第4話「トリアージ」
「赤城はこのまま01を事故の発生地点まで持っていって。」
「了解」
HET 01が出発していく。
「よし、俺は真ん中から行く。鈴木は右を、横川は左を頼む。」
「はい」
「りょ、了解」
旗野はすぐそこの横たわったけが人に駆け寄る。
「こんにちはー!HETの旗野ですー!聞こえますかー?」
肩を叩きながら呼びかける。
かすかに頷く動作を見逃さない。
「反応が薄い…頭部から軽い出血あり…衝撃から来る脳震盪か…」
「赤タグだ。」
赤の部分まで切り取ったタグを腕につける。
次の場所に向かう。
「HETの旗野ですー!大丈夫ですかー?」
「あ、足が痛い…」
「足ですねー?触りますよー?」
「…!」座っていた男性が少し顔をしかめる。
「足に打撲痕。骨折の可能性は低い。緑タグ。」
迅速にトリアージを進めていく旗野と鈴木。
しかし、横川だけは違った。
明らかにどこか骨が折れている男性がいた。
「だ、大丈夫っで、ですか?」
「ど、どこが痛いとかあ、ありますか?」
横川は人を前にすると緊張してしまう。
「け、怪我を探すんだ…」
一生懸命に怪我を探すも見つからない。
「ど、どうしよう、み、みつからない…」
「どけ、横川」
「は、はい」
「HETの鈴木ですー!どこか痛いところありますかー?」
「む…胸…」
「胸ですねー?触りますよー?」
右胸周辺を触った時、男性が顔をしかめた。
「右胸痛いですか?」
頷く。
「骨折の可能性もある…赤タグだね…」
「おい!横川!この辺のトリアージは済んだ!救急隊にトリアージ済ませた救助者運ばせろ!」
「は、は、はい!」
その時、横川の後ろから救急車のサイレンが聞こえてきた。
「あ、わ、私が指示しなきゃ…」
横川は救急隊の方に走り出した。




