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仮12話 共同作業

初のPT戦。ステータス掲載してないので判らない部分がかなり出ると思います。

ですので、該当部分だけでも。

固有能力:森林不敗 <創造神の名において森や林の中で決して傷つかず魔力は尽きず 能力も強化>

ぺろぺろ。


頬をくすぐられる感触で目が覚める。

ベッドに潜りこんだシルティがすぐ横にいた。

その横には魔神。あのまま3人で寝たのか。ごくり。

いや、あれは女じゃない魔神だ魔神……


気をそらす為シルティを撫で撫で。

目を閉じて尻尾ふりふり、満足そうで何よりだ。

と、朝日か昼日?だかの中シルティの変化に気付く。

前は青がかった銀の毛並みが白と黄色の筋の入った銀になっていた。

色が属性を表すなら天と雷、ってことだろう。

前もよかったけどこっちも綺麗だな。


「おはよう、シルティ」


『アツシおはよう!』


「もう、こんな美人さんになっちゃって」


飼い主バカになった俺は満面の笑みで撫で続ける。

最高の目覚めだな今日は。


いつまでも寝てるわけにもいかないので身を起こす。

もちろんシルティに無理がかからないようゆっくりとだ。

銀の身体はそのまま魔神の上に寝転がったけど問題はない。

まずはメシだなメシ。ボックスには一応肉入ってるけど。

せっかくだからシルフィといっしょに獲りたい。

問題は強敵がでたら俺がヤバそうってところだが……


「シルティ、エサとりにいけそう?熊とかオーガとか大丈夫?あと毒も」


『うん、だいじょうぶ。この森のことはまかせて。どくもなおせるとおもう』


なんとも頼もしい。

まあ固有能力的に負けそうにないしな。

情けないけどシルティに隠れておこう。


まだ安眠を貪る魔神を残し俺達は外に出た。

寝言で神様達に物騒なこと言ってたのは聞かなかったことに。

暖かい風。太陽はそれなりに高い。水だけ魔法で飲んでおく。

工夫したらそのうちジュース出せたりしないかな、なんて想像しながら森へ踏み出した。



森へ入るまでは内心ちょっとビビってたのだけど。

情報ではオーガや熊、虎までいるって聞いてたからな。



でも俺が敵らしき気配を探知するや否や。


『アツシ、くまがいる。しかけていい?」


なんて聞いてくれちゃったわけで。

俺の気配探知ではかろうじて赤い気配の方角が判ったくらいなんだが…

OKすると軽やかに駆け出した。俺がギリギリ追いつける速度なので気をつかってくれたようだ。

ステ上はこちらが速いはずだけど森林不敗で相当強化されてるっぽい。


少し走ると黒ずんだ巨体が見える。

あれがグリズリー…いやグリグリーか。こめかみグリグリしたくなる名前。

シルティの速度が一気に上がる。はえぇ!誇張なしに銀の弾に見えた。

遅れてグリグリーが気付き振り向くが、時遅し。

シルティから光が放たれ熊の顔に直撃すると同時に銀の弾丸が掠める。

すれ違い様に爪を振るったようだ。そのまま後方にまわりこんでいた。

グリグリーは激しく咆哮し顔を押さえて腕を振り回すが当たるはずもない。

動きは鈍く脇からは血が溢れ。麻痺しているのかも。


それを見てかシルティは額を光らせ少しだけ動きを止めた。溜めってやつかな。

もちろんグリグリーは気付かない。

やがて大きな光となったところで首を振るとまさに稲光がグリグリーの背を貫く!

巨体は動きを止めそのまま倒れこんだ。どしん、と鈍い音を響かせて。


お見事。思わず拍手していた。

雷撃で倒れなかったら走って首筋ガブリ、だろうな。

視界が潰れた時点で勝負は決まっていたか。


「シルティすごいじゃないか!」


『えへへ』


これに加えて森の中ではダメージゼロMP無限だもんな。

チートすぎるがGJだ魔神!


