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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第二章 決意
30/100

Resolution:1 お嬢様突撃隊!

さあ始まりました、コメディに重きを置いた第二章が


一章とのギャップが………



第二章

《仲間》

◆◆◆◆◆◆◆◆


 ――――ここはポルトガルのとある財閥、インデリア家の屋敷。


「とある、と付いている意味が無いですわね」

「お嬢様、どなたに話しておられるのです?」

「お気になさらず。こちらの都合ですわ」

「わかりました」


 わたくしは自家用ジェット(・・・・・・・)に乗り込み、空を見上げる。

 正確には、『あの方』のいる日本の方角をだ。


「うふふふふ、ようやく居所を掴みましたわ。待っていて下さいな、カルマ様?」

「お嬢様、顔が悪人のソレになっております。正直吐き気……ゴホンッ…虫酸が走ります」

「あら、御免遊ばせ。それと、フォローになっていませんわ」

「お気になさらず」

「そうですわね。うふふふふふふ」

「お嬢様」

「あら」



◆◆◆二日後。日本


 ゾクゥ……。


「おおぅ……」


 5月に入り、桜の花も殆ど散って葉桜になり始めた今日この頃。そろそろ日差しも暖かさを超えて暑くなり始めているにも関わらず、オレは時間差で寒気を感じた。


「何だろう、嫌な予感がする。てか、時間差って何だ?」

「何をブツブツ言っている、カルマ」

「いやな、なんか嫌な寒気を感じたもんで」

「風邪でも引いたか?」

「この体では風邪も引けないだろうよ」

「それもそうか」


 マルカと二人、通学路を歩いていると、後ろから声をかけられた。


「おはよう、カルくん、マルカちゃん」

「はよー、桐久保兄妹」

「おはようございます」


 神騎ご一行だ。オレも挨拶を返す。


「おはようさん」

「おはようございます」


 マルカが恭しく頭を下げる。それはまるで、淑やかな大和撫子のごとく。


「ねぇ、マルカは私達の前でもその猫被るの?」


 梶原が至極真っ当な質問を投げかける。


「は? なんのことでしょうか? 全く身に覚えがありません。夢なのでは?」


 ニッコリ、とまさに天使の笑みを浮かべるマルカ。その後ろに魔王が見えた気がした。


 こんな光景が、オレが退院してからの日常風景となった。(オレとヒナタが公認カップルとなったに際して、学んだ事が一つある。それは、梶原に情報を漏らすと、その伝播速度はまさにマッハである)


「あれ?」


 そんな通学路の途中、ヒナタが何かに気付いたらしく、遠くを見るように目を細める。


「どしたの、ヒナタ?」

「見て、あそこ。ウチの生徒っぽいんだけど……」

「外人ね」


 梶原に聞かれてヒナタが指した先には、一人の外国人の女性がいた。黒い日傘に、緩くウェーブのかかった金髪が風に靡いている。服装は『青桜(せいおう)高校』のブレザーだ。ヒナタやマルカ、梶原と同じ物。


 その横顔を見た瞬間、オレは思わず額に手を当て天を仰いだ。はっはっは、直射日光が目に染みるぜ。


「私ちょっと声かけて来るね」

「あ、ちょ、ヒナタ!」


 オレが止める間もなく、ヒナタはその女生徒の所へ駆け寄った。


「あの、どうかしました?」

「Onde e apui?」


 ――ここはどこなのでしょう?

 女生徒は、オレ達に気付いていないようで、独り言のように呟いた。その呟きは日本語でも英語でもなかったが、オレには理解できた。


 ――――何故なら


「Isso que o heck……(なんてこった……)」


何故ならそれは、ポルトガル語だったから。そしてオレは彼女の言葉に引っ張られ、ポルトガル語で呟いてしまった。 その声で気が付いたのか、彼女はこちらを振り向く。

 そこからオレを認識した瞬間、彼女は流暢な日本語でこう叫んだ。


「カルマ様! お会いしとうございました!」


 そしてオレに抱きつく(・・・・)


「おおっ!?」


 と、梶原が驚きの声を上げる。


「ひゅうっ」


 と、佐伯先輩が感心したように口笛を吹く。


「ふふっ」


 と、マルカが新しい玩具を手に入れた子供のように、爛々と瞳を輝かせる。


「……………(怒殺)」


 ヒナタは一切の声を出さなかった。そのかわり、その背中に怒気と殺気を背負い、背後に阿修羅やら不動明王やら閻魔やら威嚇する子猫が見える。……最後かわいいなオイ。

 だが、今はそれどころではない。いやまあ、こちらの女性陣の誤解………というかヒナタの怒気を収める事が何よりも優先される事柄であり、可及的速やかに対処しなくてはならない問題ではあるのだが、今オレに抱きつくこの女をどうにかしなくてはそれすらもままならない。


 なるべく乱暴にならぬよう、力ずくで引き離す。

 間近で見たその顔は、やはりオレの知る顔だった。


「やっぱりお前か、セルルト」

「はい! お久しぶりでございます!」

「だー! 抱きつくな!」


 誤解されるだろうが! いや時既に遅しか!?


「セルルト、なんでお前が日本(ここ)にいる?」

「それは勿論、愛が故ですわ!」

「すまない、質問の内容が悪かったようだ。セルルト、とっととポルトガルに帰れ」

「質問じゃないですわ!?」

「だったら真面目に答えろ」

「それはそうとカルマ様、わたくしの事はいつものようにルル、とお呼び下さいな」

「話をすり替えるな」

「カルマ様のイケズ、ですわ」

「あっはっはっ、女じゃなかったら張り倒してるよ、ルル」


 危ない危ない。何とかブレーキを踏めたぜ。


「ねぇ、カルくん? その(ひと)は、誰かな?」

「ひぃ!」


 怖っ! ヒナタさん、目が笑ってねぇ! ていうかむしろ殺気が濃くなってる!?

 オレがルルを愛称で呼んだからか!?


「桐久保兄はバカねぇ」

「カルマだからな。頭は良いクセに抜けていると言うか、バカと言うか馬鹿(ウマシカ)と言うか」

「結局バカなんですね」


 黙ってろ外野! ひ、ヒナタさん? 何故にワタクシめの頭を掴みます? そしてギリギリと力を込め………


「あだだだだだだ! 止めて! 弾けちゃう! ボクの頭がザクロになっちゃう!」

「浮気、ダメ、絶対」

「ち、ちがっ……まっ、説明をっ……させ、ぎぃゃぁぁああああ!」


 そして空が紅く染まる。





 ……死ぬかと思った。自分の死ぬ瞬間を幻視してしまう程に。


「カルくん、説明」

「はい………」


 オレは力無く応える。


「すげー、1ヶ月経たずに尻にしかれてら」

「基本的にヘタレですから、兄は。肝っ玉が小さいと言うかケツ穴が小さいと言うか草食系と言うか」

「要はヘタレなんですね」


 だから黙ってろ外野。つーかたまにはフォローしろよマルカ。


「えっと、ヒナタ、コイツはだな…………」


 紹介しようとするオレの言葉を遮り、彼女は自分で名乗りを上げた。



「あ、申し遅れました。わたくし、カルマ様の婚約者(・・・)の、セルルト・インデリアと申します。以後、お見知り置きを」



「………………は?」


 ただし、超ド級の爆弾発言だったが。




あれですね、ギャグって難しいんですね。


上手く書けない




昨日、生まれて初めて降ってくる雪を見ました。

凄く綺麗で感動しました。



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