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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第二章 決意
55/100

Resolution:25 神谷真琴

あれぇ?

二章ってもう少し長引かせるはずだったのになぁ? クライマックス近いぞ?

二章は50話まで行くと思ったのに…………


「神谷!?」

「神谷くん!?」

「どうしたのだ!?」

「神谷先輩!?」

「ちょっと!」

「大丈夫かい!?」


 神谷が倒れた。胸を苦しそうに抑え、息を乱しながら。


「おい! おい神谷!」


 脂汗をかき、苦しそうに抑えている胸からは、赤い光(・・・)が漏れている。


「カルマ、この光は!」

「そんな…………神谷くん!」

「これは…………」

「ああ、間違いない。魔人の光だ」


 魔人の核の輝き、魔力の輝き。

 それが神谷から流れていると言うことは、つまり、


「神谷が、魔人…………?」

「で、でもそうだとしても、人魔だよね!?」

「多分な」

「でも、肉体を持ってるて事は」

「いや、私たち屍魔人(しかばね)は、本体は核を持っていないし、分身体の私もこんな事になったことが無い」


 オレは神谷の上着をたくしあげる。ここに女子もいるが、そんなことは言ってられない。

 そしてオレ達がそこで見たものは、


「これは、核…………なの? カルくん?」


 左胸に埋め込まれた、拳大の赤い宝石のような塊。


「いえ、ここまで大きいのは見たことがありませんわ」

「確かに、大きくてもピンポン玉サイズですもんね」

「あああ、これじゃあ……まるで…………」


 その先を告げたのは、オレじゃなかった。


『まるで、心臓その物(・・・・・)、かい? 〈同胞喰らい〉君』


 そこ声の主は、最近聞きなれてしまったその声。全ての黒幕の声。


「〈代行者〉!」

『やあ』


 彼は片手を挙げて応じる。その挙げた手をそのままこちらに差しだし、


『その少年を、こちらに渡して貰おうか?』

「なっ!? ふざけるな!」

『ふざけてはいないさ。僕らには彼が必要なんだよ』

魔神(アスラ)の復活、か」

「アスラ?」


 オレの呟きに、マルカを除く全員が疑問符を浮かべる。


「ああ、コイツらは、魔人(イーヴィル)を作り出した神…………魔神(アスラ)を復活させたいんだとよ」

『へぇ、よく知っているね?』

「だが、一つ聞いていいか?」

『なんだい?』

「なぜ、神谷は急にこの状態になった?」

『それは君のせいだよ』

「なんだと?」

『彼は君に会うまで、魔人の魔力に触れたことはなく、逆に神騎の聖力で抑えられていた』

「そんな……」

『そして彼は時折、常人離れした耐久力や運動を見せたことはないかい?』

「あ…………」

『つまりはそう言うことさ。そして極めつけは、この間の彼の言霊無効化だ』


 すると、今度は佐伯先輩が質問を投げ掛ける。


「では、なぜ今ごろになって? こうなる前なら、いくらでもチャンスがあったでしょう? これで彼は僕たちに保護される事になりますが?」

『その状態にならなければ、所詮『器』に過ぎない彼に、価値は無い』

「器?」

『そうさ、器。神の器が『神器』だとするのなら彼は魔神の器、さしずめ『魔器』あるいは『魔神器』といったところかな? ふふっ、我ながら安直なネーミングだ』

「魔神の器?」

『そうさ、彼は魔人でも人魔でも屍魔人(しかばね)でも、ましてや人間ですら無いのだよ』

「そんな……」


 キースが息を飲む。いや、キースだけじゃない、ここにいる全員が同じ反応をする。


『彼は魔神が自らを甦らせる為に作りだし、偽りの記憶を与え世に放った人形』


 だから、

 〈代行者〉は言葉を繋ぐ。


『〈同胞喰らい〉君、君が彼を守る理由はどこにもない』

「それでも、こいつは!」


 そして彼はこちらに数歩進み、言った。


『ねぇ、〈同胞喰らい〉君。

 君が見ているもの、信じているものは、本当に真実(ホンモノ)かい?』

「当然だ!」


 答えて、気付く。

 なぜ、こいつがこの言葉を言う?

 この言葉はアイツの…………

 

 いや、ただの偶然だ。そんな筈がない。

 だからオレは構わず答える。


「確かにオレはこいつと良く喧嘩をする! でもな、それはこいつがくれる、オレの日常だ! オレの大切なモノ達の、一つなんだよ!」

『そうかい、あくまでも、渡さないつもりかい?』


 その言葉に、オレは答えなかった。なぜなら、


「愚問だな、全く」

「神谷くんは、大切な後輩だもの。カルくんに取っても、私に取っても」

「夫が守りたいものを手伝うのは、妻の役目」

「カルマ義兄(にい)さまの大切なモノ、騎士の誇りにかけて」

「アタシ達剣道部の結束力、舐めないで貰いたいわ」

「そう言うことです、〈代行者〉?」


 皆が、オレと神谷の前に立ちはだかる。

 すると、〈代行者〉がクスリ、と笑う。


『そうですか、なら致し方ありません。明日、我々の総力を持って、(それ)(うば)いに行きます』


 踵を返し、暗闇へ消えていく。そして、声だけが届いてくる。


『覚悟、していて下さいね?』



◆◆◆



「すまない、皆。大変な事に巻き込んじまって」

「何を言っているんですか、桐久保君」

「そうだよカルくん」

「それよりもカルマ様? 神谷をいかが致しましょう?」

「アスカさんの病院に行こう。アスカさんはもういないけど、あそこなら…………」


 そして、夜は更けていき、



 朝が訪れた。


次回、総力戦でございます。


神谷真琴

神 真

真神

魔神

…………無理がありました?

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