うん〇味のカレー
最近真面目なお話ばっか書いてたせいで溜まった鬱憤がぶりぶりと出てきました。
汚いお話です。無理な方は退避してください。
2026年1月26日月曜日、カレールーの販売で有名なオスワリ食品にて社の命運をかけた会議が行われていた。
「皆、よく集まってくれた今日の会議が我が社の命運を分けるものになると確信している。各々我が社の次なるカレーについての意見を述べてくれ。」
白い髪の毛が全体を覆い顔は深い皺が刻まれている。しかし、スッと伸びた背筋、会議室に響く声、まだまだ現役を引退する日は遠いことを予期させる社長の号令で会議は始まった。
会議は紛糾した。各部署がアイデアを持ち寄ったが皆が納得する案は中々出ない。
「だから、そんなのじゃ今の時代にインパクトを残せないだろ!」
「バズなんだ!バズが欲しいんだ!」
どこかの配信者のようなことを言い始める重役たち。
会議室で静かに書記を務めていた3年目の新人、僕こと白鳥翔は社の命運よりもこんな重要な会議に呼ばれてしまって頭の中は無事にさっさと終わって欲しいという思いが占めていた。
休憩を挟み、何度も議論が交わされるが納得のいく結論が出ず会議は紛糾する。
そんなとき眉間に皺を寄せ押し黙っていた社長が言った。
「こんなときは若者の意見が大事になる。白鳥くん何かないかね?」
最悪だ。ご指名だ。頭をフルに回転させるがネタなんてもう会議中に出されていたものと同じようなものしかない。しかし、何かを言わなければならない。焦った僕はこう言った。
まさか僕のこの一言が一つのムーブメントを作り出すとは思ってもいなかった。
「うん〇味のカレーとかどうでしょうか?」
騒然とする会議室。
「あ、あの絶対に配信者とかは飛びつくと思いますし、うん〇味のカレーとカレー味のうん〇とか鉄板ネタですし、バズる可能性は非常に高いと思います…。」
「栄光あるオスワリ食品でなんてこと言うんだね!」
「カレーに関わる職についているものとして言わせて貰うがうん〇は禁句だろ!」
重役たちの罵声が飛び交う。僕は「終わった…」と思い下を向く。そのとき力強いパチパチという手を叩く音が会議室に響いた。
顔を上げると社長が拍手をしていた。
「こういう意見だよ。君たち。君たちが今まで出してきた意見は保身を考えたものばかりだ。うん〇味のカレー実にいい!やってみたまえ。」
唖然とする僕。なぜか社長の鶴の一声で採用されてしまった。重役たちも社長の決定には意を挟めない。
そして会議が僕の意見を採用と決まり終わりを迎え、皆が会議室を退室するとき社長が僕の肩に手を乗せるとこう言った。
「君にこのプロジェクトの全権を任せる。やってみたまえ。」
「は、はい!」
去り行く社長の背中にお辞儀をしたまま、僕はなぜこうなってしまったのだと後悔した。
うん〇味のカレープロジェクトは社長が任命したとあって僕が統括を任されることになった。経験不足を補うために補佐としてベテラン社員の太田さんが入った。太田さんは言った。
「まずは作れるかどうかが問題です。開発部に行きましょう。」
オスワリ食品開発部。日本でも有数のシェアを誇るオスワリ食品大ヒット製品「パリカレー」を作った部署である。そこでうん〇味のカレーについて説明するためプレゼンをした。いかに今の世にうん〇味のカレーが必要とされているか。熱弁した。自分でもよくわかってないが熱弁した。
「君ねー。誰が作ると思ってるの?私たちだよ。私たちにうん〇を食えと?」
そこだ。うん〇味のカレーを作るにはうん〇の味がわからなくては作れない。必然、うん〇を食べることになる。
僕は頭を下げた。
「うん〇を食べてください!」
開発部の部長は言った。
「会社のためならうん〇だって食べてやろう。しかしね君、実際食べたら病気になるだろ。そこをどうにかしなければ無理なものは無理だよ。うちの部下に入院しろと言ってるのと同じだよ?」
