第80話 続・【勉強会】ワイ将、新たな戦いの準備するwww【DAG】
配信画面にスキル一覧を見せ、一緒に覗く。
『真・覚醒』『流気眼』『適応力』『筋強化』『飛刃』『纏魔気鱗』『極光星鎧』『超耐性』『魔猪を統べる者』『武芸十八般』『権能強奪』『吸魔』『変生』『死の超克者』『玉座に座る資格を持つ者』
「………うわぁ」
“ドン引きやんwww”
“これは誰でも引くわ”
“引き笑い出た”
“エクストラスキルの数ヤバすぎるだろ”
“そりゃDAGもスキル詐称してないか調査するわwww”
“ツッコミ所しか無いんだが?”
何この……何?俺こんなスキル取ってたの?って、他人事みたいに思ってしまう。
いやおかし過ぎだろ!?武芸十八般は、武器を複数扱える事が出来るコモンスキルで、死のウンタラカンタラは多分魔晶を食べたせいで……他は!?俺吸魔の墓では、OWで暴れ回った以外の記憶無いんだけど!?
「スーーー……まあね、まずは落ち着いてね、権能強奪から見ていきますか」
“チートスキルじゃね?”
“初手から禁止カード級の奴きたな……w”
“てか権能強奪と吸魔セットだろこれ”
“纏魔気鱗で吸魔の墓のマナを吸い尽くしたからな”
“winner:推察だが、ダンジョンやモンスターに備わる特性を奪い、自身のスキルに昇華させるスキルだろう。無節操に取り込む事は恐らく不可能。吸魔の墓で纏魔気鱗を発動し、ダンジョンのマナを操るといったような、何かしらの条件があると考えられる”
「おお、なるほど。ありがとうございます先輩。とても分かりやすかったです」
“サンキュー先輩”
“サンキュー先輩!”
“サンキュー先輩!凄えマトモだった”
“↑草”
“でもモンスター以外にダンジョンからも特性奪えるって普通にチートじゃねえかww”
“条件付きとは言え、特性をスキルに出来る?ヤバいやんけ”
“アルティメットシーングスイッチの誕生だぁああああ”
“てか吸魔の墓がおかしくなったのやっぱお前のせいじゃねえか!!ww”
先輩の言った通り、このスキルは何かしらの制約があるだろう。飛び抜けて強いスキルは、一定の条件をクリアしなければ使う事が出来ない。だが、得られるメリットは非常に大きく、コモンスキル三つ以上の価値を齎してくれると言われている。
権能強奪は敵の特性を奪い、こちらのスキルに出来る。スレ民の言う通り、ぶっち切りでイカれたスキルなのは間違いない。機会があれば、その条件を確認しながらダンジョンアタックしても良いかもしれない。
でもそのせいで、吸魔の墓の再調査とランクの見直しをさせてしまったのは、ホントにごめんなさい。あまり乱用しないようにします。
「条件付きスキルかぁ……それで有名なのは、やっぱり至強のリーダーの三鶴城さんですよね」
“せやな”
“世界的にも有名だからなあの人は”
“二つ名の制度作ったお人だぞ”
“しかも顔も良いからメディア受けするし”
“三鶴城礼司:呼んだか?”
“あ、BOTさんチーッス”
“winner:帰れ”
“botはお呼びじゃないです”
“辛辣過ぎて草生える”
「あ、三鶴城さんどうも。吸魔の墓では応援ありがとうございました」
いつもの三鶴城BOTさんも観に来てくれて嬉しい。というか、ホントに本人じゃないよね?スレ民の皆さん凄い失礼な態度取ってるけど。
ちょっと怖いから次のスキルに話移そう。
「次は変、せい……ですかね?変身じゃないんですか?あ、違うんですね…」
“へんせいで合ってる”
“「へんじょう」っぽいけどどうだ”
“三鶴城礼司:お疲れ様だ。先日は文章の途中で送ってしまいすまなかった。何故かメンバーに怒られてしまったから、以後は大人しく見守っておく事にさせてもらう”
“winner:へんじょう。へんせいでも間違いではない。単語の意味としては、他の物に成り代わる事を意味する”
“サンキュー先輩”
“サンキュー先輩!”
“エクストラだよな?変身に似てるけど”
“変身とは違うのか”
「ありがとうございます先輩。支部員さんによると、エクストラスキルらしいです。でも変身が欲しかったなー。変身も三鶴城さんが有名ですけど、他の人も変身スキル持ってるからコモンスキルなんですよ。良いですよね、変身!って言ってフォームチェンジするの」
スキル『変身』は、自身のマナを使って軽くて丈夫な鎧を纏うコモンスキル。まあぶっちゃけ鎧を纏う以外の効果は何も無いんだけど、良いのだ。掛け声と共にカッコいいフォームになるのは、テレビの向こうのヒーローに憧れた男の子皆の夢なのだ。
“分かる。良いよな”
“イケメン俳優に変身スキル覚えさせてのバトルシーンはマジかっけえ”
“スイッチも男の子だなww”
“変身スキルの為だけにダンジョンアタッカーなったまである”
“猛者おるやんけww”
“名前似てるし使ったらスイッチも変身ぽいの出来んじゃね?”
