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スレ主がダンジョンアタックする話  作者: ゲスト047562


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第45話 吸魔の墓B1

「吸魔の墓は、他者からマナを吸い取り続けるという特性上、ダンジョンにマナが非常に溜まりやすい。そして、ダンジョン内のマナからモンスターが発生すると言う事は……」


「ダンジョンが保有するマナが多い程、モンスターも多く出現する。ですよね?」


「素晴らしい。流石私の後輩だ」


“なるほどなー”

“息ぴったりやんけww”

“まあ先輩だしな”

“叶たんマジカワユス”

“スイッチもよく勉強してるな”


伽藍堂叶先輩のレクチャーを受けながら、吸魔の墓を進む。マナドローンに備わっているライト機能のお陰で、スレ民の皆にも分かるくらい道を明るく照らしてくれている。

ここはまだ入り口に近いから、モンスターの気配は無いな。

それにしても……


「先輩。流気眼で吸魔の墓を視てるんですけど…」


「うん?どうしたんだい?」


「足からマナを吸われ続けてます」


俺と先輩のマナが、ダンジョンの地面に向けてゆっくりと流れていくのが視える。それを伝えると、先輩は少し考えた後で壁に手をついた。


「これはどうだい?」


「あっ……手からも吸われ始めました!」


「なるほど。身体の接地面が多い、大きい程ダンジョンにマナが多く吸われるのか」


“マジか”

“それ貴重な情報じゃねえか!”

“吸魔の墓ってそういう仕様なの!?”

“やっぱ流気眼メッチャ便利だなww”

“スイッチの流気眼欲しすぎる……”


「素晴らしい発見だ。これは後でちゃんとDAGに報告しないとね」


「あー……そうでした。面倒だなぁ」


「ふふ、君は本当に私を飽きさせないね」


柔らかい笑みを浮かべる先輩。顔立ちが整っていることも相まって、少しドキッとした。

可愛い。


「ごめんなさい」


「何故謝罪するんだい?」


「いえ先輩は悪く無いです。俺の問題です」


“オイオイオイ”

“イチャつくなスイッチ”

“俺にもイチャイチャ分けろよ”

“叶たんの善意に勘違いするなよ”


スレ民からも叱責が飛んでくる。そうだよな、ここはダンジョンなんだ。浮ついた気持ちでいるとすぐ殺される場所だ。それに、善意で俺に協力を申し出てくれた先輩に、こんな不埒な気持ちを抱くなんて最低だ。


気を引き締め、ダンジョンを見据えて進んでいく。


“ヒエッ”

“伽藍堂叶がこっち見た!!”

“見られただけで悪寒がしたんだけど”

“叶た……伽藍堂さんごめんなさい”

“伽藍堂シスターが何か怖いですスイッチ”

“スイッチ助けてくれ”


「……来ましたね」


吸魔の墓は十字路が多く、殆ど変わり映えしない道のりであるが故に、一度迷うと出ることすら難しい迷宮型ダンジョン。

そして、俺達が最初に辿り着いた十字路には、早速敵がおでましになった。


煤けて黒ずんだ骨や肉に、多量の包帯を巻きつけた人型のゾンビ。顔の部分はまだ肉が残っており、窪んだ眼窩と削がれた様な鼻の跡が見える。


「チッ……フォグマミー。様々なガス系のマジックスキルを持つコアモンスター。一見すると動きが鈍そうだが、見た目に反して非常に俊敏かつ知能も高い」


「ありがとうございます先輩」


何か舌打ちの様な音が聞こえたけど、気のせいだよね。


“サンキュー先輩!”

“サンキュー先輩!スイッチの事応援してるで!”

