第9話「部隊紹介」
「そういえば、旗野チーフ。」
「なぁに?鈴木くん」
「うちの01って、時々違う名称のコンテナ引っ張ってたりするじゃないですか」
「そうだね。αとかβとかね」
「その違いって何なんですか?」
「いい質問だね、じゃあ、紹介していこうか」
「まずはα(アルファ)コンテナ。このコンテナには搬送用機材が搭載されているし、これで傷病者を病院まで搬送することもできる。」
「なるほどー。この引き出しは?」
「ここには手術用に使われるものと同等の機材が少し積んである。だから、ここで応急的なオペをすることもできる。」
「まるで小さなオペ室ですね」
「じゃあ、このβ(ベータ)コンテナは?」
「βコンテナは救助困難時使用機材が搭載されている。これは初出動のときに活躍したコンテナだね。」
「これには消防のレスキュー車に搭載されているのとほぼ同じ機材が搭載されている。」
「確かに、消防隊みたいに救助が進んでいましたよね。」
「それで、Ω(オメガ)コンテナが、停電時の復旧設備を備えたコンテナ。投光機もついているから現場を明るく照らすこともできる。」
「夜間の活動や、どこかの施設の復旧時に使えるっていうことですか?」
「そうだね。高速道路だったら、トンネル内の設備復旧や、サービスエリアとかに使えるね。」
「なるほど。」
「そんで、最後のコンテナがΖ(ゼータ)コンテナ。これには消火作業に特化した機材が搭載されてる。」
「車の火災って厄介ですもんね。」
「そう。だから、普通の車両火災だけでなく、化学火災にも対応した機材を搭載してる。」
「本当に私達は二刀流の組織ですね。」
「あと、あの緊急事案とかってなんですか?」
「あれは、事案区分っていって3つくらいあってねそれが下にある感じ。」
緊急事案…HETが必要になる最低区分
緊急救助事案…消防との連携などによって救助が必要となる区分
非常事態緊急事案…救助者が多数出る可能性があるもしくはすでに多数の救助者が出ている可能性がある区分
特別大規模緊急事案(仮定)…すでに死者が出ている可能性、もしくは死者が出ており、さらに増える可能性がある状態
「って感じかな。」
「なんか、みんな字面がすごいですね。」
「な。最後の特別大規模緊急事案とか絶対発令されないよね。」
「なんなら、まだ仮定じゃないですか。」
「じゃあ、一番上の区分は非常事態緊急事案ってことっすね。」
「それが発令されたら本当に大変だよな。」
「発令されないことを願うばかりです。」
「あぁ。」
2台の車両が並んでいるのを眺める。




