Resolution:15 蝶と騎士
寝ぼけ眼で書いた今話、故にちょいちょい可笑しな部分がありましたら、連絡下さい
『消え失せろ!【死誘魔弾】』
〈消滅〉ルインの魔弾が、〈黒蝶〉ルルへと襲いかかる。
『ふふ、甘いですわ!【死黒蝶】』
その魔弾をルルは、自らの黒蝶で相殺する。
『やるじゃないか』
『油断は、命取りですわよ?』
ルインの足元から発生した黒蝶が彼を包み込む。
『ぬぉ!?』
『わたくしの蝶は死をもたらす滅びの魔蝶。触れるものの生命力、魂魄、魔力、その全てを吸い付くし、あの方へ捧げるもの』
『なんてえげつない能力だよ!』
確かにえげつない。だが、彼女がオレに付けた紫の蝶から、力が流れ込んでくる。
『洒落くせぇ!』
消滅の魔力が一瞬で膨張し、その魔力を吸収しきれなかったルルの蝶が消し飛ぶ。
『上等だ、全力で相手をしてやる!』
『望むところですわ!』
二人が構え、互いに魔力を帯びる。
と、そこへ〈剣影〉が吹き飛ばされてくる。
『おいおい、だらしねぇな〈剣影〉』
『女一人に手こずっている貴様に言われたくないな、〈消滅〉』
その〈剣影〉を追うように、ヒナタとキースもこちらにやって来る。
『大丈夫ですか、義兄さま?』
『あ、ああ、なんとかな』
「カルくん、無理はしないでね」
そして、五人の戦いはさらに激しさを増していく。
消滅の魔弾が飛び交い、ルルの蝶が舞い、キースの銀閃が疾り、ヒナタの大太刀が唸る。
オレはただ見ているだけ。それでも、焦りや不安は感じない。
何故ならば、彼女達はオレが、信じて任せたから。
〈剣士〉キース&〈神騎〉ヒナタと〈剣影〉ブレイドの戦いは、苛烈を極めていた。
ブレイドは分身して、二刀を手に持ち、絶え間無い激しい攻撃を繰り出す。
ヒナタとキースはそれを受け止め、流し、あるいはかわし、その隙に反撃をする。
『やっぱり、双剣を見切るのは、難しい!』
「大丈夫、佐伯先輩の双剣の方が疾い!」
キースがその速さで翻弄し、ヒナタがその剛剣で痛撃を与える。
苦戦しているような口ぶりの割りに、二人はなかなかのコンビネーションで攻めているようだ。
『なめるなよ、ガキ共が!』
ブレイドの魔力が練られ、影へと浸透していく。
『【影鎖縛】』
影が鎖のように何本も伸び、キースとヒナタを捉えようとしてくる。
『【影太刀!】』
キースの魂術が発動される。
その太刀筋は影を纏い、影に隠れ、幾つもの太刀筋を生んで、影の鎖を切り払う。
『ちぃ!』
『今です、朝霧先輩!』
『はっ! 魂術も名付魔術も持たぬ神騎ごときに、何ができる!【影衣】!』
ブレイドの体を影が包み込み、高質化する。
「いつまでも、神騎が無力だと思わないでね! 神騎は元々、あなた達魔人を討つ存在なんだから!」
ヒナタの魔力………いや神聖力とでも言うべき神騎の力が練り上げられていく。
「【悪魔を喰らえ】!」
ヒナタの放った技は、あっさりとブレイドの影衣を無効化し、ブレイドを吹き飛ばす。
『がふっ!? バカな!?』
「この技は、この神聖術は、カルくんと共に歩む為に、彼に追い付く為に作り上げた、魔人の魔力を喰らう技!」
彼女が奪ったブレイドの魔力が、ルル同様、オレの中に流れ込んでくる。
なぜ二人して似たような能力何だろうか?
『おのれ…………』
ブレイドが再び剣を構え、駆け出そうとしたとき――――
『はーい、そっこまでー!』
唐突に、やる気の無くなるような声が聞こえて来る。
見上げるとそこには、〈天翔空羅〉と、鳥型の魔獣に乗った〈奏でし獣〉、そしてその後ろに初めて見る、しかし、どこかで見たことあるようなあの容姿、白い髪に紅い猫目、赤黒い甲殻を持つ魔人がこちらを見下ろしていた。
『ああ? どーいうこったよ!?』
『退くぞ、〈消滅〉。〈代行者〉からの命令だ』
『何でだよ! これからって時によ!』
『なんだ〈消滅〉? 僕の命令が聞けないと?』
ぞく………。
その声を聞いた瞬間、とてつもない威圧感を感じた。恐らく、あの見慣れないオレと同じ色の魔人が、〈代行者〉なのだろう。
『ぐ………、わ、解ったよ。そんなに怖い顔で睨むなよ』
『お前が〈同胞喰らい〉か………フッ』
〈代行者〉がオレを一瞥し、笑う。
『何が可笑しい!』
『いやいや、弱いな、と思ってな』
『なんだと!』
『おっと、激昂するのは良いが、ここで時間を潰してアイツが死んでもいいのか?』
『アイツ………死ぬって、どういう事だよ!』
『お前の主治医、とか言ったか?』
『なっ! てめえ! なにしやがった!』
『我々に不利な情報を持っていたのでね、少し苛めてしまったよ』
凄く嫌な予感がする。早く、アスカさんの元へいかなくちゃ。
『安心しろ、今日はただの顔見せだ、襲いはしない。だが、次に会うときは容赦しない。僕の計画の邪魔になるかも知れないからね』
そう言って、彼は引き上げていく。
『命拾いしたな、〈黒蝶〉、次は消す』
『その言葉、そっくりそのままお返しいたしますわ』
『次は、斬る』
「やれるのならね」
それぞれが引き上げていくなか、オレは急いで変化を解き、アスカさんの医療所まで駆けていく。
後ろからオレを呼び止める声がするが、止まっている暇は無い。
アスカさん、無事でいてくれ………っ!
さあ二章のコメディーが少なくなって来ました!
でもまだ続く!だってまだ二章の半分にも達していないから!(ぇ




