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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第二章 決意
40/100

Resolution:11 後輩が出来ました

彼に後輩が出来るようです

予想してみましょう

「そう言えばさ、ルル」

「なんでしょうか? カルマ様。愛の告白ですか?」

「んなわけあるか! そーじゃねーよ、キースはどうしてんのかなって思ってさ」

「確かに。キースくんっていくつなの?」

「ああ、あの子なら〈青桜学園〉の中等部三年に編入しますね」

「へー、中学生だったんだ」

「おい、噂をすれば何とやらだぞ」

「おいマルカ、その諺、正確に言ってみろ」

「噂をすれば影」

「なんだよ、言えるのかよ、面白くねーな」

「ふん、私をバカにするな」

「バカにはして………ダブハッ!」

「カルマ義兄(にい)さま、ボン・ディーア(おはよーございまーす)!」


 後ろからのキースの攻撃、もといタックル付挨拶をオレは躱すことができず、息が詰まる。


「おはよう、キースくん」

「や、キース」

「あ、おはようございます、ヒナタ先輩、マルカ義姉(ねえ)さま」

「………………」

「カルマ義兄(にい)さま?」

「カルくん?」

「あら、どうかしましたか? カルマ様?」

「む? 反応がない。まるで屍の様だ」

「………おいこら、それは皮肉か? マルカ」

「はて? なんのことやら」


 痛みも引いて、何とか立ち上がる。


「キース、お前もう抱きつき禁止」

「僕を殺す気ですか!?」

「先にオレが死ぬわ!!」

「ハイハイ、義兄弟(きょうだい)漫才は程ほどにして、早くしないと遅刻しますわよ?」

「「「あ!!」」」


 オレ、マルカ、ヒナタの声が重なる。


「キースも、急ぎなさい。編入早々遅刻は嫌でしょう?」

「はーい。それじゃ皆さん、また放課後に」



◆◆◆

 そして放課後。


「終わったー」

「ああ、そうだな………」

「どしたよ、マルカ?」

「いやな? とてもとても早く終わったような気がしてな」

「どのくらい?」

「んー、六行分ぐらいだな」

「なんじゃそら」

「さあ?」


 教室でそんな風に駄弁っていると、ヒナタとルルがやってくる。


「ヒナタ、今日部活でしょ? 見に行っていい?」

「え? いいけど、入るの?」

「入らないけど、少し興味があってな」


 入らない、と言うか入れないんだが、それは言わなくてもいいだろう。


「じゃあ、わたくしとキースも御同伴いたしますわ」

「えー………」

「なんですの? 朝霧さんその露骨に嫌そうな顔は」

「インデリアさん、キースくんは?」

「呼びましたわ」

「早っ!」

「カルマ義兄(にい)さま!」

「せぇい!」

「あぶっ!」


 声が聞こえたと同時に、オレはその場から飛び退く。

 同時に、ガン! と、机から大きな音が聞こえ、小さな悲鳴が聞こえたような気がした。


「ひどいです………」

「お前が殺しに来るからだ………」

「むしろ、よく怪我無かったね」

「て言うか、お前よく道に迷わなかったな」

義兄(にい)さまの匂いを辿って来ました!」

「犬か!」


 周囲から、「おい、あの()誰だ?」「ちっ、また桐久保の知り合いかよ」「爆発しろ、魂の欠片まで」「でも男子の制服だ。男の娘?」「むしろそれが良い」「だな」などと言う声が聞こえたが、スルーして然るべきだろう。


