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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第一章 追憶
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Recollection:END エピローグ

ようやく一章が終わりました。次はギャグ重視の第二章!


だからまずはここで締めないとねっ!(^ー≦d)



 かつてその町に、少年と少女がいた。

 彼らは幼くも互いを愛し、約束を交わした。


 ―――ずっと一緒に


 だが、少年は親に連れられ町から去った。互いの約束と心を持ったまま。


 時は流れ、少年は帰ってきた。

 魔人と神騎。相反する両極にありながら彼らは互いを想い合い、それ故にすれ違った。


 しかし、それも終わる。


 二人はぶつかり合い、壊れかけ、その果てに再び心を結び合った。

 少女は願う。「アナタの道に寄り添いたい」と。

 少年は誓う。「もう離れない、離さない」と。



 長い時の果てにあった追憶の物語はここで終わり。


 次に始まるのは彼ら彼女らの決意の物語。



 訪れるのは、暖かな日常。

 出会うのは、新たな仲間。


 だけどその前に、もう少しだけ、彼らを見よう。

 時の果てに心を繋いだ、彼らの姿を―――――。




◆◆◆



 キスを終え、互いに見つめ合う。この上なく恥ずかしいが、だがまぁ、なんというか万感の思いである。

 初めは、わざと距離を置いた。その次は騙した。最後に、傷付けた。

 これだけ書くと最低なことこの上ないが、事実だから仕方がない。自分を殴り倒したい。


「か、カルくん……あの、そのっ………」

「……なんだ?」


 動揺の余り、普通の声を出すのが精一杯だった。

 ヒナタは上目使いでコッチを見てくる。なにこの生き物。悩殺される……っ!


「こ、これから、よろしく、ね?」

「ああ、よろしくな」


 また、顔が近づいて――――


「ヒナター、桐久保ー!」


 ―――――音速の速さで離れた。


「ななな、なに? サナちゃん!!」

「どどど、どうかしたのかっ?」


 オレたち二人の態度に、梶原は最初きょとんとしていたが、すぐに「あっはぁ」と納得したような笑い声を上げて頷いた。


「べぇーつにぃー? ただ病室の修理が終わっただけよ」

「そうか」


 梶原がニマニマと笑いながらこちらを見ている。ガン見だ。


「なんだよ」

「いやぁ、割とウブなんだなって思ってさ」

「オレを何だと思ってる」

「オオカミの毛皮を被ったオオカミ」

「結局オオカミじゃねぇか」

「つまりは肉食系」

「馬鹿を言え。オレほど謙虚で誠実で草食な男子はいない」

「嘘つきめ」

「なにを言うか。オレは生まれてこの方、一度たりとも嘘を吐いたことがない」

「舌先三寸」

「酷い言われようだ」


 なんだかんだで梶原との会話は楽しい。


「カルくん、私もあんな会話が出来た方がいい?」

「お前はそのままでいてくれ、ヒナタ」

「おーおー、歯茎の浮くようなセリフを吐くね、この羊羹男は」

「誰が甘ったるい栗羊羹だ。亜麻髪なめんな。風が優しく包む歌にもなってんだからな」

「栗羊羹なんて言ってないわよ。あと歌になってるのは乙女ね」

「ししし知ってらい! ………っと」


 いきなりの目眩に、少しバランスを崩す。

 すぐにヒナタが駆け寄り、体を支える。


「さっさと病室に戻りなさい、桐久保。アタシたちで丹精込めて直したんだから」

「そいつはありがたいな。雨漏りしそうだ」

「あら、喧嘩でも売ってる? 買うわよ?」

「税込み五万円になります」

「ぼったくりもいいとこね」


 歩きながらも、結局こんな会話をしてしまうのは、やはり性格なんだろうな。

 ヒナタが少々では収まりきらない嫉妬の炎を背後に出しているので、この辺で切り上げるべきだろう。

 そうこうしている内に、病室にたどり着いた。


「……あれ?」

「なんか……綺麗になってる」

「綺麗というか、豪華だな」


 ホテルのスウィートルームかと思った。


「アスカ先生が今夜だけ特別って言ってたよ。安心して、完全防音だから!」


 片目を瞑り、サムズアップして見せる梶原。

 いらん気を回しやがって。怪我人に何を期待している。ああ、ナニか。やらないけど。


 梶原に押され、部屋に押し込まれる。鍵がかけられる。閉じこめられた。オイっ!


「ささささサナちゃん!?」

「オイコラっ!」


 反応は無い。


「えっと、カルくん? わ、私、そのまだ経験……」

「いや、やんないから。ていうか体力気力ともにそろそろ限界です」

「そ、そうだよね! うん、そうだよね………」

「そんなあからさまにガッカリしなくても。結構傷付く」

「あ、ごめん」


 オレはキングサイズのベッドに潜り込む。

 顔を上げると、ヒナタが所在なさげに佇んでいた。


「……入るか?」

「えっ?」


 何を言ってんだオレわぁぁああ!

 しかし、ヒナタは少し驚いていたものの、素直にベッドに入ってくる。

 そして、頬を朱く染めながら微笑む。


「おやすみ、カルくん」

「おやすみ、ヒナタ」


 瞼を閉じると襲い来る睡魔に抗わず、オレは直ぐに意識を手放した。

 愛しい温もりに抱かれて。







 翌朝、オレが男の生理現象に苛まれ、梶原達の追及を躱す事に死力を尽くしたのは、言うまでも無いだろう。



 そしてその日から、オレの日常が始まった。



ちょっとグダりましたけど、これで一章は終わりです。


二章もお楽しみにっ!


本日は今話も含めて三話上げました

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