怪獣よ、足元を見てくれ
東京の街。突然、地鳴りが響き渡る
東京に、突如として現れた謎の怪獣──。
全長50メートル。
一歩歩くごとに、街が崩壊していく。
「GYAOOOOOOOOO!!!」
ビルは倒れ、人々は逃げ惑う。
瓦礫の中に一人の禅僧が立った。
禅僧は空を見上げて叫んだ。
「脚下照顧!!!」きゃっかしょうこ
怪獣が動きを止める。
「禅語だ。“足元を見よ”という意味だ」
「物理的にも足元を見て欲しいが──そうじゃない」
怪獣はゆっくりと首を傾けた
「君の野望はなんだ? 地球征服か? 破壊か? 栄光か?」
「だが今一度、考えて欲しい」
街中はめちゃめちゃになっていた。
踏み荒らされた公園、壊れたブランコ、落ちている子どもの靴。
「君には家族はいないのか? 故郷は? 思い出は?」
「その大きな足で踏みつけているものは、ただの街ではない」
「それぞれの暮らし、帰る場所、人の心だ」
怪獣は、ただ立ち尽くした
「今一度、己について鑑みてほしい」
「これが本当に、君のやりたいことか!?
君の心は──今、どこにある!!?」
沈黙。
……そして、
「GYAOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」
怪獣は、突如空を見上げ、静かに飛び立った
怪獣は、もう東京に戻ってくることはなかった。
人も怪獣も、足元がおろそかになると、道を見失う。
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