世の中に希望なんてないんだよ
とある場所で人知れずデスゲームが開催されていた。
「あはははは!また死んだ!ほら見ろ、まただ!」
モニターに映るのは焼け焦げた肉の塊。
私の手元で、カウントが一つ減る。
これで残り3人。さあ、あと少しで“理想の真実”に到達する。
「希望?仲間?信頼?くだらん……!この世にあるのは絶望だけだ!」
私はモニターに向かって嘲笑する。
「私も昔は希望を信じていた!しかし、そんなものはまやかしだ!」
「“夜半無明火”などとぬかす輩もいるが、夜半は闇、無明は混沌、火など灯らぬ!この世界は闇だ!絶望に染まれえええええぇッ!!」
高笑いが部屋に響く。誰も止められない。
この瞬間こそ至福。人間の本質が暴かれる瞬間。
「さあ、もっとだ。もっと死ね、壊れろ、狂え……!」
そのとき、爆発音。
天井が揺れ、一部のモニターが砂嵐になった。
「……何だ?」
苛立ちとともに通信を入れる。
「状況を報告しろ。貴様ら、何をしている?」
返答はない。
代わりに開いた監視室の扉。
現れたのは、モニターで死んだはずの参加者の一人。
私は唇を震わせた。
「お前……死んだはず……ッ!」
男は静かに微笑んだ。
「フェイクだ。仲間が途中で映像を切り替えたんだよ。」
「見せたかったんだよ、あんたに“絶望の中にある希望”を」
「ふざけるなああああッ!!!」
私は叫ぶ。後退る。
「人間は裏切る!壊れる!死にたがるんだよ!それが真実だ!それだけが真実なんだよおおおおッ!!」
だが、次々と現れる“死んだはず”の者たち。
その眼に、怯えも絶望もなかった。
火のような光が、確かに宿っていた。
私は膝をつき、笑いながら泣いた。
「なぜだ……なぜ火が……闇に……」
静かに歩み寄る男たちを見て、
私は叫んだ。
「美しい……美しい……ッ!なんと美しいことか……!
夜半無明火ッ!絶望の底に、火が……火が灯ったああああッ!!」
そう言い残して、私は闇の中に沈んだ。
そして気づいた。
私はずっと、その火を……
ずっと……欲しかったのかもしれない。
【禅語解説】
夜半無明火、深い迷いや暗闇の中で、かすかな覚醒や希望の光が見えること。
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