Resolution:23 戦闘終了
今回は短いです
考えてみれば、カルマ君は魔人を余り倒していませんね
※本日の二度目の投稿です。ご注意下さい
オレがパームを撃破してからの決着は速かった。
まずは佐伯先輩とヒナタが突破口を見つけた。操られていた人間達の頭上に、細い糸のような魔力を見つけたのだ。
ヒナタがそれを斬ると、その糸の元にいた人間が、がくりと動きを止める。
「佐伯先輩、上の糸を断ち斬れば動きが止まります! 【悪魔を喰らえ】!」
「なるほど、人形劇とは、この事ですね! 【白翼斬光】!」
『そんな、私の術が!』
次にルルと梶原。
砕いても砕いても復活してくる人形だったが、落ち着いて見ると、その額にこれ見よがしに宝石が付いており、梶原が試しに撃ち抜くと、完全に崩壊した。
「セルルト、この人形ども、脳天の宝玉をぶち抜けば壊れる! …………ぶち抜く!」
『わかりましたわ! 【死黒蝶】!』
『おのれ!』
それぞれの戦局はオレ達の有利に進み、マリオネットもドーラーも無効化されていた。オレはその隙を狙って、動けなくなっていたパームの首根っこを掴み、ぶん投げる。
『てめえは飛んどけ、パーム!』
『がっ!』
『きゃあ!』
『くう!』
パーム、マリオネット、ドーラーの3人が揉んどり打って転がる。
コイツら、凄く弱い。
まあ、だからと言って逃がすわけもなく。
オレはコイツらが立ち上がる前に、
『逃がさねえよ! 【冥道開通】!』
開いた冥道が3人を飲み込み、その魂がオレへ流れ込む。これで、魔力の補填はできた。
『みんな!?』
キースと打ち合っていたスコーピオンは、驚きの声を上げ、オレ達から距離を取る。
『……………まさか、捨て駒にされたのか?』
そういって、彼は剣を下ろす。力なく投げ掛けられた問いへの答えは無い。
だが代わりに、拍手の応えが返って来る。
『見事見事、実に見事だよ、〈同胞喰らい〉』
『〈代行者〉!』
そこに現れたのは、鳥形の魔物に乗った〈代行者〉だった。
『〈代行者〉! あんたにとって、ボクらは捨て駒かい!?』
『そうだったよ?』
『貴様!』
『おいおいおい、話を良く聞け。だった、ってば。弱い彼らには用は無かったけど、生き残った弱くない君には用があるよ』
それに、と彼はこちらを見やる。
『〈同胞喰らい〉も強化されてたし。どうだい〈同胞喰らい〉、名付魔術の使い心地は?』
『はっ、今から味あわせてやろうか?』
『それと、あの人魔から簒奪した魂術も使いこなせているようだね』
彼が、神谷を見る。そして、ふっと笑った気がした。
『そういえば、なんだか面白いことになっているね』
そう言った後、〈代行者〉はスコーピオンを回収し、こちらには一瞥もくれず、飛さって行く。
それを見届けたオレ達は変躯を解除する。
「うっ…………」
魂術、と言うか冥道の反動で、目眩が起きて足元がふらつく。
「カルマ!」
「カルくん!」
「カルマ様!」
一番近くにいたマルカが真っ先に反応し、その後二人も駆け寄って来る。
オレはその3人を手で制し、神谷の方へ向かう。
神谷は青ざめた顔で、それでも強がった表情でオレ達を見ている。
「先輩…………これは、一体…………」
「これか? これは、そうだな…………戦争だよ」
「せ、戦争?」
「そう、戦争。俺たちと、アイツらとのな」
「それは一体…………」
「ああ、今から説明するから、今は休ませろ。あの壁とかも直さなくちゃならないしな」
「そんな、漫画みたいなことが、現実に起きているなんて…………」
「事実は小説より奇なり。現実だよ」
「それで、桐久保先輩は無理が祟って結構ボロボロと………………なんか、今まですいません……」
「気にするな。むしろ、今まで通りにしてくれると嬉しい」
「それで神谷。なんでアンタは魔人の言霊が効かなかったのよ?」
「いや、それオレが聞きたいんですけど」
そこまで行ったとき、佐伯先輩が手を打って話を止める。
「とりあえず、考えることは多いですが何はともあれ、それはこれから考えましょう。今日は時間も時間ですし」
確かに、既に日はとっぷりと沈み、夜の帷が空を覆っている。
「今は気持ちを切り替えて、今度の休日を楽しみましょうか」
彼のその言葉に、オレ達は全員で頷くのだった。
どうも、当て馬三人衆でした。




