第137話 vsオモカゲ
【真・覚醒】【流気眼】【適応力】【筋強化】【飛刃】【纏魔気鱗】【極光星鎧】【超耐性】【魔猪を統べる者】【武芸十八般】【権能強奪】【吸魔】【変生】【死の超克者】【玉座に座る資格を持つ者】
これが、俺が前のダンジョンでレベルアップしたスキル。
そして電車の中で確認したスキルカードで確認したところ、俺は二回レベルアップしていた。
どちらもマジックスキルで、内一つは俺のジョブであるモンクとは関係無くランダムで手に入れたもの。ソーサラーが使うようなスキルだ。
今の俺にどんなシナジーがあるのか、コイツやそれ以上の敵にどこまで通用するのか楽しみだ。
……あれ?ソーサラー系のマジックスキルはどう撃つのが正解なんだ?あまにゃんさんは杖のファンネル部分から撃ち出してたし、【飛刃】はとりあえず見様見真似の腕ブンブンで出来てたしな……。
「……あっ」
無駄に考えてたせいで固まってた。気付けば、再び【レーザー】が俺を焼こうと光り始めていた。
“動け動け!”
“処理落ちした?”
“固まってる場合か!?”
“はよ新技見せろー”
“反撃は!?”
“処理落ちww”
……そういえば、数多さんは気を使ったマジックスキルを放つ時は、指の動作も織り込んでたな。
それを思い出し、何となく指を銃の形にしてみる。それをオモカゲに向け、指先にマナと気を集め……。
「【ボルトブラスト】!!」
カッ!!!
「目があああああッ!?」
“うおっ眩し!?”
“何の光ィ!?”
“スイッチから光ががが”
“遠目からでも分かる閃光って目潰れるだろ”
“【速報】スイッチ、光る”
“オモカゲの頭吹き飛んでるんですけどww”
「うぉぉ……目がチカチカする」
火花が生じる音と共に、指先から生じた灼熱の稲光。それは一瞬の瞬きの後に、【レーザー】諸共オモカゲの頭部を灼き消した……んだよな?マジックスキルがあまりに眩しくて、見えたのは結果だけだったからよく分からないけど。
うーん、おかしいな。【ボルトブラスト】ってこんなに光らない筈……あ、結構マナを消費してる。
「マジックスキルの威力とマナの消費量は比例するから、無意識のうちに通常よりも多くのマナを込めたのか。もっと調節出来るようにしないとな」
“今のはボルテクスではない。ボルトブラストだ”
“うーん相変わらずの超火力”
“自爆してんの草”
“エクストラスキルばかり使ってるからマジックスキルの調整出来てねえんだよ”
“基本コモンスキルと身体スペックのごり押しで何とかしてきたゴリラだからな”
“オモカゲ生きてるぞ”
“おいコア壊せてないやんけ!”
“流気眼なんてクソチート持ってるのにマジックスキル下手くそなのウケる”
「うるせえ!いきなりソーサラーのスキル使えって言われて満足に出来る訳ないでしょうが!あm……し、師匠の真似してんだからもう少し待ってろ。お前にも言ってんだぞオモカゲぇ!!」
横薙ぎに振るわれた巨腕を蹴り飛ばす。顔にあった黒子の様なコアは既に無く、残るコアは左肘の辺りにあるのを見て、二つ目のマジックスキルを放つ。
「【飛爪】!」
数多さん……いやもう師匠で良いか。師匠との戦いで使った【飛刃】の連射型。それが昇華されたスキル。
進化元のマジックスキル【飛刃】は残しつつ、新しいマジックスキルとして獲得する『派生進化』という形で手に入れたスキルだ。
五つの斬撃がオモカゲを捉え、上半身の影を綺麗に五等分に切り裂く。
「うん、こっちは馴染むな。ちゃんとコア残ってるし」
“師匠!?”
“オモカゲ君完全にオモチャやんww”
“情緒不安定か!ww”
“理不尽が過ぎる”
“ししし師匠!?”
