昔の人って鼻毛ボーボーなの?【ギャルとオタクくん】
「あーし思ったんだけどさ、昔の女性って鼻毛ボーボーだったん?」
昼下がりの教室。金髪にピンクメッシュを入れたギャルが、机に頬をのせてつぶやいた。
「それねーマジ謎だよね」
隣のギャル友が即座に反応する。二人は笑い合い、周囲の数人もクスクスと声を漏らす。
そのとき――。
「ずばり鼻毛を処理する文化の歴史は古いでござるよ」
唐突に声をあげたのは、クラスの片隅にいたオタクくんだった。黒縁メガネを指で押し上げ、得意げな表情で続ける。
「古くは平安時代から鼻毛は抜かれてきたでござるよ。」
「ござるくん博識ー!」
ギャルが笑いながら茶化す。
「そうでござるか?」
真顔で返すオタクくん。
「じゃあそれより前は鼻毛ボーボーだったわけだ。」
再びギャル友が畳みかける。
少し間を置き、オタクくんは静かに言った。
「禅語で『花無心招蝶』という言葉があるでござるよ。ただ咲くだけで蝶が集まる花のように、ありのままが美しいという意味でござる」
「ござるくんも『花無心招蝶』だねー」
ギャルが笑顔で言う。
「マジ『花無心招蝶』」
ギャル友も続ける。
オタクくんは、わずかに顔を赤らめながら「そうでござるか?嬉しいでござるな」と呟いた。
そのとき、金髪ギャルがふっと笑って、オタクくんの机に近づく。
彼の耳元に顔を寄せ、ひそひそ声で言った。
「……でも、切った方がいいよ」
驚いたように目を瞬かせたオタクくん。教室のざわめきの中、ふと笑うと胸を張り堂々とそして素早く颯爽と教室を後にする。
その背中は少しだけ悲しそうで、それでもどこか凛としていた。
咲く花は、蝶が集まるか否かなど気にしない。ただ咲くだけでいいのだ。
オタクくんの背中に、その禅語の意味が重なるのを、ギャルはぼんやりと感じていた。
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