なぜござるくんはござる?【ギャルとオタクくん】
久しぶりにギャルとオタクくんです。お楽しみください。
昼休みの教室は今日も騒がしい。
ござるくんの机を囲むように、ギャルとギャル友が座る。彼女が退院した日から続く、いつもの習慣だ。
金髪にピンクのメッシュが入ったギャルが、お弁当を口に運びながらぽつりと言う。
「ね、あーし疑問に思ってることあるんだけど」
「なにー?」
ギャル友がパンをかじりつつ反応する。ござるくんも顔を上げた。
「どうしたでござる?」
ギャルは指を差した。
「それそれ!!」
「……何でござる?」
ござるくんが少し動揺した声を出す。ギャルは真剣な顔のまま、言葉を続ける。
「オタクくん、なんで“ござる”なん?」
その場の空気が少し揺れる。
みんな当然のこととして受け入れていたために、誰も聞かなかった疑問だった。
「そういえばー、なんでなのー?」
ギャル友も首をかしげる。
ござるくんは静かに口を開いた。
「昔の話でござる」
ギャルがうんうんと頷きながら聞く。
「中学生のとき、海外から来た留学生で仲良くなった子がいたでござる。その子が『日本人はどうして“ござる”を言わないのか』と聞いたでござるよ」
「拙者が試しに“ござる”と言ってみたら、とても喜んでくれたでござる。……そこから自然と、この口調になったでござる」
そこまで話すと、彼は少し目線を落とす。
「今はもう、その子はいないでござる。ただ……もう癖みたいなものになったでござるな」
ギャルがふっと問いかける。
「その子のこと、好きだったん?」
ござるくんはしばらく黙ったあと、小さく息を吐いた。
「禅語に“前後際断”という言葉があるでござる。秋は秋であり、夏のあと、冬のまえ……ではない。“いま”という瞬間だけが本当でござる。過去を引きずるべきではないでござるよ」
そう語る彼の横顔は、どこか寂しそうだった。
ギャルの胸の奥が、きゅっと小さく痛んだ。
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