“飛刃の連射版って感じか”
“叡智ね…”
“分かる”
“普通に使いやすそうだなこれ”
“私も師匠になってもらいたい”
「あー、ダンジョンアタッカーがスキルのせいで伸び悩むっていう理由が分かります。今までの戦い方から、いきなり知らない知識を使った戦い方を覚えろって言われるような感覚ですね」
“お前は知ってる知識で戦うのすら四苦八苦してるのにな”
“勉強出来ない奴の言葉は重みが違いますね”
“望遠モードでも声聞こえるの凄えな”
“マナドローンはお高いだけあって画質とかも最高レベルだし”
“四つ星ダンジョンだぞ。もっと危機感持て”
“ば、バトル方面のIQは高いから…(震え声”
“伸び悩んでるのは高校の成績だろJK”
“DKだぞ”
「お?喧嘩か?因みに、俺の声はマナドローン君と連動してるこの腕時計が拾ってくれてます」
スレ民と話している間にも、敵の攻撃は続く。
オモカゲの【フレアサイクロン】が俺を囲む様に放たれるが、一足でそのエリアから退避。追撃の【レーザー】を【纏魔気鱗】を纏わせた手刀で切り裂く。
「【ボルトブラスト】!」
今度は出力をちゃんと調整したスキルが、オモカゲの身体を穿つ。
良し!上手くいったな。けど軌道の調整は全然出来てない。もっと使いこなさないと。
立て続けに身体を欠損したオモカゲが、遅くなった再生速度で身体を再生しようとする。
「死ね」
その隙に、ホームの底に突き刺して床に放置していた鞭を取り、マナを込めて強引に振り抜く。
鞭が突き刺さっていたホームを破壊してオモカゲに向かう。コア付近に到達した鞭を引くと、マナを纏った音の爆弾がオモカゲのコアを粉々に砕いた。
“えっぐ”
“うわぁ…”
“音がやべえ”
“舐めプでこれはヤバいわ”
“うるさっ!?”
“スイッチ、お前は五つ星になれ”
“DAGの星の査定やり直した方がいいんじゃね?”
「お?三つ星のライフポーションだ!」
オモカゲの素材ガチャで、久しぶりにレアなアイテムをドロップし、思わずガッツポーズ。
三つ星のポーションは、二つ星の約二倍程度の価格で買い取られる。
よしよし、これで少しの間はお金には困らないぞ。今日はここに来て良かった。
「いやー今日の収穫は良い感じでしたねー。じゃあ今日はこの辺にしときましょうか」
“は?”
“え?終わる感じ?”
“勝手に終わるな”
“ここで終わるな”
“まだ続きがあるではないか。行け”
「いやいや、このダンジョン長いんですよ。後七個も同じ様な戦いしないといけないし」
“行こうや。どうせ楽勝だろ”
“あんな連戦を10回もやらなあかんのか”
“めんどくせー”
“連戦がキツいとか?”
“10回はだるいな”
“四つ星ダンジョンを舐めプしといてキツいは無い(確信)”
“何なら巨大モンスターすら余裕で瞬56してましたよね?”
「それに俺、これからDAGに行って素材をお金にしないといけないし、明日学校だし、明日のご飯の買い出しとかもしないといけませんし。ふんっ、運が良かったな。今日はこれぐらいにしといてやるよ」
“多いわ!ww”
“真面目かww”
“やる事が…やる事が多い……!”
“捨て台詞吐くなやww”
“そういやもう学校通ってるんだったわ”
“ここでテンプレ台詞聞くとは思わんかったわ”
“ちゃんと高校の事考えてエライ!”
“ご飯……叡智ね……”
“分かる”
“どこに叡智感じてんだよ”
「という事なので、これ以上遅くならない内に帰ります。けど、入り口に戻るまでは一緒にいましょうね。俺も寂しいので」
“キュン……”
“トゥンク…”
“ちょっとあざとい”
“しょーがねーなぁぁぁぁぁあああああ”
“全部言うじゃん”
“その間に師匠の事でも聞かせてもらおうか”
“で、師匠って誰よ”
“どこの女ですか”
「いやいや、師匠は師匠ですよ。誰なのかは約束なので言えないです。先輩もスキルについて教えてくれましたけど、アレはちょっと次元が違いすぎて……」
“まあ分かる”
“お前の飛刃も大概やぞ”
“ブッ壊れ筆頭が何か言ってる”
“マジックスキルをブースト出来るスキル持ってる癖に贅沢言うな”
“で、先輩のスキルが理解出来る奴はこの中にどれだけいんの?”
“あまにゃんはソーサラーだしな”
“伽藍堂シスターのジョブって何?”
“ソルジャーだった筈”
「俺のマジックスキルは【纏魔気鱗】込みでの威力だし……そもそも、先輩クラスのダンジョンアタッカーのマジックスキルなんて、凄すぎて全部訳分からないに決まってるでしょうが」
入り口に帰る電車に乗り込みながら、スレ民と長い帰り道の暇つぶしをする。
こんな時間も久しぶりだなぁ。早く帰らなきゃと思っても、もう少しだけ皆と話してたい。
そう思いながら、静かな車内を賑わせようと俺も笑うのだった。




