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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第二章 決意
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Resolution:18 帰ってきた日常

人生において、幸福と不幸は交互にやって来るものだと思っています。

翌日の放課後、オレとマルカはもう一度、剣道場に来ていた。


「…………昨日、そんなことがあったんですか」

「桐久保………」


 佐伯先輩と梶原に事情を話すと、二人とも一度しか会ったことが無いはずなのに、悲しんでくれた。

 何故か、それを嬉しく感じるオレがいた。


「それで君は、神聖術(セイクリッドフォース)…………いえ、名付魔術(ネームドフォース)でしたか? それを学びたいと?」

「でも、アタシ達は神騎でアンタは魔人じゃない。出来るの?」


 確かに、梶原の疑問はもっともだが、それにヒナタが答える。


「多分同じだと思うな。魔人が魔力を練るのも、私たちが聖力を練るのも、なんだか似たような感じだったから」

「でも、桐久保君には魂術と言う人魔特有の技があるのでしょう?」

「いや、佐伯先輩、オレの魂術は冥道の力。強力ではあるけど、人魔の魂術と違ってオレみたいな屍魔人(しかばね)は、命、または存在とも言える魄を削って使うんだ。だから、連発は出来ない。」

「なるほど………」

「つまり、魂だけを削って使える名付魔術(ネームドフォース)を覚えたいってわけね」


 二人が納得して頷く。


「そーゆーこと。ああそうそう、マルカも一緒にやるからな」

「なんだと!? 聞いてないぞカルマ!」

「おいおいおい、何言ってんだよマルさん。オレとお前は文字通り一心同体だぜ? とーぜんだろ!」

「いや、体を動かすのはカルマだろう」

「魔力を操るのはマルカだぜ?」

「ぐ………」


 よし論破。

 オレ達の話が終わると、佐伯が手を鳴らす。


「ま、取り合えず、練習に参加してもらおうか」

「「は?」」


 いきなり何を言い出すのだろうか、この人は。


「みんなー! 新しい戦力として、桐久保兄妹が入部するよ!」

「ちょ、まっ………」

「佐伯先輩!?」


 オレとマルカの焦りの声は、次の瞬間、轟音に掻き消された。


「うぉぉぉおおおおお!!!! マルカさぁぁぁぁああん!!!」

「きゃぁぁあああああ!!!! カルマさまぁぁぁあああ!!!」

「…………なんだろう、スッゴいデジャヴ」

「カルくん、それはきっと、別の世界線で………」

「いや、運命探知の能力は持ってなねぇし、世界線も越えてねぇ」


 そのとき、殺気を感じた。

 群衆の影から、そいつは見事にオレの死角に入り込む。

 そして、


「脳みそをぶちまけろ!」

「てめえはハラワタだぁ!」


 回し蹴りが、見事にそいつの腹に突き刺さる。


「ほげぇ!」

「おいこら! またかよ!」

「チクショウ………朝霧先輩とイチャコラしやがって」

「嫉妬だな。カルマ、またヤっていいか?」

「何をだ?」

「愚問だな。無論、スプラッタ映像さ」

「スプラッタか………うん、よし殺れ」

「やめて御願い! …………ひ、あっ、アーーーー!」


 よし、スッキリ。


「ふう、楽しかった」

「お前、神谷相手だとキャラ豹変するよな」

「きっと気のせいだ」

「しかし、死んだか?」

「さあ?」

「死んでねぇえ! いや死にかけたけど! チェストォ!」

「アブね!」

「フフフ、いつから俺が死んだと錯覚していた?」


 神谷がどや顔をする。

 なんか腹立つな、あれ。しかもなんか高い所に登って、今にも人がゴミだとかいいそうだ。


「ふははは! まるで先輩がゴミの様だ!」

「マルカ、あいつホールド」

「ラジャー、マイブラザー」

「え? な、動けねぇ!」

「あはは、バルス!」


 オレは笑顔で二本の指をめり込ませた。


「ぎぃやぁぁぁああ! 目が! 目がぁぁぁぁあ!」

「アンタ、容赦ないわね、桐久保…………」

「何しやがる!」

「あ、復活した」

「早いわね!」


 地面をのたうち回っていた神谷が勢いよく起き上がり、オレを指差す。


「桐久保先輩、一対一(サシ)で勝負だ!」

「え、やだ」

「…………」

「…………」

「三文字で断られたーーーー!」

「いや違ぇよ、『、』も入れて四文字だ」

「そうだった!」

「論点そこ!?」


 みんなの突っ込みが見事にハモっていた。


「く、取り合えず、チェストォ!」

「取り合えずってなんだ取り合えずって! 真剣白羽取り!」


 オレと神谷のつばぜり合い(?)が始まった。あれ、おかしいな? オレ今日なんのために来たんだっけ? 魔術とか習うためじゃなかったか?

 するとそこへ、もう一つの影が現れる。


「そいやー!」

「がふえ!」


 神谷が飛んでいく。

 ゴロゴロゴロ! ガッ! ゴッ! ズザザザザァ、どっしーん!

 転がり跳ねて滑って、壁に激突する。


「飛んだな、ヒナタ」

「うん、飛んだね、カルくん」

「あれは何メートルだ、マルカ?」

「少なくとも五メートルは行ったな」

「不憫な奴だ」


 所で、と、オレは神谷を吹き飛ばした人物に目を向ける。


「カルマ義兄(にい)さま、ご無事で!?」

「ようキース、何でここに?」


 オレの質問に答えるように、佐伯先輩がキースに話しかける。


「あ、君がキースリア君だね? 入部届けはちゃんと受け取っているよ」

「ちょっと待て! キースは中等部だぞ?」

「うちはね、中等部と高等部が合同で練習してるんだ」

「そういうことです、カルマ義兄(にい)さま!」


 そう言って、キースが笑う。

 その笑顔に、男どもが見とれている。


 …………………なんか、ありがたいな。

 昨日の事を表に出さぬよう、懸命に隠しているつもりだが、自信がなかった。でも、周りがいつも通りだから、オレもいつも通りにできる。

 だから、本当にありがたい。

 こればかりは神谷にも感謝………


「桐久保先輩、誰ですかその美少女! またアンタのハーレムか!? 夜道に気を付けろよ!」


 ………したくないな。

 取り合えず、一発殴って、説明せねば。


 はぁ、今日も素晴らしく騒がしい、平和な日だな。




 


あんなことされてますが、神谷後輩はれっきとした人間です。


今回、パロがやたら多いです

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