第8話「推進」
赤城は病院を出る。
すると携帯が鳴った。
そこには…
「はい、赤城です。あ、高田大臣、お疲れ様です。」
「あ、はい、わかりました。すぐに向かいます。」
国土交通省。
「高田大臣、お疲れ様です。」
「あ、赤城くん」
「HETの件なんだが、どうだ?」
「あいかわらず、消防庁は反対意見を持った人たちで溢れかえってるって感じです。」
「我々国交省としてはHETの認可を推進したいんだがね…」
「今のところは難しいかと。」
そう、実は赤城は3つの顔を持つスパイ的存在なのだ。
HETの隊員としての顔
消防庁職員の顔
国交省職員の顔
その3つを使い分け今まで生活してきた。
「ぜひ、赤城くんにはHETの正式認可に尽力してもらいたい。そのためにもHETでの活動に力を入れてほしい。」
「わかりました。」
帰り道、車の中で今日聞いた旗野の経歴を整理してみる。
「まず、海棠大病院に所属。その後、海外の要人の手術でコミュニケーションミスから医療事故を起こした。そして、海棠大病院を離れた後、医療が薄い地域などを飛び回るフリーの医師として活動していた。その活動が1年。
その後経験を買われてHETの総合チーフドクターに就任、と。」
「ただ、これをそのまま伝えればHETは活動停止になりうる。どうにかして誤魔化さなければ。」
赤城は拠点に向かって走り出した。




