疫病神なんかじゃない。
あの出来事があったから、私は親友に会えた。互いを支える添え木として。
ヒナタは自分の支えを見付けた。私には、まだいない。
でも、いつまでもヒナタに甘える訳には行かない。
だから、私は自分の足で立つ。
『お? 良かった、これで躊躇無く殺せるよ』
テイムが軽口を叩き、鴉を生み出す。
鴉――黒い鳥。
……………………いや、ただの偶然だ。
でも、もし、
「ね、ねえ、テイム。聞いていいかしら?」
『ん?』
「7年前の飛行機墜落事故、知ってる?」
『ああ、あれね…………』
もし、そうだとしたら、私は、躊躇い無く、
『あれね、魂の保有量が危なかったからさ、一度に狩ろうと思って、この鴉で墜としたの。僕が』
殺せる!
「【私は! 疫病神なんかじゃない!】」
唱える。最大級の力を使うために。
『ええ!? ちょ、まっ…………!』
「【私は神騎!】【誰かを守る神騎!】」
『や、やば! 詠唱間に合わない! ええい【黒竜】! 全ての魔獣と一緒に突撃!』
「【私は誰も傷付けない!】【私はそうやって生きる!】」
それは誓いであり、戒めであり、償い。
「【この手で拾えるもの】【その全てを諦めない!】」
だから、その為の力を。
「降り注ぎなさい!【穿ち雨】!」
目前には迫り来る黒い魔獣達。
私の両手には突撃銃。
そして、
『ええ~それあり?』
その周囲に浮かぶ、数多もの、
「そういう術だもの」
銃。マシンガンや、オートマチック、リボルバー、スナイパーなど、多種多様な銃が浮かんでおり、総砲門数はざっと二百ほど。
そしてそれらが、
「ぶっ放して、ぶち抜けぇ!」
一斉に、火を噴いた。
『うっわー、なにあの無双状態』
アタシの銃が、魔獣を穿ち、払う。
と、上空でまた火炎球を放とうとしている黒竜に気付く。
「っ!【銃生成・AT-4】」
咄嗟に両方の銃を捨て、新な武器を造る。
作り出したのはバズーカ。
そして狙うは、火を溜めているその口の中。
「ぶっ放す!」
砲弾は狙いを違わず、見事に、大きく開けた竜の口へと入り込んだ。
そして直後、再びの爆音と共に、黒竜の首が吹き飛んだ。
『え? ええ!?』
驚愕の声をあげる〈奏でし獣〉テイムに私は銃を向ける。
「アンタの負けよ」
『みたいだねぇ』
他人事のように語るテイムに、私はカッとなった。
「何で、平然としていられるのよ! アナタこれから死ぬし、それに、アンタの被害者が目の前にいるわ!」
だが、彼は笑って、問う。
『へぇ、だから?』
「なっ!」
『僕にとってもあの飛行機のことなんて、ついさっきまで忘れてたし、それに――――』
足元の、影が広がる。
『僕、逃げるし』
次の瞬間、影から黒い魔獣が現れる。
『ほら、行くよ【鷲獅子】』
「待ちなさい!」
『ははっ、後は任せたよ、〈代行者〉!』
その言葉を最後に、テイムは飛び去って行った。
テイムが〈代行者〉を呼んだと言うことは、これは時間稼ぎ、本命は…………
「神谷!」
アタシもまた、病室へと向かった。
戦闘終了まで
あと、五つ
ジャバウォックの形は黒くペイントしたリザードンですはい。




