第1話「 出動要請」
「ただいまより、株式会社東南高速道路、新救助チームの設立式を行います!」
拍手が上がる。
「私達、東南高速道路では2年前に起きたトンネル崩落事故を糧に新たな救助チームを設立いたしました。」
記者団がざわつく。
「紹介いたしましょう!高速道路緊急救助チーム、HETです!」
部隊のイメージカラーに彩られたGRランドクルーザーとWRX S4がゆっくりと進んできた。
そして2台の車両から隊員たちが降りてきた。
「2台の車両もご紹介します。」
「まず、HET 01、トヨタGR ランドクルーザー。こちらは救助器具などを搭載したコンテナを牽引できることが大きな武器です。こちらには総合チーフドクター、ドクター2名、看護師1名が搭乗いたします。」
「総合チーフから紹介いたします。総合チーフドクター旗野百瀬。」
旗野が手を挙げる。
「続きまして、ドクター、鈴木護。同じくドクター、赤城優。」
「最後に、看護師、横川あかり。」
「以上4名がHET01に搭乗される隊員たちです。」
「続きまして、HET02、HET02の隊員をご紹介いたしましょう。」
「HET02はスバルWRX S4をベースとした車両です。こちらの車両はルーフに鉄板を内蔵し、上からの落下物にたいして対策済みです。またこちらの車両は怪我に対応した医療機器を搭載しています。」
「こちらの車両にはチーフドクター、ドクター2名、臨床技師が1名搭乗します。」
「あわせてご紹介いたしましょう。チーフドクター、有村あかり」
「ドクター、朱原華、同じくドクター、村田こはね。」
「最後に臨床技師、嘉納ジェシカ。」
「こちらの4名がHET02に搭乗される隊員です。」
「最後に、総合チーフドクターの旗野先生に挨拶を頂きましょう。」
「えー、総合チーフドクターの旗野です。本日はお集まりいただき感謝します。私達HETは高速道路上の事故に真っ先に駆けつける医療部隊兼救助部隊としてこの、東南自動車道をご利用されるお客様たちの命を守り、救うことが使命となっております。」
「そのために我々は様々な訓練も積んでまいりました。救助器具使用訓練から、消火訓練などなど。また、私達はいつでも出動できるように24時間体制で待機をしてまいります。どんな状況にも、どんな環境にも駆けつけ、命を救う。これを目標に隊員一同活動を開始してい…」
その時警報が鳴り響く。
「こんなときにかよ…」
『消防本部より緊急入電!東南自動車道、夏鵬IC付近で多重事故発生!HET出動要請あり!至急現場に急行せよ!』
「え…出動命令…?」
「初日から…?」
隊員たちは困惑していた。
旗野は01の無線マイクを取る。
「HET了解。出動します!」
「行くぞ!」
全員が基地の中に駆け込んでいく。