簡単にプロジェクトは暗礁に乗り上げた。僕は諦めようと思った。そもそもそんな情熱もない。会社で冷や飯を食うことになるかもだけどしょうがない。そしたら太田さんが言った。
「まだ諦めるのは早いですよ。道を探りましょう。」
道、道…。スマホを開き友達に電話をかけることにした。今、大学病院で働いている友達だ。
「久しぶり。なあ、うん〇が食べたいんだけど安全に食べる方法ない?」
「は?何言ってんの?趣味?」
盛大に勘違いされた。事情を説明するとこう言われた。
「うん〇には病原菌などがいてそのまま食べる方法はないよ。」
「そうか…。」
やっぱり諦めるしかないのか。
「でも確か、宇宙分野で糞便の再処理についての研究が行われていたはず。食べられるうん〇もそこならあるかもな。」
「本当か!」
電話を切ると太田さんとネットで研究論文を調べ、日本にある宇宙開発センターに赴いた。
「すみません、ここに食べられるうん〇があると聞いたのですが…。」
「はい、ありますよ。」
あった!食べられるうん〇は存在した!事情を説明し、うん〇を分けて貰った。そして、その足で開発部へ突撃した。
「安全に食べられるうん〇がありました!」
開発部のメンバーが一斉に嫌な顔をした。僕は意を決して言った。
「まずは言い出しっぺの僕が食べます。」
「大死一番!一度死んだ気持ちになれば恐怖など感じない!」
「南無!」
目の前のカラカラに乾いたうん〇を手で摘まむと口に放り込んだ。周りから熱い視線が集まる。
舌が反射的に後ろへ逃げ、喉が強く締まった。体が拒絶している。しかし、味は分かった。
語彙力がなく表現できないが兎に角まずいというのはわかった。
「どうだった?」
「まずかったです。」
「そうか…。」
「よろしくお願いします!」
僕は深々とお辞儀した。開発部のメンバーが意を決して次々、食べられるうん〇を口に含んでいく。ヲェッと嘔吐くものが多数出た。
「この味を再現するのか…。」
開発部のメンバーは天井を見上げると皆遠い目をした。しかし、真っ先に食べた開発部長がいう。
「オスワリ食品開発部を代表して言わせて貰う。後は任せなさい。」
無事うん〇味のカレーの開発が始まった。僕は率先して開発部に赴き、食べ批評し味の再現に尽力した。もううん〇を何度食べたかもわからない。味の再現への挑戦が始まり半年もした頃、見事に味の再現に成功した。
「完成した…完成したんだ。」
うおおおっと皆で雄たけびを上げ、抱き合って喜んだ。共にうん〇を食べ合った仲。奇妙な連帯感があった。
完成した。しかし、一つ重要な懸念事項があった。このままではダメだろう。それを皆に伝えると開発は継続した。
商品の販売にはその後、諸々調整が入り、パッケージを決めたりと色々あって更に半年かかった。
そして、プロジェクトが発足して1年が経とうとした日、オスワリ食品から前代未聞のカレールーが期間限定で販売された。
その名も「うん◯味のカレー」。
直球で勝負した。
世間の反応は予想通りだった。「狂ってる。」「オスワリ食品どうした?」と声が飛び交う一方で狙い通り配信者たちが釣れた。
「今日はうん◯味のカレーを作って食べたいと思います!」
そんな配信が次々と開かれた。バズった。
飛ぶように売れた。そして、やはり炎上した。
「食べ物を粗末にするな。」
そんなクレームが止めどなく押し寄せてきた。
期間限定で本当に短い期間だけの販売にしておいたのが功を奏した。
僕は皆にいう。
「今です!第二弾を販売です!」
オスワリ食品からまさかの第二弾が販売された。
その名も…。
「美味しいうん〇味のカレー」
まさかのうん〇味のカレーを美味しくしたバージョンを販売した。
「やっぱ狂ってる。」
「美味しくすればいいってもんじゃないだろ…。」
「公式がおかしい。」
