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仮13話 パートナー 後編

  ◆ ◆ ◆ 




『いくらアツシでもあんなとこさわっちゃだめなんだから』


「ご、ごめん、俺狼の身体とかよく判らなくって」


『おーかみじゃなくてらいてんろうっ。もう、アツシじゃなかったらうーんとかみついてやったのに』


「カミついてあげればよかったノデス」


神獣でも女の子は女の子らしい。人間なら胸揉みしだいたようなもんだとか。

そりゃぶっ飛ばされても文句言えないな……


「反省してます。このとーり」


『もう。あんなことしちゃダメなんだからね』


「ダメですからネー!」


「ハイ」


『でもアツシになでなでされてるとゆるしちゃう……』


平伏後、何度もなでなでしたり抱きしめたりしてようやく許してもらえました。

魔神が一緒になって怒ってるのはちょっと違うと思うが。

ああ、今日も夕日が赤いぜ。



――って夕日?うぉい、もうそんな時間かよ!



「ごめんってば。って、こんな時間か。そろそろ街に戻らないとヤバい」


今からダッシュで帰ったとして日没までに帰れるかどうか。

門閉まってたら最悪だ。


『えっ……いっちゃうの?』


シルティが一転、俺の手を甘がみしてきた。

うう、すまない……しかし今日は一度街に戻らないとやばいんじゃよ。

宿とれるかはわからないけど、とりあえず昨日の話聞かないとだし……


「こんなカワイイシルティを置いていくなんてアツシさんヒドイ人デスネー」


判ってるんだから追い討ちすんじゃねぇよ、泣いちゃうだろ。


「そうは言っても、お金稼ぐには街で生活しないとダメなんだよ……」


『わたし、がんばってモンスターたおすよ?』


手なめながらそんな目でみちゃらめぇぇぇぇ?! 

こう、俺の決心は砂のお城なみに脆くて崩れやすいのだ。涙かけられちゃ一瞬だって。


「ワタシがまきアゲ……うぉほん。もらってきマスヨー?」


おめぇのは洒落になんないからー!


「ほ、ほら、将来シルティと住むためにもお金稼がないとダメなんだよ」


『わたしのため……?』


「やっぱりワタシはハイってないんデスネ、よよよ……」


断っても押しかけてくんだろ。てかよよよってどこの平安貴族だ。




それから押し問答、どうにか納得してもらった。

時間がいよいよヤバい。野宿は勘弁して欲しい。


と思ったが意外な助け舟がきた。


『じゃあもりのでぐちまでわたしがのせてく!』


「嬉しいけど大きさ的に無理じゃないか?」


『チェルティさまがまえにおおきくしてくれたよ!』


じーっ。

魔神は顔をそむけて口笛ふいてやがる。


すぱこーん。


「うう、バレちゃ仕方ないのデス……」


自分が乗りたかったんですね判ります。




そして無事に(?)大きくなったシルティに乗って森を駆けた。

少し怖かったけど、それ以上に嬉しかったな。

詳細はいつかシルティが成長した時まで秘密にしておこう。

縁起担ぎと言われればそれまでだけどな。

親が子の無事を願う気持ちってこんな感じなんだろうか。


ちょっぴり感傷に浸っている間にもう出口だった。

なんだこの速さ。…ええい、深く考えるのはやめよう。

せっかく送ってくれたんだしな。

魔神はもちろん置いてきた。




「ありがとな、シルティ」


『うん……』


全身からして元気がない。頭をゴシゴシと撫でてやる。


「元気だせって。すぐに会えるよう頑張るからさ。それにいつでも話できるんだろ?」


『うん、おたがいのことつよくおもえばとどくってチェルティさまが』


「なら大丈夫だろ。あんなんでもえらーい神様なんだしさ。な?」


『うん…』


まだ子狼だもんな。甘えたい年頃だし。

なのに知ってる人が俺と魔神しかいなくて。

寂しさや不安、怖さなんかが押し寄せてるのだろう。

…神様達は遠すぎるからノーカウントな。


ともかく埒があかないので、秘密兵器をだすとしよう。

俺だって一晩何も考えなかったわけじゃないのだ、ふはは。


「それに1日1回でよければ会うことできるぞ?」


『えっ、ほんと?』


尻尾がぱたんと跳ね上がった。


「ああ。契約者特権なのかな、頑張ったらシルティ召喚できるみたい」


『しょーかん?』


「シルティがどこにいても呼び出せる、ってこと」


『そうなの?やった!』


俺を見ながらくるくるまわったり跳んだり。

元気になって何よりだ。


「まあ落ちついて。そのためにはシルティが結界上手にはれないとダメなんだ」


『けっかい……?』


「詳しくはチェルティに聞いたらいい。お互い頑張らないといけないのは確かだな」


『わかったっ。ほんとにアツシにあえるんだよね?』


「ああ、それは間違いない」


召喚だしな。原理は判らないけど、ステータス見る限りシルティの固有結界内から呼び出せるのは間違いないだろう。


『じゃあ、わたしがんばる!』


「ああ。俺も頑張るからな。それじゃそろそろ行ってくる」


嘘の部分もあるので、わずかに心が痛んだ。

MPさえあれば一日何度でも呼べるはず。


でもそれを言うとシルティが俺に依存しすぎる気がして。

この子には少しずつ独りに慣れてもらわないといけないんだろう。

その上で、俺は大事な友達として一緒に生きていきたい。

甘い言葉を囁くばかりがパートナーではないはずだ。




『………うん。いってらっしゃい!』



今日俺達はとても大切な一歩を踏み出せたのだ。

そう、思いたい。










――街に入ったところで案の定魔神がすねてなければ綺麗に終わったんけどな!


「2人で盛り上がってズルイのデス、仲間ハズレナノデス……」


こいつのボッチ癖も相当なモンだぞ。

よく今まで世界は無事だったな。

…ああ、神様達が犠牲になってたのか。


神界に同情の念を送りつつ、魔神の頭をはたいて引きずるハメに。

つっこみなしで綺麗に一日が終わる日はいつになるやら。


俺の呟きは誰に聞かれることもなく街の石畳に吸い込まれるのであった。



シルティの種族は神獣・雷天狼です。魔神のえこひいき……もとい極大加護による特殊能力雨あられつき。能力値は魅力と幸運以外普通です。魔力のあるブルーウルフ。生まれた手でLVが低いだけですが。


なお仮投稿については誤字脱字のチェックをざっと1度しかしていません。

お目汚しだと思いますが、仮ということでご理解いただければと。

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