“解説助かる”

“視線が無くなった。助かった…”


フォグマミーは十字路の中央で、ヨロヨロとした足取りで俺達から逃げようとする。


「左右の十字路に一体ずつ」


「その通り。三方向から挟んで殺そうとしているね」


モンスターは総じて知能が高い。迷宮型ダンジョンでは、モンスター側は数的不利と見ると逃げる事もある。

しかし、本来動きが速い筈のモンスターが、ノロノロと逃げようとするのは明らかにおかしいのだ。ならば、あの動きは擬態で本命は死角に潜むコアモンスターの方だろう。


「俺は流気眼で、フォグマミーの気が左右に向いてるのが分かりますけど、先輩は気配だけで分かるんですね。流石です」


「私は唯の経験則さ。さて、君ならこの場合どうする?」


“は?”

“分かるのかよw”

“凄えな。俺は二人の威圧で逃げてると思ってたわ”

“こいつらにもコアがあるんだよな”

“安心感あり過ぎて唯の雑談配信かと思ってたわww”


罠を見破られた事に気付いたのか、フォグマミーが止まり、俺達に向き直る。同時に、左右の道からもフォグマミーが現れた。


「あ、丁度集まってくれましたね。ではスレ民に、俺がGWから貰った武器をお見せしましょう」


“おっ!”

“いよいよですねwww”

“いやーどんな武器なんだろうなーww”

“スイッチの事だから凄い武器に決まってんだろ!”

“普通の武器なんかで満足できねえよなあ!?”


「喧嘩売ってくるじゃん。分かってて言ってますよね?はい、『普通の剣』です。マジで普通の、お高めのショートソード」


「ロングソードよりは軽く、初心者でも扱い易い。純鉄製だから強度も申し分ない。これさえ買えばどのダンジョンでも活躍出来る、正にシンプルイズベストを体現したような剣だね」


“サンキュー先輩”

“サンキュー先輩”

“流石GWの娘。自社製品の宣伝に抜かりない”

“はい可愛い”


「ありがとうございます先輩。さて、それじゃぁ……『纏魔気鱗』」


バッグから取り出したショートソードを構え、纏魔気鱗を発動する。その瞬間、フォグマミーの一体が機敏な動きで壁を蹴って俺に突進、遅れて二体が正面からブレス系のスキルを放とうとしてくる。


「ーー死ね。『飛刃』」











ボッ……ーーー。






横薙ぎに振り抜いた飛刃によって、目の前の十字路ごと、フォグマミー達は消し飛んだ。


“うわぁ……”

“何だこれ”

“エグいって”

“爆心地かな?”

“もっと力抑えろ馬鹿!”

“ゴリラにも程があるだろ”


「いや俺も驚いてるんだけどお!?何これ!?流石の俺もここまでの馬鹿力無かったが?!」


「コモンスキルの『真・覚醒』……君の身体能力がどこまで向上しているか楽しみだったが、これ程までとはね」


先輩が冷静に、俺のした事を分析している。そのおかげで、少し冷静になれた。


「そうでしたね。俺の覚醒スキル、進化してたんでした。DAGではエクストラスキルの検証しかしてなかったし、武器の事で頭一杯でした」


“ゴリラがキングコングになっちまった”

“お前マジでランク詐欺やめろ”

“軽率に人の真似しないで?死人出るから”

“武器……”


「俺はちゃんと人間ですぅー。というか、ダンジョンアタッカーとしてはまだ新じ、ん……?」


あれれ〜?おかしいぞ〜?ショートソードを握ってる筈なのに、さっきより軽く感じるな〜?嫌な予感を感じて手元を見る。


ショートソードの刀身が、根本から消え去っていた。


“ふぁーーーww”

“はいネガキャン”

“GWの販促とネガキャンを同時にやる配信”

“普通過ぎて、スイッチの力に剣が耐えられてないやんけwww”

“お隣にGWのご令嬢がいますが”


「すいませんでしたぁぁぁぁああああ!!!」


“土www下www座www”

“見てて飽きねえよマジでwww”

“お前凄えよ。いやガチで”

“やべえ腹痛いwww”

“今の流れ全部撮れ高しかない”

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― 新着の感想 ―
[一言] 純鉄は柔らかいよ? 刃物に適した硬さを得るには適度な炭素が必要。 硬度と靭性はトレードオフだからね。
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