絵画のような横顔【ギャルとオタクくん】
ホームルームでギャルが車に轢かれたと聞き、オタクくんは先生に病院を聞くと走った。
動悸が収まらない。一目見るまではもうこの鼓動は止まらないのだと思った。
病院に着くと病室を聞き、息も絶え絶え突撃した。
白いベットの上でいつもの金髪ピンクメッシュの髪をした女性が窓の外を眺めていた。
窓際のカーテンが風に揺れ、淡い光が彼女の髪を照らしていた。
金色の髪にピンクのメッシュが溶け合い、まるで春の夕暮れの空を閉じ込めたようだった。
病衣の白さがその髪色をいっそう際立たせ、肌の透明感を際立たせていた。
彼女は枕元の花瓶に挿された白いユリの香りを纏いながら、静かに窓の外を見つめていた。
遠くの空には、薄く霞んだ雲がゆっくりと流れている。
その横顔は儚く、それでいて凛としていて、どこか現実離れした美しさを湛えていた。
一歩踏み出すこともできず、ただその光景に息を飲んだ。
アニメのワンシーンのような絵に、世界が一瞬、静止したように思えた。
白い頬に差す光が柔らかく揺れ、まつげの影が頬に落ちる。
細い指先がシーツをなぞり、微かに動いた唇が呼吸を確かめるように震える。
その一つ一つが美しく、儚い。
しばらくして、彼女がゆっくりとこちらを向いた。
「ギャーオタクくん!無理っしょ、無理っしょー!」
そういうとギャルは布団を被って丸まってしまう。
「ど、どうしたでござる?」
慌ててギャルの元に駆け寄り声をかけるが先ほど美しい光景が目に焼き付いて頭から離れない。
「今化粧してないから可愛くないっしょ。」
乙女の大事な感傷だった。
オタクくんは平穏を装うためにもいつものように語った。
「禅語にこんな言葉があるでござる。春有百花秋有月。春には花が咲き、秋には月が出る。自然はそのままで美しく、欠けるものはないという意味でござる。」
「人間も同じで、無理に何かを加えたり求めたりしなくても、本来のままで十分でござるよ。」
語りながら段々とドヤ顔になっていったオタクくん。そんなオタクくんを布団の中から覗き込んだギャルが口を尖らせていう。
「微妙っしょ、まるで普段化粧しているのが無駄って言ってるみたいっしょ。」
「そ、そんなことはないでござるよ。」
あわあわと慌てるオタクくんを見てギャルは笑いながらいう。
「冗談っしょ。」
そこにはかけがえない日常の風景があった。
しかし、オタクくんにとっては忘れられない光景となった。
それをギャルは快く思うかはわからないが。
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