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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第二章 決意
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Resolution:26 総力戦

我ながら、よくここまで続いたなー、って思ってます。これからも頑張りたいと思います。

 昇った日は傾き、そして沈む。

 夜が訪れた。

 決戦が近い。

 ここで神谷を守れるかが、これからの戦いに大きく影響してくる。


「カルくん、大丈夫、だよね?」

『もちろんだ』


 確証はない。だが、そう思える何かがある。それは、オレが独りで戦っていないと言う事実。

 それだけで、体に力が溢れる。


「桐久保、全員配置に着いたよ」

『了解。梶原も持ち場に戻ってくれ』


 オレ達は今、魔人が現れるであろう通路に散り、神谷は病室で人魔の医者や看護師に守られている。

 神谷は、まだ目を覚ましていない。


『神谷…………』

『そうやって物憂げに男の名を呟くと、ホモみたいだぞ』

『うっせ。確かにアイツはオレに攻撃とか攻撃とか攻撃とかしてくるけど………………あ、なんかぶん殴りたくなってきた』

『まあ落ち着け』

『それでも、お前がいて、ヒナタがいて、ルルやキース、皆がいる日常が、時間の無いオレには、何よりも大切なんだ』

『そうだな。そして、その皆の中には』

『ちゃんと神谷の席もあるんだ』

『ならば、負ける訳にはいかんな』


 ああ、とオレは頷く。

 やるべきことは多い。戦いながら神谷を気にかけ、終われば仲間の援護に回る。


『なぁ、マルカよ』

『なんだ?』

『今日、やるべきことはイヤと言うほど多いがよ』

『そうだな』

『成したいことは、一つだ』


 そして、軽く笑う。

 胸に、核となっているマルカに手を当て、二人で唱える


『『吾らは、願いを諦めない、想いを間違えない、絶対に』』

『私の願いは、魔人を全て滅ぼすこと』

『オレの想いは、仲間を大切に想うこの気持ち』

『『故に、吾らは拳を握る』』

『そういうわけで、ここは通せねぇな、〈覇拳〉』


 オレは闇へと話しかける。応える声は闇からではなく、闇から現れた〈覇拳〉が応える。


『気にすんな。通るつもりはねえからよ』

『オレとの戦いのみを望むのか?』

『当然だ』


『吾が名は〈覇拳〉フィスト。拳を意味し、全てを打ち砕く者なり!』

『吾が名は〈同胞喰らい〉カルマ。魔を狩り、己が(つみ)を纏う者なり!』


『征くぞ、カルマぁぁあ!』

『望むところだ、フィストぉお!』



◆◆◆


「カルくんが守ろうとするものは、私に取っても大切な後輩。だから、私はこの剣を振るう!」

『よかろう。あの時の決着を、着けようか!』


『吾が名は〈剣影〉ブレイド。影を形成す刃にて、我が敵を刻む者なり!』

「〈太刀の神騎〉朝霧日向! 推して参る!」


『はぁぁあ!』

「やぁぁあ!」



◆◆◆


『あの子はカルマ様に笑顔を与えてくれる、大切な存在。カルマ様の笑顔を害する者は、全て排除いたしますわ!』

『言うじゃねーか。そこまで言うのなら、やってみろ!』


『吾が名は〈消滅〉ルイン。全てを虚無へと誘う、魔弾の担い手なり!』

『吾が名は〈黒蝶(プレート・ボルボレータ)〉セルルト。共に在りたいと願い、愛した人を守ると誓いし者なり!』


『消滅しろ!』

『死になさい!』



◆◆◆


『神谷先輩は確かに、カルマ義兄(にい)さまとよく喧嘩するけど、その度に義兄(にい)さまは楽しそうだった! だから僕はその日々を守るんだ!』

『そんなことはどうでもいい! 僕はこの間の仮を返すだけだからね!』


『吾が名は〈毒刺〉スコーピオン。毒を喰らいて毒を制する者なり!』

『吾が名は〈剣士(エスパダシン)〉キースリア。大切なものを二度と失わぬと、この剣、この刃に誓いし者なり!』


『毒に溺れな!』

『僕が、守るんだ!』



◆◆◆


魔神(アスラ)の復活だとか、桐久保の日常だとか関係ない! アタシはただ、アタシの居場所を守るだけよ!」

『あははは、さあ、お祭りだよ! 楽しもうよ!』


『吾が名は〈奏でし獣〉テイム。獣を従え、産み出す者なり!』

「〈銃の神騎〉梶原佐奈! ぶち抜くわよ!」


『そぉら、お前達、出番だよ!』

「一匹残らず、ぶち抜く!」



◆◆◆


魔神(アスラ)復活を阻止する、という大義名分はあれど、僕はただ、剣道部の仲間を失いたくないだけです」

『ふん、そんなことなら見せてくれるのだろう? 貴様の本気とやらを』


『吾が名は〈天翔空羅〉スカイ。空を支配し、君臨する者なり!』

「〈双刃の熾神騎〉佐伯翔太。いざ、参ります!」


「おおお!」

『ふははは!』



◆◆◆


 病院からすこし離れた木の上、満月の光に照らされて一人の男と女が立っていた。

 彼―――〈代行者〉は、楽しそうに笑い、女に話しかける。


「フフフ、始まったね。僕らはここから高見の見物とでも行こうか?」

「イエス、マイロード」


 応える声は、彼の分身体の声。


「さあて、カルマ君? 君はここを守れるかな? フフフフフ!」



 そして月明かりの中、戦いの火蓋が、切って落とされたのだった。



さーって、一人の戦いの決着に、何話かかるかなぁ?


あ、この総力戦で二章は終幕となります。

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