「それで、このまま食べるの?」


『うん。でもアツシがなにかするならまつよ』


お腹減ってるだろうに健気な子。おにいちゃん涙でそう。

ちょっと試したいことがあったのでお言葉に甘えよう。


「これからちょっと手品してみるからな。他にはヒミツだ。チェルティは知ってるけどな」


『うん!』


もちろん軽々しく喋る子じゃないだろうが。ヒミツ共有ってのがいいんだよ。

独り弁明しつつグリグリーの死体に近づく。死んでいるのは気配探知で確認済みだ。

死体に触れ、ドロップ回収と念じる。すると当然ながら淡い光と主に消え去った。

アイテムボックスを見るとグリグリーの肉×2 グリグリーの皮 グリグリーの牙 グリグリーの肝 を確認できた。

牙が討伐証明としたら後は売れるのか。肉が2つなのは量が多いからだろうな。熊の肝って漢方薬だっけ。

頭の中の算盤が勢いよくまわりだす。じゅるり。


『わわ、アツシすごい!』


「ふふーん。ちゃんとお肉もあるからな」


力瘤を作ってみせた。何にもしてない俺が自慢するのはどうかと思うがまあ、ノリだ。

肉をボックスから取り出すとこれまた驚いてくれた。

こういう新鮮な反応を待ってたんだ。他見せる相手が魔神だけだったせいだけど。


「さて、肉くうか」


『うん! あ、まって。なんかくるよ。このにおいはもっとおっきいのかな』


言われれば確かに気配探知に赤マーク。同時に何か音が聞こえた。

自然顔が強張る。グリグリーより大きいとしたらオーガマしかない。

熊のCより高いBランクの敵。俺がまともに戦ったらかなり危ない。

何故マがついてるかは非常に気になるところだが。


『だいじょうぶだよ』


こちらの不安を感じてか声をかけてくれる。俺には過ぎた相棒だぜ……


「今度は俺も戦う。試したいしな。あわせてサンダー撃っていいか?」


『うん!』


水を飛ばせれば雷によさそうなんだが、今の水魔法では到底届かん。

今後の戦術練ってスキル育てないとな。


なんて思ってるうちに銀色が走り出す。

慌てて追いかける。そうか、身体が小さい分速度を攻撃力にするのか。

コンビネーション磨こうと決める俺であった。


なんとか距離を保っていると遠くでもわかる巨体が目に入る。

ありゃデカい。2mはおろか3m近くないか?

何かの獣の皮を服代わりにでっかい棍棒をもって木をなぎ倒しつつ歩いている。

森がハゲてないところを見るとオーガマ道とかあるんだろうか。

クネクネしてそうでイヤだな。


まだこちらに気付いている風もない。シルティはもうすぐ届く距離だ。

鈍いのか、と思った瞬間にシルティが跳んだ。

2m以上跳躍してオーガの首筋に牙を突き立てる!

遠見を使うと食い込んでる様子がありありと見えた。


しかし即死はしなかったようで、引き離そうと手や棍棒を振り回している。

マズい。いくらノーダメージと判っていても棍棒で潰されるのは見たくない。

シルティはそこから雷撃にもっていくつもりなのか、身体を光らせていた。


よし。


「サンダー!」


掌を向けて大きな声で叫ぶと、細い筋がオーガ目掛けて突き進む。

初めて使ったものだから狙いが甘いのなんの。

かろうじてオーガの脚に当たった程度。

攻撃力に期待してなかったからそれでいい。

思惑通り、声と刺激に反応したか一瞬オーガがこちらを見た。


「サンダー!サンダー!サンダー!」


下手な鉄砲数うちゃ当たるってな。

練習だと思えば丁度いい。消費MP2、今なら50連発いけるぜ。


今度は身体全体に満遍なく命中。

首が痛いだろうから動きは止まらなかった。

でも10発撃てば流石に注意はひけたらしい。

棍棒の軌道が首近くから水平方向へと変わる。


それで十分だった。


シルティの身体がより強く光って―――




轟音と共に、オーガが崩れ落ちた。




恐らく牙なり口なりから身体のなかに雷撃流し込んだんだろう。

心臓を麻痺させたか、オーガは即死のようだった。

うつ伏せだが真っ黒く焦げた首周りが雷撃の強さを物語る。


一方で俺のサンダーは焦げ目ちょっと作るくらいか。

撃ち方適当すぎだったしな。まだまだ修行が足りん。

シルティの雷撃が強力すぎるとも。LV1の威力じゃねぇぞ。

ちゃんと詠唱すればこちらもパワーあげられるのかねぇ?


「シルティ、お疲れさま」


『ううん。アツシのおかげでらくだった』


社交辞令としてもそう言われると嬉しいものだ。

さて、ドロップ回収と―――



そう思って近づいたところで俺の思考がフリーズした。


シルティが首を傾げている。


『どうしたの?』








オーガマの背中にはでかでかと マ の一文字が書いてあったのだ。




「そ、それでオーガマなのか……」


激しく脱力した俺はぺたりと座り込む。心配そうにのぞきこむ銀色の影。


『……だいじょうぶ?』


「あ、ああ。ちょーっと驚いただけだ」


こうなると表もじっくり見たくなるがこれを裏返すのは厳しそうだ。

次にしよう次。


ドロップ回収をすると オーガマの皮(小) 巨大な棍棒 オーガマの耳 と確認。

皮が小なのはあちこち黒焦げにしたからだろうな。

グリグリーは背中と顔だけだったから表半分とれたってことか。

肉は食べれないらしい。まあ人型だしな……

討伐証明が耳なのは意外だけど。棍棒は何に使うんだか。

……というか1人で持ち上げられるのかアレ。



とにかく脅威は去ったのだ。

くよくよ考えるのはなし。



「よし、小屋に戻ってメシにしよう!」


『うんっ』


帰る途中シルティに聞いて木の実とか茸も採っていく。

食べられるかは色で判るらしい。想像したら場所が判るとも。

食糧鑑定つきってか。地味に食糧常在すげぇ。

無くても落ちてくるんだろうし、森暮らしできるなこれ。




小屋に戻ると魔神はまだ寝ていた。

しょうがないからシルティに顔を舐めて起してもらう。

こいつにとってはご褒美だろう。

口を開かなければ美女の顔を舐める銀狼。

うーん、素晴らしい。


『なにがすばらしいの?』


「なんでもない」


筒抜けっぽいのが玉に瑕だけどな!



寝ぼけながらも嬉しそうな魔神の頭をはたくと外へ連れ出す。

ボックスから取り出したグリグリーの肉を焼いて皆でかぶりついた。

やや臭みがあるが悪くない。旨みもある。手作業でちゃんと血抜きするといいのかも。

塩が欲しいところだがなくてもまあまあいけるな。

生も食べたシルティの感想では焼いた方が若干甘味がでるとか。

魔神はシルティが狩ったと聞いて味関係なく嬉しそうだったがどうでもいい。



こうして俺達は初めての狩りを終えたのだった。



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