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あの日交わした約束を  作者: フリムン
第一章 追憶
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Recllection:10 狩魔VS魔人

おかしいな、バトルメインで書こうとしたのに、何で説明がメインになっているのだろうか?





「うにゅる…」

「んあ…?」


 前にどこかで聞いたことのあるようなマルカの寝言で、オレは目を覚ました。


「何故にマルカはオレをベッド代わりにしているんだ」


 マルカを落とすように立ち上がり、周囲を見回す。そして、冷静に状況を整理し、理解しようとする。


「オレはまず、寝ていなかった。それなのに、気づけば寝ていた。それはあまりに不自然だが、恐らく今現在、起きているのはオレと、下にいる神騎、魔人だけ何だろうな」


 そう、下の方、つまりグラウンドでは魔人と神騎がなにやら話し合っていた。


「下にこの間の二人がいることはほっといて、これはつまり、『人間』は眠り、神騎と魔人が起きている。オレは魔人化しない限り半分以上が人間で、マルカはほぼ完全な魔人。ということは……」


 オレは床に落として尚、ぐっすりと寝ているように見える(・・・・・・)マルカに近づき、手刀を繰り出す。


「起きろアホゥ!」

「ひでぶっ!」


 ゴス! という鈍い音が響き、マルカの悲鳴が上がる。


「何をする!」

「てめぇ、ちゃんと『言霊』を防がなかったな!」


 『言霊』とは、魔人や神騎の使う、力の籠もった言葉の力。『言霊』に攻撃力など、直接戦闘へ影響を及ぼす力は無いが、結界や、無関係な人間を巻き込まぬよう、今回のように眠らせる事ができる。

 ちなみに、この間ヒナタがオレにやったのも、言霊だ。


「アホか!そもそもお前自身が言霊苦手だろうが!」

「お前、オレの魔人部分だろうが!気合いで何とかしやがれ!」

「できるかぁ!」


 確かにオレは言霊が苦手で、マルカにも期待していなかった。だが、今オレはそれよりも気になる事がある。


「じゃあ何でお前まで寝てんだよ」

「………」

「ヲイ」

「…ついうっかり?」

「何で疑問形?」

「……テへ」

「可愛くないから止めろ」


 ……嗚呼、オレの愛しい妹様は、どうにも救いがたいアホの子のようだ。


「で? どうするのだ、カルマ? 介入するのか? このまま放っておくという選択肢も………聞くだけ無駄か」

「わかってるね、さすがマルカだ」

「仕方が……ってオイコラちょっとまて!」

「んだよ?」

「このまま行くのか」

「当然」


 そう言って、オレはマルカの首根っこを掴む。


「よっしゃ! 行くぜマルカぁ!」

「ああ! だがせめて首から手を離せ!」


 屋上の鉄柵に足をかけて勢いよく飛ぶ。


「「魔人変躯(イーヴィル・トランス)!」」


 オレとマルカの体を光が包み込む。


『目標は赤魔人だ!』

『やけにテンションが高いな、カルマ』


 そしてオレは、すっかり油断し、がら空きになった赤魔人の頭部へ踵を振り上げた。







 結論から言おう。

 奇襲は失敗した。


『もらっ―――たんがふ!』


 確実に会心の一撃だった踵落としは、横合いからの強い衝撃で中断させられた。


『誰だ!?』

『俺だ!!』


 質問に対し、即答したのは、やけに体格のいい黒い魔人だった。

 ていうか、みんなの視線がオレに集中してやがる。


「君は確か」

「あの時の!」

「アナタが〈同胞喰らい〉ですか?」

『ようやく会えたな、〈同胞喰らい〉よ』

『〈覇拳〉と似ているな』

『黒が赤黒くなっただけだねぇ〜』


 ええい、いっぺんに喋るんじゃねぇ!