◆◆◆

剣道場


「ほぉー、剣道か。初めて見たな」

「確かに」

「これがケンドーと言う物なのですね」

「僕、あの人達と勝負したいな」

「キースはフェンシングだろう? 土俵が違うではないか」

「まあ、確かにな。動きも違うし」

「だからこそだよ!」

「そうですわね、武士道と騎士道の戦いと言う物も、見てみたいではありますわ」


 俺たちは初めて見る道場、そして剣道と言う物に興味をひかれていた。

 そこに、部長(佐伯)に俺達の見学許可を貰いに行ったヒナタと佐伯先輩がやってくる。


「へぇー、キースくん、フェンシングやってたんだ。珍しいね」

「いや、珍しかねぇよ。それは日本だけだ。なんたってフェンシングはオリンピック競技だしな」

「あ、確かに」


 納得した、というように頷くヒナタの後ろから、佐伯先輩が何かに頷きながら口を開く。


「でも、そうですね、確かにフェンシング対剣道の勝負は気になりますね。機会があればやってみましょうか」

「あの………」

「ああ、すいません。僕は剣道部部長の、佐伯ショウタです。よろしく」

「ご丁寧にどうも。この間もお会いしましたわね、わたくしはセルルト・ハザール・インデリアと申しますわ」

「その弟のキースリア・ハザール・インデリアです! キースって呼んでください!」


 自己紹介を終え、途中参加した梶原を加えて、部活が始まるまでの時間にお喋りをしていたオレ達。


「こんにちわー!!」


 一際大きな挨拶が聞こえ、そこに顔を向けると、一年生らしき男子生徒が礼をしていた。


「元気なやっちゃなー」

「あの子? うちの部の中では、佐伯先輩の次に強い有望株なんだよ。一年生のこの時期にね、団体戦のレギュラーに選ばれたんだよ! しかも中堅!」

「ほうほう、中堅とか忠犬とかはよく知らんが、団体戦のレギュラーってのは凄いな」

「うん、剣道にはね、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将ってあってね………………」


 まずい、何かスイッチが入ってしまったようだぞ。なんか語り出した。まあ興味あるから良いか。


「へー、ケンドーの団体戦って、総当たりじゃないんですね」

「フェンシングは違うの?」

「はい、フェンシングは総当たりで、勝数を数える方式と、それぞれ点数を加算して行って、先に45点以上先取するイタリアン方式が………」


 キースにもスイッチが入ったようだ。正直ついていけん。

 と、そこに―――、


「チェストォォオ!!」


 勢いよくオレめがけて竹刀が降り下ろされる。


「せぇい!」


 それはもはや超人の域の反応速度だった。いや魔人だけれど。

 咄嗟に体勢を立て直したオレは、バシッ、と真剣白羽取りの要領で竹刀を受け止める。


「バカな!? 今のは完璧に()れるタイミングのはずだ! それに何より、オレの竹刀を受け止めるだと!? そんなことができるのは佐伯先輩と朝霧先p「長い!」ぱぶらっ!」


 台詞が長かったんでつい蹴ってしまったが………まあいいや、悪いのはこいつだ。

 よく見たら、こいつさっきの声が大きかった一年生だ。


「ってーな! 何しやがる!」

「こっちの台詞だボケナスが! いきなりなにしやがる!」

「うっせー! 神聖な道場でイチャコラしてんなよ! 羨ましい………いや、けしからん!」

「言い直すのが遅かったな」

「隙あり!」


 ブン、とオレの胴めがけて竹刀が振られる。が、


「いい加減に、しなさい!」

「へぐあっ!」


 ヒナタの見事な突きが、彼の喉に入る。危険なので真似しないで下さい。


「神谷くん! なんのつもり!?」

「ぐふっ、さすが朝霧先輩………みごとな突きだぜ」


 彼――神谷後輩は、幸せそうな笑顔を浮かべて、気絶する。


「えいっ」


 メキメキメキ!


「にぎゃぁぁぁあ! せぼっ、背骨がぁ!」

「良いぞもっとやれマルカ」


 その気絶した後輩の背に乗り、マルカがプロレス技をかける。凄い楽しそうだ。

 ボキッ! という音が聞こえたのはきっと幻聴だろう。そして彼が泡を吹いているのも気のせいだ。マルカが()りきった顔をしていたのも、きっと気のせいだ。



◆◆◆


「どうも、殺気は………ごほん、さっきは失礼しました」

「謝る気あんのか」

「オレ、ああいや、自分は一年生の神谷(かみや)真琴(まこと)って言います」

「オレは………」

「ああいや、インデリア姉弟を含めて、アンタら………いや、先輩方はかなり有名なんで、大丈夫です」

「そうなんだ」

「美少女にしか見えない男の()、キース。正統派お嬢様、セルルト先輩。清楚可憐で合法ロリ………ひっ………まであと少し、マルカ先輩」


 マルカ、その睨みはやめような? すげー怖い。


「オレは?」

「女たらしのジゴロ野郎、死んでしまえイケメンが、のカルマ先輩」

「はぁ!? オレだけなにそれ!?」

「まあ、オレの偽らざる本音ですけど」

「偽れよ! て言うか酷いな!」

「うるせー! 朝霧先輩を返せ!」

「お前のじゃねぇよ!?」

「オレのだって言いたいのか、このジゴロ野郎! ヒモ!」

「誰がジゴロだよヒモだよ! それとも何か? 嫉妬か?」

「そうだよ文句あるか!」

「いいや? 素直な奴は嫌いじゃない」

「あははは、オレは、先輩のこと、嫌い、ですけどね」

「いちいち句切って強調するな!」

「オレに痺れろ憧れろ!」

「何故そうなる!? 別にオレ達にできないことを平然とやってのけたわけじゃないだろう!?」

「やめて二人とも! 私の為に争わないで! ………………(照)」

「「遅っ! そして照れとる!」」

「だって、恥ずかしいんだもん」

「「………」」

「チェストォォオ!」

「こまった時はそれかよ!」

「いや、恥ずかしいのは二人の反応だよ?」

「「………」」

「うわぁああん!」

「あっ………」


 いきなり、神谷が走って走り去って行く。


「なんだったんだ、あいつ………」

「類は友を呼ぶなぁ」


 梶原がため息混じりに沁々と呟く。どういう意味だよオイ。

 オレもまたため息を吐く。また1人、オレの周囲に騒がしい奴が増えたなぁ………。




新しいヒロインだと思った人!

「ハズレー!」

キースくんだと思った人!

「ニアピン!」

男の新キャラだとおm「正解!」

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