第28話 【済】魔猪の塔屋上
“うおおおおおおおおおおおお!!!!”
“888888888888”
“スイッチいいいいいいいいいいいい”
“あかん、画面がぼやけて…”
“生きててくれたかスイッチ。ありがとう、ありがとう!!”
“おめでとうスイッチ!!”
“祝え!!最強新人ダンジョンアタッカーの誕生を!!”
「皆さん、最後まで応援してくださってありがとうございました」
俺の事を諦めずに応援してくれた人達に、深々と頭を下げる。この人達のおかげで、俺は一歩先に進めたんだから、ホントに頭が上がらない。
“三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“え!?三鶴城礼司!?”
“ホンモノか!?”
“winner:あ?”
“やべえ!!ガチだ!”
“至強のリーダーだあああああああああああ”
そうだ。オークキングの犠牲者の装備を回収しよう。彼等の魂だけでも、大切な人達の所へ帰してあげたい。
「お待たせしてすいませんでした」
“スイッチコメント見ろ!!”
“米見ろ!至強がいるぞ!!”
“何してんだww”
“あー、遺留品回収してるわ”
“一つ一つに手合わせてるのか”
遺留品の武器をバッグに入れていく。風化しかけの服も多くあり、それらは篝火の後ろに積まれていた。
“丁寧やなぁ”
“こういう所はマジで良い子なのよな”
“戦ってる時と全然違ってて良いね”
“ギャップ萌えはあり、ですね……”
“とりまはよ三鶴城礼司に気付いてやれww”
粗雑に散らばっていない辺り、奴はここまで来た人達には、敬意を持っていたんだろうな。
オークキングへの敬意も込め、静かに黙祷を捧げる。
「さて。ではいよいよ……」
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“スイッチコメント見ろ!”
“至強リーダーが同じ文章送ってるww”
“よっぽど気に入ったんやなぁ…www”
“そりゃあれだけのもん見せて貰ったからな”
「素材ガチャ見てみましょうか」
“ふぁーーーwwww”
“気付いてねえwww”
“ガチャより米見ろやww”
“あの、マジでコメント見てあげて?”
やっぱり皆、人のガチャ結果は気になるよね。他人が爆死する姿は、確かに見てて面白いし。
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“もうBOT化しつつあるやんww”
“やべえ腹痛いwww”
“winner:草”
“先輩もよう煽っとる”
“嫌いなんかな?至強w”
さて、素材ガチャの結果は……?
「ま、魔晶……!!」
“魔晶!?”
“マジで!?”
“winner:魔晶。マナが凝縮された結晶。マナで出来た物質の中でもとりわけ異質で、マナでもあり物質でもあるという矛盾した塊。魔晶からマナを抽出する事で、マジックスキルの強化やエネルギー資源にもなる。質も完璧、ギルド査定は最低落札額500億”
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“500億!!??”
“オイオイオイ”
“オークキングから取れる魔晶がそれって……”
“さらっと三鶴城・BOT・礼司スルーされて草”
魔晶は、透き通った青い空の様なビー玉をしている。質が低い物は青黒く、高い物程青く透き通っているのだが、これ程青い魔晶は初めて見た。
「え、これ大分やばいんじゃ……え?確かコアモンスターの強さと比例するんだっけ?」
“スイッチも混乱してるww”
“そらそやろ。こんな綺麗な青見たの初めてや”
“ヤバいやばい。伝説級のやつじゃんこれ”
“winner:五つ星以上の竜種が落とす魔晶と同等以上だね”
“URじゃねえか!!”
でも、ホントに綺麗だ。魔晶は資源以外にも、宝石としての価値も非常に高いって聞いたことがある。確かにこの輝きは、飾っておきたくなるのも分かってしまう。
吸い込まれそうな程透き通った、青く輝く魔晶を見ていると…。
「………じゅるり」
“え?”
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“ん?”
“は?”
“え?何で涎?”
“スイッチ?だめだよ?”
「いやいや、流石にね?これがすっっっごい高価で、ガチャでSSRなのは分かってますよ。俺がどれだけ苦労したkいただきまぁぁぁあああす!!」
“はああああああああ!??!”
“あああああああああああ!!?”
“お前500億がああああああああああああ”
“たwwwべwwwたwww”
“ぺっしなさい!!ぺっ!!”
“winner:嘘でしょ…”
“先輩もドン引きだよ!!ww”
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“コイツゲテモノ系配信者でも目指してんの?ww”
“おま、500億の魔晶だぞ!!?馬鹿か!?”
口の中で魔晶をコロコロ転がす。当然だけど無味無臭。ビー玉くらいの大きさだった魔晶は、数秒で溶けて口の奥に消えていった。
「んー。思ったより味無かったな」
“ああ……”
“500億の飴玉食った感想がそれかよwww”
“やっぱイカれてるわ”
“あんな魔晶、競売にかけたらどれだけの価値だったのか……”
“ 三鶴城礼司:素晴らしい戦いだった。是非、私のパーティに入ってもらえないだろうか。一度、話だけでも聞いてもらいたい”
“三鶴城・BOT・礼司さんもブレねえなぁww”
「あ、スキル見ましょスキル」
オークキングを倒して、大量のマナが俺に吸収されたし、レベルアップしてるかもしれない。
そう思って、俺はスキルカードを取り出す。
『真・覚醒』『魔眼』『適応力』『筋強化』『飛刃』『纏魔気鱗』『極光星鎧』『超耐性』『魔猪を統べる者』
「……あれ?」
俺スキルカード君にモンスター扱いされてる?