「………いや」
コメントで指摘された通り、最初は俺もすぐ使おうとしていた。しかし、謎の予感に襲われ寸前でそれを止めた。
何となく。ホントに何となくだけど、コレを使ったら《《自分の中で何かが変わってしまうような》》、そんな感覚がする。身体だけでなく、心まで化け物になってしまうのではないかと思うと、このスキルは出来れば使いたくない。そう思ってしまった。
「……ごめんなさい。これはちょっと、暫く使いません。次行きましょう」
“は?”
“勿体なさすぎやろ”
“折角のエキストラスキル使わないとか宝の持ち腐れやんけ”
“一瞬スイッチの顔怖くなったな”
“初見ニキネキあんま刺激すんなよ”
“何かありそうだな変生”
“スイッチが嫌そうな顔してんだから無理に使わせようとすんなよ”
少しずつ俺への理解を深めてくれているスレ民に感謝しながら、最後の問題児を纏めて紹介する事にする。
「スレ民の皆さんありがとうございます。じゃあこの……死のちょう…かつ?者と……」
“winner:ちょうこく。困難を乗り越え打ち勝つ事。死の克服とも取れるね”
“サンキュー先輩”
“サンキュー先輩!”
「ありがとうございます先輩、ちょうこくって言うんですねこれ」
“気軽に死を克服せんでもろて”
“はい人外確定”
“人間卒業おめでとう”
“スイッチは元々人外側だったぞ”
「クソが、スレ民の言葉を否定出来ない。死に関係してるって事は、イレギュラーさんの魔晶を食べた影響ですよね?じゃあ最後のは、死の超克者を取ったからレベルアップしたのか?」
俺のスキルカードに書かれている異常なスキルの中でも、特に異彩を放つ最後のスキル。『魔猪を統べる者』『死の超克者』と一線を画す、モンスターの頂点に座すとも取れるこれは…。
「『玉座に座る資格を持つ者』ってなぁ……これもう完全にアレですよね?」
“何でイレギュラーをさん付け?”
“魔王就任おめでとう”
“魔王様おめでとうございます!!”
“就任演説はどこでされますか?”
「同じ事思ってましたけど魔王言うな。まだ座ってないし座る気も無いが?」
“魔王様こちら献上品のバナナでございます”
「それ宛先ゴリラと勘違いしてない?」
“デビルキングコング様おめでとう御座います”
「呼び方変えただけのゴリラじゃねえか」
俺をモンスター……というかゴリラ扱いするのが平常運転になっているスレ民。俺が何者であるかに関わらず、いつも通りに接してくれる事に、安堵と嬉しさがこみ上げる。
こうやって馬鹿みたいなやり取りが出来るってだけで、俺は人間だと思って良いんだって思える。やっぱりスレ民の皆さんは凄い。まあ煽りにはもっと手心が欲しいんだけど。
「でもこのスキルって、今の時点じゃ殆ど効果無さそうですよね。これも条件付きかな?」
“確かに”
“資格があるって事しか分からないしな”
“winner:他の王と名のつくコアモンスターを倒せば、スキルも進化するかもしれないね”
“まあスイッチがモンスター共を蹂躙していけば良いって事だな”
「ありがとうございます先輩。スレ民の皆さんも、これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。ああそうそう、そういえば……」
pipipipipipipi!
「え?」
“ん?”
“いきなりでビビるわ”
“何だ?”
『時間です』
え?時間って……もしかして配信時間の事!?もう切り上げて早く勉強しろって事ですか!?
あ、あのテスト結果見たらそうですよね……ハイ、すいません。
「ごめんなさい、もう終わって勉強しなきゃいけないらしいです。なので次の配信は……いつになるかなぁ」
“終わり!?”
“まあ小テストが酷かったしなww”
“そういえば何だ。続けろ”
“待て何言いかけたか教えろ”
“winner:お疲れ様”
「そういえば東城に向かう準備出来たのでもうすぐ東城行きまーす!じゃあ皆さんありがとうございました!終わります!」
“やっと来るかww”
“待ってるぞー”
“乙!勉強しろよ!”
“あの頭で受かるんかね”
“てかどこの高校行くんだ?”
ーーーこの配信は終了しましたーーー




