落ちたらどうしよう…
時間をやっぱり17時から12時20分へ変更しました
今日もまた学校のチャイムが鳴る。
中学3年生の秋。受験を3ヶ月後に控えた彼女の口癖は──
「あー落ちたらどうしよう……。」
参考書を開いても、頭に入らない。問題集を前に、手が止まる。
「落ちたら、どうしよう。落ちたら……。」
そんな彼女を見て、親友が言った。
「ねぇ、一人で抱え込まないで。先生に相談してみたら?」
放課後。彼女は職員室をノックした。
「あの……先生、ちょっと、相談いいですか?」
「おう、どうした?」
「最近、勉強しようとしても……“落ちたらどうしよう”って考えてしまって、手がつかなくて……」
先生は、静かに頷いてこう言った。
「『莫妄想』という言葉を知ってるか?」
「も、もうそう……?」
「“妄想するな”という意味の禅語だ。
まだ起きてもいない未来の不安に、心を縛られてはいけない。」
彼女は目を見開いた。
「禅語には、もう一つこういう言葉がある。
『当下即ち是れ』」
「……なんですか、それ?」
「“今この瞬間こそが真実”という意味だよ。
未来はどうなるか誰にもわからない。
だからこそ、恐れずに“今”を大切にしなさいってことだ。」
沈黙。彼女の中で、何かがほどけていくのを感じた。
「落ちるかどうかなんて、誰にもわからない。
だったら……今、やれることをやろう。」
その日から、彼女は少しずつ机に向かえるようになった。
不安が消えたわけじゃない。
でも、目の前の問題に、ちゃんと向き合えるようになった。
彼女の口癖は、こう変わっていった。
「今に集中しよう。」
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