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スレ主がダンジョンアタックする話  作者: ゲスト047562


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第48話 続々・吸魔の墓B1

通路を埋め尽くさんばかりに湧き出したコアモンスター達。ダンジョンが、俺達を危険因子だと判断したのかは分からないが、この量は流石に多過ぎる。この通路に敵が集中しているのは間違いないだろう。


「では見ていてくれ」


ウェポンリングから、先輩の愛刀『暁光』と『闇月』が現れる。


「ーー『飛塵』」







音も無く、目の前のコアモンスターが、塵となって消えた。


「………は?」


“は?”

“消えたが?”

“え?何起こった?”

“スイッチも分からんかったのか!?”


俺とスレ民の目が点になる。俺も視る事は出来たが……。


「いや、先輩からマナと気が敵全体に行ったのは視えたんですけど……何か、全体に爆散した俺とは違って敵だけを包んだ様な感じです」


“ほうほう”

“つまり……どういうことや?”

“要は敵だけを斬る様にマジックスキルを使ったって事か?”

“スイッチの流気眼でさえマナの流れ視るのがやっとなのってヤバすぎんか“

“マジックスキルの次元が違い過ぎて分からん”


「俺も」


「視えただけでも凄いことだよ。私の『飛塵』は神速の抜刀術、マナだけとはいえ捉えたのは君が初めてだ。私の二つ名、『飛燕塵芥』の由来はこのスキルなんだ。誰も私が斬った事に気付かないから、《《戦った姿を見た事が無い》》と言われる程なんだよ?」


「そうだったんですか!?」


“嘘だろ!?”

“『飛燕塵芥の剣姫』にそんな由来があったとは”

“普通は本人の代表的なスキルから二つ名が付けられるのに、伽藍堂ブラザーズはその枠に当て嵌まってなかったからな”

“今まで誰も見えなかったから付けようが無かった、って……コト…!?”

“あんなチートスキル見えんわ”

“スイッチが初めてか”


改めて、彼女が斬り捨てた空間を視る。敵は全て一掃されてはいるが、ダンジョンの壁や床には傷一つ無い。目の前の全てを消し飛ばした俺と違って、仕留めたいモノだけを仕留める、理想的な一撃がそこにあった。


先輩の動きにも、無駄な動作が一つも無かった。あまりに自然に、呼吸をする様に放った飛塵。幾千幾万の繰り返しの果てに手にしたであろう神速の一太刀は……


「綺麗ですね」


「結婚かな?」


“スイッチ逃げろ!!”

“ん?”

“ヒエ…”

“何かヤバい気がする”

“はい?”


けっこん……?あ、血痕か。確かに、モンスター達は血を流さないからな。どれだけ微塵切りにしても周りに血が飛び散らないから、俺の「綺麗」に血痕って応えたのか。


「いえいえ、先輩のスキルの繊細さですよ。あれを見たら、俺の飛刃は大雑把過ぎたんだなって分かります」


「そうか。残念だ」


「え?」


“セーフ!!”

“良く分からんが良くやったスイッチ!!”

“何かおかしくない?”

“めっちゃ怖い”


先輩の反応とコメント欄がおかしい。何だ?何か見落としてるのか俺?


「……あっ、素材ガチャの事ですか」


確かにあれだけ倒したのに、換金率の高い素材は落ちていない。

というより、このダンジョンでは魔晶以外の素材は基本微妙な物が多いんだよなぁ。魔晶が『比較的』出やすいって言われるのも、敵が沢山出るからその分素材ガチャをする回数が多いっていうだけだし。


「あ、でも魔晶が何個かありますね」


“天然過ぎて心配だな…”

“先輩の目が怖いんだが”

“スイッチマジで気をつけてくれ”

“先輩俺達関係無いんで勘弁して下さい”


「見てください皆さん、これが最低品質の魔晶です。オークキングの奴と全然違うでしょ?」


“お、おう”

“せやな……”

“ああ、真っ黒……ですね…”

“スイッチお前絶対振り向くなよ”


「ん?」


スレ民が変わらずおかしい。後ろを見ても、俺をニコニコと眺める先輩しかいないのに。

魔晶って、最低品質でも数万円はするんだよね。それに他の素材だって、換金率が悪いだけで必要な人は多くいる。一つとして無駄に出来ない、重要な物ばかりだ。


「さて。それじゃあ次のOWは……」


「はい!」


今度取り出されたのは、2mくらいある棍棒。大きな(こぶ)が並んでおり、先端部分は鉤爪の形となっている。


金砕棒(かなさいぼう)と呼ばれる物だ。超重量級の武器だが、君なら容易く扱えるだろう」


「これもマナで隠し武器が出る感じですか?」


“真っ先に聞くのがそれかよww”

“正に鬼に金棒”

“隠し要素は実際大事。ハッキリわかんだね”


「隠し武器は無いが、マナを流す事で先端が巨大化し、ウォーハンマーとしても扱えるよ」


「おお……!」


“良いな…”

“これスイッチにピッタリじゃね?”

“確かに”

“変形武器もまたロマン”


渡された金砕棒を握る。ガントレットとグリーヴの時もそうだったけど、まるで俺の手の形に合わせた様に握りやすく、手に馴染む感触に驚く。吸魔の墓でマナが吸われていなければ、早速マナを流して使い心地を試していただろう。


「ふむ……君のマナのキャパもまだまだ十分、といった感じだね」


「あはは、そうですね。でも先輩には負けますよ」


そう、俺はまだまだだ。天を衝く程のマナをその身に収めている先輩を見て、自分の未熟さを実感する。

俺とは強さも、《《心構えも》》全く違う先輩を、改めて尊敬する。


「引き続き進んでいこう。さっき解毒薬が素材で落ちていたから、毒を受けても大丈夫だよ」


「分かりました。頑張ります」

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