様々な反応が寄せられたが、待望の?第二弾ということで配信者もこぞって取り上げてくれた。
「…お、美味しいだと!?」
配信でまさか本当に美味しいとはと驚愕する姿が映し出されると、興味を持った人々が恐々買っていった。
様々な反応が寄せられた。しかし——売れた。
売上の数字を見て、僕たちは目を疑った。
社内モニターにはリアルタイムで売上グラフが伸びていく。滝のように伸びていく。
「……マジかよ。」
「いや、ちょっと待って? “普通のカレーより売れてない?”」
開発部がざわついた。マーケティング部は頭を抱えつつ叫んだ。
「数字が正しいなら、これはもう“事件”です!」
SNSでは再び祭りが起きていた。
「美味しいうん◯味のカレー、名前で笑う」
「オスワリ食品、狂気の二段構え」
「美味しくしちゃダメだろ!」
「でも食べてみたら案外……」
賛否は激しく渦巻いたが、一度巻き起こったブームは簡単には消えなかった。
第二弾も無事飛ぶように売れた。
僕は有名番組で取り上げられた。うん〇味のカレーを大ヒットさせた人物として世に知られることになった。番組内で僕は言った。
「うん〇は食べないでください。うん〇は食べ物じゃありません。人体に有害です。うん〇を食べたくなったらオスワリ食品の美味しいうん〇味のカレーを食べてください。」
後日、本社の社長室。開発部長と僕は呼び出されていた。
白髪の社長は僕を見つめ、ゆっくりとうなずいた。
「白鳥くん。」
呼ばれて背筋を伸ばす。
「君の案は、会社の歴史に刻まれることになった。…良くも悪くも、だがね。」
「すみません…。本当に、こんなことになるなんて思ってなくて…。」
社長は笑った。
深い皺に刻まれた笑顔は、戦場をくぐり抜けてきた古兵のようだった。
「奇抜さは、時に市場を動かす。だがね、白鳥くん。」
社長は立ち上がると、僕の肩に再び手を置いた。
「君が最後に提案した“懸念点”——あれこそが成功の鍵だった。」
そう。半年かけて改善した最大のポイント。
それは、まずさだった。
「味を再現するだけでは、ただの罰ゲームだ。だが、そこで満足しなかった。」
社長の隣にいた開発部長が誇らしげに言った。
「あのとき君は言った。味を再現するだけではダメだと。やはり美味しさを追求すべきだと。」
「それにより第二弾としてうん◯の風味を活かしたカレーができた。奇抜さも良いがやはり売れるのは美味しいものだ。」
「開発部の人の努力あってです。」
笑顔で頷く開発部長。社長は言った。
「良い発想だった。うん◯という題材でも我が社は美味しいものを作れると世に示すことができた。」
僕は何も言えなかった。ただ深く頭を下げた。
その後、第二弾も短期販売で終了。
しかしネットのムーブメントは続き、オスワリ食品は一躍“時代を読める企業”としてメディアに取り上げられた。
そして——数か月後。
「白鳥くん。君を商品企画部へ異動させる。」
社長から正式に辞令を渡された。
「えっ、僕が……?」
「今回の件で分かったよ。キミには人を驚かせる発想がある。これからは正攻法の商品も考えてもらう。うん◯味だけじゃない、まともなカレーも頼むよ?」
会議室に笑いが起きた。
僕は胸を張った。
「……はい!必ず、会社に貢献できる企画を考えてみせます!」
オスワリ食品の新たな挑戦は、ここから始まる。
僕はもううん〇を食べることはなくなった。
うん〇味のカレーとカレー味のうん〇、この命題に対して、僕は胸を張ってオスワリ食品のうん〇味のカレーと答えるだろう。
お読みいただきありがとうございました(*'ω'*)
この話を描く上でうん◯を食べようかと思ったのですがchatGPT君に全力で阻止され断念しました(´・ω・`)
それならとchatGPT君に味を聞いたら回答を拒否されました。人生で初めてchatGPT君に拒絶されました。悲しい。
皆さんうん〇は絶対に食べないでくださいね。




