フラれた・・・
「フラれた・・・」
私は10年付き合った彼氏に振られた。
今年で28歳、独身女だ。
「10年は重いよ・・・」
今まで彼に言われた言葉たちが胸に刺さる。
過去の思い出を思い出しては涙が止まらない。
泣いて泣いて泣きまくった。
友達に相談すると、こう言われた。
「別にいい人いるよ。」
友人の優しさはありがたかったが、そんな言葉では私の心は少しも救われなかった。
茫然自失の日々を送っていると、ある日、突然の雨に降られた。
「雨にまでもフラれてる・・・。」
もう、何もかもが空回りしている気がした。頭からつま先までずぶぬれになり、家に帰った。
玄関を開けると、無音の部屋が広がっていた。静けさが胸に響いて、ただただ辛い。
「何かをしないと…。」
やる気も起きず、でも無音のまま過ごすのは耐えられない。
そこで、配信をつけて流し見することにした。
その配信で、とあるVtuberが禅語を紹介していた。
「一炷香を焚く。今、この瞬間を大切にしましょう。香を焚く一瞬のように、今に集中しましょう。」
「香を焚く・・・。」
その言葉が、突然胸に響いた。この現実をどうにかしなければならないと思った。
「焼くか・・・」
アルバムに大事にしまっていた、彼との思い出の写真。それをベランダで焼くことに決めた。
大切にしていたものが、一瞬で燃えて消えていく。写真が炎の中で黒く焦げていく。そのたびに、彼と私の笑顔、楽しかった日々。それらが一瞬で燃えて消えていく。
炎のゆらめきが、私の胸の奥にあった未練を、少しずつ取り払ってくれるような気がした。火を見つめながら、ふと思った。
「私は、何をしていたんだろう・・・。」
過去を悔やむ気持ちも湧いてくる。でも、それはもう無駄なことだと感じた。
「もう、燃え尽きたんだ。」
過去の全てが、煙と共に消えていった。
空になったアルバムを見つめながら、私はふと思った。
「またこのアルバムを一杯にしよう。」
今度は、笑顔で一杯にするんだ。
パシャリ。
燃え尽きた火の写真を撮った。アルバムには、この一枚だけを今は入れておこう。
「またここから。」
今が、私の新しいスタートだ。
『一炷香を焚く。今に集中して、無駄を取り払うという意味。無駄を取り払ったら、きっと今が芽吹く。』
お読みいただきありがとうございます(*'ω'*)




