表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

合わない箇所

掲載日:2026/04/06

短編です

 平日の真昼間、人通りの少ない公園で、私はベンチに座っている。

ついさっき買ったばかりの、激アマクリーム系ドリンクは、砂利の上に飛び散っている。私はそれをただ見つめるばかり。

 少ない人通りの途中、私の目の前を通り過ぎる人たちが、コソコソ私の事を気にしている様な気がする。でも私は、地面に取られてしまったそのドリンクを見つめることしかできなかった。

 なんで、どうして、何がいけなかったのか。ついさっき急に別れを切り出してきた彼氏の言葉を反芻する。

「お前、俺の事本当に好き?」「俺と一緒にいるの大変なんだろ?」「俺たち価値観合わない気がするんだ」みたいなことを言われたんだけど、私は別に、何も思ってなかったはず。

 ただ、上げるとすれば、私は激アマ系ドリンクはそんなに好きじゃない。コーヒーも、紅茶も何も入れない、ブラックやストレートが好きだ。でも彼が激アマドリンクが好きだから、と一緒になって飲んでいただけ。あ、やだ、買ったばかりの黄色の靴に飛び散ってる・・・。最悪。お気に入りなのに。

 あと、カラオケは一人で行く方が好きだ。誰かと行くと変に気を使ってしまうから。それに、彼は、わかりやすい恋愛系の歌を好むけど、私はあまりその辺は聞かないから、いまいち盛り上がらないんだよねぇ。でも彼のデートのコースには必ずカラオケが入っているから、仕方なく一緒に行っていただけ、ではある。

 あれ、私もしかして彼の事あんまり好きじゃなかった?いや、そんなことは無い。わかりやすい所とか結構好きだったし、笑顔が可愛いのだ。クシャクシャっと顔を真ん中に集めたような笑顔が印象的な男だった。

 それは、確かに好きだった。うん。そこに嘘はない。

 でも、よく考えると、私は彼に合わせることばかり考えていた気がする。無理をしていたのかと聞かれると、そこまでではないけれど、ランチやディナーも、彼の生きたいところが基本だった気がする。昼はファミレス、夜は大衆居酒屋が基本。おしゃれなフレンチとかそう言うのは、あんまり知らないみたいだったし、服装とかを考えると、浮いてしまうのは目に見えていたから、身の丈に合ってて良かったんじゃない?とは思うけど、そう言えば一度もおしゃれなカフェとか、バーとか、フレンチとかイタリアンとか、彼とは行ったことなかったなぁ。私は実は行ってみたい店が結構あったんだよなぁ。地図アプリに保存する数が500を超えるくらい、気になる店は沢山あるから、聞いてくれればいくらでも探したのになぁ・・・。

 彼の服装は結構好きだったし、私も自分の好きな服を着ていたから、ファッションセンスは合ってたはず・・・・。

 あ、蟻が私の激アマドリンクを見つけた。いつの間にか列ができている。液体をどうやって運ぶんだろう。

 あぁ、彼らにとっては最高の栄養なんだろうなぁ。彼らの役に立ったのなら、私がフラれて、ドリンクを自然に返したことにも、何か意味があるのかもしれない。

 私のしたことが、彼にとってはあまり良いことではなかった、ってことなのかなぁ。私にとっても、彼との時間はあまり良いモノではなかったのかもしれない。惰性で付き合いを続けるよりも、すっきり別れを切り出してくれてよかったのかもしれない。

 私にも何か悪い所は有ったかもしれないし、ね。

 そう、これは新しい出会いへの新たなる一歩なのだと、思うことにしよう。



——ママー、あの人変な服着てる~——

服のセンスくらいは合ってた気がするんだけどなぁ・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