『ああそうだよオレだよ!』


 少々ヤケクソ気味に言ってみれば、魔人四人が一斉に襲ってくるという、熱烈歓迎サプライズが行われてしまった。


『え、ちょ、まっ……わー! それ反則ー! タイム、ターイム!』

『問答無用』

『熱、あっつ! 無用にしないで! ていうか問答らしいこと一つしかしてない! 熱いから火は止めて!』


 赤魔人の火から逃げつつ、他の魔人の攻撃にも警戒をしてみるが、一向に攻撃の気配がない。


『アイツ、熱いて言ってる割には、無傷そうだね』

『そいつぁすげぇ。確かにさっき、わき腹にキメたんだが、てんで効いて無かったぜ』

『頑丈な奴だ』


 三人は何やら話し合っているようで、こちらに攻撃をして来る気配は無い。


『フン、あの〈抉りし鬼〉が瞬殺されるだけの事はあるな』

『そうかい?』

『故に、我は貴様と戦おう』

『いやいやいや、話が繋がってねーよ!? いやまぁ別にいいけどさ』


 互いに距離を取る。

 すると、他の魔人達は不用意にオレ達の名を聞かぬよう、神騎達へ襲いかかる。

 魔人には、〈称号〉と『名前』がある。〈称号〉なら、いくら聞かれ、名乗ろうとも問題ないが、『名前』は魔人にとって魂の本質であり、オレら人魔にとっては、人間の証。

 『名前』を知られるということは、相手に生殺与奪権を与える事。だから、互いに名乗りあえば、互いが互いの命を奪い合うということを了承したということだ。

 殺さぬ相手の名は聞かない。それが魔人達の不文律(ルール)であり、神騎には無い習慣(ルール)だ。


 まぁ、オレの場合、名前を神騎達に(特にヒナタに)知られると、厄介な事になるので、魔人達の行動はかなり助かる。


『吾が名は〈火喰い〉フレア。火を喰らい、火を操り纏う者なり』

『吾が名は〈同胞喰らい〉カルマ。魔を狩り、己が(つみ)を纏う者なり』


 互いに名乗り終えた時には、すでに他魔人と神騎達は戦っていた。


『へっ、お互い喰って纏う者同士、頑張ろうぜ』

『ふん、断る』


 その会話を最後に、周囲は炎に囲われオレは走り出した。




『燃えろ!』


 フレアの手が閃き、極太の炎が襲い来る。


『ふん!』


 避けきれないと判断し、両手を前に突き出し、受け止める。


『炎の剣よ!』


 剣の形を作り、硬質化された圧縮熱の剣が横から突き出される。


『こなくそ!』


 身を捩り、何とか躱すも、止めていた炎が直撃する。


『どうした、〈同胞喰らい〉。防戦一方じゃないか』

『るせーな、判ってるよ』

()ぜろ』


 周りの空気が爆発する。その爆炎を突き抜け、フレアの方へ詰め寄るが、フレアは陽炎(かげろう)のように消える。

 炎の威力は大したこと無いが、精神的にキツい。

 正直、物凄くやりづらい―――


『どこだ!』

『ふははは、ここだ』

『ここか!』

『あべし!』


 ――なんて事はなく、既に戦法と特徴、弱点を見破った今、大した脅威ですらない。

 戦法は、爆発や砂埃、陽炎での目眩ましと撹乱。

 特徴は、爆発する瞬間や燃える瞬間、言霊で酸素を集めていること。

 弱点は、急速に酸素を集める為、こんな炎の中でも空気の流れがわかる事。そして、フレアの手許と、発火地点に酸素が集まる事だ。


 て言っても、気付いたのはマルカだけど。


『発火地点は足下、奴は右斜め後ろだ!』

『了解!』


 オレが飛び退いた瞬間、その場所から火柱が上がる。


『セイ!』

『がっ!』


 回し蹴りがフレアの首を捉え、吹き飛ばす。


『何故、我の居場所がバレる!?』

『隙あり!』


 拳が、無防備なフレアの顔面を捉え、体ごと吹き飛ばす。


 ここからが、オレの番だ。

 払い、走り、肉迫し、殴る。

 躱し、跳び、接近し、蹴る。

 オレの流れに飲まれてしまったフレアは、何もできず、ただ攻撃され続ける。

 甲殻が割れ、紅い血が流れ、腕が折れる。だがオレがまだ殴るのは、彼が致命傷を紙一重で躱すからだ。


 ズン! 鈍い音と共に、オレの膝がフレアの腹に突き刺さり、彼は口から血を吐く。


『ぐふ! がっ…こ…の……、な……めるなぁ!』


 フレアの(からだ)から、先程までとは段違いの熱を持った青白い炎が溢れ出し、その炎は容赦なく地面を焦がし、フレアの躯を灼く。


『【超臨界発火(オーバー・イグニッション)】!』

『なっ!? 名前付き? 魂術か!?』


 魂術。魔人や神騎の使う能力とは違う、魂に刻まれし(わざ)

 代表するならば、オレの【冥道開通】がそれに当たる。


『否!これは我が作り上げし、我が身、我が魔力を炎に()べ、万物を灼く炎を作り纏う自作技術(オリジナル)だ!』

『それはまた、代償の大きな力だな』


 フレアは手をかざす。


『【超炎(オーバー・ブレイズ)】』


 莫大な青白い炎熱がオレを襲う。


『くっ!』


 紙一重で躱すものの、その炎が掠ったオレ甲殻は、一瞬にして灰になる。


『まずいな、カルマ』

『ああ、これは迂闊に近づけねぇ』

『だが、奴の自壊を待つという選択肢は無いのだろう?』

『それがオレだからな。応えてやろう、アイツに』


 魂術を少し発動する。

 オレは魂を削り(・・)、魄で繋いだ冥界の力を纏う。


 フレアの超臨界発火(オーバー・イグニッション)による炎は、今も奴の身を灼き、オレに襲い来る。

 一触全焼瞬灰の(とにかくヤバい)熱量を持つその炎を、何とか避けながら、フレアをオレの射程圏へ入れるため、近づいていく。


『超炎に灼かれ、魂の髄まで灰燼となれぇ!』

『輪廻の回廊へ誘われろ!』


『【超臨界溶岩(オーバー・メルト・ラーヴァ)】!』

『【冥道開通】!』


 フレアの放つ、巨大な溶岩の奔流は、まるで龍のように迫りくる。

 それを真正面から、冥道の穴が飲み込む。穴の持つ吸引力は、全ての力を使い切り、疲れ果てたフレアを引き寄せる。


『じゃあな、フレア』

『……………さらばだ、カルマよ』


 冥道へ吸い込まれたフレアは、甲殻の色を失い、やがて光の塵となって消え去った。そして彼がいた場所には、青く輝く光の球が浮いていた。

 その光の球こそが、魂。


『いただくぜ』

『ああ』


 左胸が紅く輝き、左腕で魂に触れれば、魂はすぐにオレの体へ吸い込まれ、オレの魔力となってゆく。


 魔人は人間の魂を食べる。

 人魔は幽霊の魂を食べる。

 オレは魔人の魂を食べる。

 それが、オレが〈同胞喰らい〉と呼ばれる所以だ。








 さあ、次は誰が相手だ?





次回もバトル予定です。ていうか、あと三回バトルします。

カルくんは後一回ですけど。

頑張ってバトルを書いちゃいます!



次回は12/28 6時予定です

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