現代詩 2選(OL、鬱、涙)
掲載日:2025/12/20
暗めのOLの現代詩2選。
インスタで流れるキラキラも素敵だけど、綺麗事だけでは生き残れないので。
1 似合わない
毎日
毎日
上司は怒鳴る
引き金が
わからない
花柄のスカートは
真っ黒なズボンに
高いヒールは
ぺたんこの運動靴に
華やかなパーマは
短いボブに
同僚は
心配そうに
声をかけるけど
「大丈夫ですよ」
まだ 嘘が言える
まだ 大丈夫
自分らしさは
もう忘れた
服も
靴も
髪も
誰のためでもないのに
それでも
毎朝
毎朝
鏡の前
濃すぎるチーク
濃すぎるリップ
大きすぎるラメを
瞼に重ねる
今日も
平穏な日々を
どうか
どうか
祈る唇
血が滲み
少し割れて
出勤の朝
2 ハンカチ
誰かに訴えるほど
明確なつらさではない
指先の感覚が薄れ
小さく震え
早い呼吸がばれないよう
唇を強く閉じる
食欲はなく
仕事で
気を紛らわせる
怒鳴られて
謝るときも
社会人の顔ができる
「君のために言ってるんだ」
そう言われれば
ありがたいです、と
微笑むことも
歩いて
歩いて
歩いて
人気のない
個室のトイレ
誰もいない
静かな空間
そっと取り出した
ハンカチは
今日も
静かに重くなる
上司が退職した翌年、同期が異動してきた。
「あの人、超厳しいって有名だったよ。」
パーソナルカラー、私はブルベ冬だったらしい。
「そっかぁ」と笑ってみせた。




