アンチという嵐の国、それでも彼女は平和を祈る
『アンチ』の国に転生した少年と、その国で『平和』を祈るシスター。
『ドーナツ反対!』『輪っかのお菓子は作るな!』『ドーナツを食べる奴らを殺せ!』
「ヤバいヤバい」
怒鳴るように叫ぶ国民たち。
ぼくは走りながら布で、カゴの『それ』を隠す。
『これ』が見つかってしまったら殺されてしまう。
この国は、流行っているものに猛反対をする国民しかいない『アンチ』の国。
魔物はいないけど『アンチ』が世界を揺るがしている。
その本拠地だから、もう。
「早く行かなきゃ、早く早く」
「神よ、この世界を平和にして下さい」
聖堂、13歳のぼくよりも4つ上、『前世』だったら高2のシスターは、聖堂で祈っている。
…、やっぱり可愛い。金髪美少女とか『日本』だったらレアだったし。
可愛い顔で、凛々しく祈っている。
それが終わるとぼくは、
「こんにちは、シスター」
「えっ、えっと…」
戸惑うシスター。顔は向けてくれない。
別に、嫌われてる訳じゃない、多分。
ただ、人が苦手なだけ。だから、この国に左遷されたんじゃないかって思ってしまう。
「これ、食べませんか?」
布を取り、『それ』を見せる。
「そ、それは」
驚いた表情。
「ドーナツですよ、ドーナツ。シスターのために作ってきたんです」
異世界に転生し、『ドーナツ』があることを知って、ぼくも作ってみた。
それが店員たちに好評で、ぼくの働いていたお菓子屋のメニューに、加えてもらってたんだけど。
「わ、わたしが食べても大丈夫なんでしょうか」
「シスターのために作りました、暴動がうるさかったですけどね。
もう、この国では作れないから」
世界で『ドーナツ』が流行り『アンチ』が猛反対、ぼくの前世流ドーナツがきっかけか、分からないけど。
そっ、とシスターはドーナツに触れる。
「美味しい…」
笑顔のシスター。
「この世界が平和になればいいけど」
「神様は必ず聞いてくれます、そもそもこの世界は平和なのです」
「マシンガンがはじまった」
『平和』になると饒舌になる陰キャの美少女。
もっと作りたかったなあ、可愛いから。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




