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第11話「解放」

「平和っすね〜。」

「でも、先週、警察の拳銃が盗まれる事件あったじゃないですか。物騒すよ。」

「まぁすぐ捕まるでしょ。」

なんて呑気な会話を鈴木としていた。


ただ、平和にいかないのが私達のチームだ。


ブザーが響く。

『警察本部より緊急入電!緋松IC付近でバスジャック発生!緊急救助事案に認定!HETの出動を要請する!』


「バスジャックで私達の出番?」

「それだけ負傷者がいるのかもしれない」


「HET了解、出動します!」


「止血剤と鎮痛剤、あと、すべての血液型のありったけの輸血パックを持っていきましょう!」

「了解!」



「本田メカ!01にHET-αコンテナを接続!」

「了解!」

「αコンテナ連結完了!」



「HET出庫します!」



2台が緋松に向けて発進した。



「優、状況は?」

「大型バス1台が何者かによってジャック。その犯人はバスに爆弾を仕掛けたなどと話しているとのこと。負傷者の数までは不明。すでに機動隊などが展開済みとのこと。」

「結構な大事だな…」


現場が見えてきた。

旗野が無線を取ろうとしたが、赤城が報告する。

「HET現着」


全員が近くのテントに駆け込む。


「HETです!」

「あ、お疲れ様です!」

全員が敬礼する。


「状況は?」

「拳銃を所持した犯人がバスをジャック。バスガイドを人質に取っているとのこと。また、爆弾を搭載しているとの話もしているとのこと。」

「その拳銃って?」

「先日、盗まれた警察の拳銃です。」

「となると弾数は5…」

「旗野チーフ?」

「警察のリボルバー式拳銃は大体5発だから、弾薬が盗まれていなければ5発で撃ち切る。今現在確認できた銃声の回数は?」

「今までのところ、2発。」

「残りは3発…さすがに突入は厳しいか…」


「とりあえず、交渉してみます。」

旗野がテントを出ようとする。


「待ってください!旗野チーフ!危険です!」

「大丈夫。」



「機動隊に告ぐ。HET旗野総合チーフドクターを防衛せよ」


機動隊が旗野を囲むようにしてバスに近づく。



「HETの旗野ですー!お願いがありまして!けが人を解放してくれませんかー?」

バスの窓が開く。

「うるせぇ!」

パァン!と銃声が鳴る。

「無理だな…」

「こちら旗野、HETメンバー聞こえますか?」

『はい。』

「解放は不可能と判断しました。それと、バスの窓に血が大量に付着しているのが見えました。おそらく撃たれた人がいる可能性が大きいです。ですので、とりあえず、すべての血液型のパックを3つずつ用意しておいてください。」

『了解』


「守ってくださりありがとうございます。とりあえず、戻りましょう。」

機動隊とともにテントに戻る。


「さっきの俺への発砲で残りは2発。全弾撃ち切るか…」

「そんなことしてたらバスの中で被害出まくりですよ。」と鈴木。

「だが…」



対策を練りながらバスの様子を伺う。


気づけば深夜になっていた。


「バスに変化はなしと…」



その頃バスの車内では…


「なんで、なんでお前は俺と付き合ってくれなかったんだよ!」犯人はバスガイドの髪を掴む。

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

「もういい…このバスにいるみんなと死んでやる…」

ポケットに入れてあったスイッチを取り出す。


その時だった。

乗客の中にいた赤ちゃんがぐずりだした。


「うるせぇんだよ!なんとかしやがれ!」

その言葉に驚いて必死に子どもをあやす。

しかし泣き止まない。


「なんなんだよ!本当に!黙れよぉ!」

パァン!4発目の銃声が響く。




「後は1発…」旗野は残りの弾数を数えていた。


「行きます。」

警察は旗野に防弾チョッキを渡した。


「まさか、旗野チーフ、また行くんじゃないでしょうね?」

「もちろん。弾数はあと1発。俺に撃ってくれれば弾切れになる。」


旗野がバスに駆け寄る。


「HETの旗野だ!本当に頼む、解放するんだ!」

「うるせぇ!お前を殺して俺も死んでやる!」

「撃てるものなら撃ってみやがれー!」


テントから見守るメンバーたちは犯人をあんなに刺激して大丈夫か?と心配していた。


犯人の照準は旗野の心臓を捉える。

「死ねぇ!貴様ぁ!」

パァン!


弾丸が心臓めがけて放たれる。


「ゥ゙…」

旗野が倒れ込む。

心臓付近からは出血していた。


「旗野チーフ!」

「旗野チーフ!」


全員が旗野のもとへ駆け出す。


「そんな…」

「出血してる…」


「…?」赤城は違和感に気づいた。


「ん…あぁ…俺生きてる?」

「チーフ!」

みんなが旗野を抱きしめる。


「にしても。無茶ですよ、旗野総合チーフドクターさん。」

「バレた?」

旗野がジャケットのチャックを下げると破裂した輸血パックがあった。


「だって、防弾チョッキ着たのに、出血するなんて、不思議に思いましたよ。」

「出血するのを見ればほら、犯人も動揺するかなぁって。」

「それにほら」


バスの方を見るとすでに機動隊が突入していた。

「さ、俺達も救助活動始めるぞ。」


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