表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍1巻発売中!】スレ主がダンジョンアタックする話  作者: ゲスト047562


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/168

第118話 選ばれたのは……

な、何だ……!?唯受ける高校の資料を出すだけなのに、何で手が震えてるんだ!?

俺に向ける二人の笑みが怖い!片や綺麗な、片や可愛らしい顔付きをしている筈なのに、何故か瞳を限界まで見開き、謎のプレッシャーと共に俺を見てくる!?


「どうしたんだい?スイッチ君」


「さあ、スイッチさん?その資料を」


「「見せて?」」


“声は可愛い。声は”

“両手に花だぞ。喜べよ”

“俺の槍を見せてyごめんなさいごめんなさいごめんなさい”

“男の夢が叶って良かったな。あばよ”

“一人精神崩壊してて草”

“残当”

“精神世界で◯勢でもされたんだろ”

“じゃあなスイッチ。お前は漢だったよ”


俺ともう一人のスレ民を勝手に殺すな。

しかし何だ、先輩とあまにゃんさんから放たれるこの圧……!?オークキングと対峙した時と同等のモノを感じる。

いやおかしいだろ。たかが高校選びで、何でこんな殺気だった雰囲気になるんだよ。そういうのはダンジョンアタックの時だけで十分です。


「え、えっと……こういう高校なんですけど」


震える手を必死に抑え込み、取り出した資料を二人に見せる。二人は俺の手元を穴が開く程覗き込み……。







「ッシャアアアアアア!!」


「ぁぁあああああアアッッ……!!!?」


先輩が聞いた事ないくらい大きな雄叫びを上げ、あまにゃんさんが敗北したかの如く崩れ落ちた。


「何で?たかが高校ですよ?」


“草”

“うんうん、そうだね”

“何で本人以外がこんな深刻なリアクションしてんだよwww”

“どっちが勝ったか露骨過ぎて草生える”

“そもそも勝ち負けじゃない定期”


「アタシは……!神を、殺す…!!」


「酷い逆恨みを見てる」


“理不尽過ぎィ!!www”

“ここまで酷い逆恨み初めて見たわww”

“あまにゃんの顔がガガ”

“神「人間とは愚かなものです。特にスイッチ」”

“特に理由のある罵倒がスイッチを襲う-!!”


確かに数多さんから神っぽい存在がいる事を聞いたよ?世界や人の運命を操ってるんじゃないか、みたいな話をしたよ?

けど、こんな下らない事までソイツのせいにされてブチ殺す宣言されたら、流石に向こうも怒って良いと思うんだよなぁ……。


「安心したまえ。ここから先は《《先輩》》である私が、彼を必ず試験に合格させてみせるとも。《《先輩》》の私がね」


「この、女狐がぁ……!!」


「オ”ワ”ッーー!!あまにゃんさん、顔!顔!堪えてください!何でそんな怒ってるのかそもそも分かりませんけど!」


“あーもう滅茶苦茶だよwww”

“どんな顔してるんやろなぁ……w”

“先輩と同レベルのブラックホール生まれてる時点でお察しだろ”

“てか前よりクッソ強くなってね?あまにゃん”

“四つ星で先輩と張り合えてるのヤバいでしょ”


あまにゃんさんを映さない様に、ドローンの前に立つ。

いや怖いんだけど!?何でこうなった!?唯の勉強会の筈なのに、いつからここはダンジョン以上の危険地帯になったんだ!?


「もうこの話終わり!高校なんて、俺にとっては偏差値以外どこも同じですから!それにまだ受かるとも限りませんし!今は勉強しましょう!」


「おっと、そうだね。すまない、少し高揚してしまっていたようだ。休憩はここまでにして、勉強を再開しようか」


「……そうですね」


“スイッチがマトモなこと言ってる…”

“今回ばかりはスイッチが正しいwww”

“少し…?”

“テンションの落差よ”

“高校は偏差値以外も見るモノあると思うが…”

“先輩の反応でどこの高校か分かっちゃうの、隠してる意味無くて草”

“これこの後地獄だろ”

“こっから普通に勉強出来るのか…?”


何故かウキウキしている先輩と、世界を呪う呪詛の様な声で応えるあまにゃんさん。対照的な二人に挟まれながら、ノートと教科書を広げる。

……気まずいってレベルじゃない。太陽みたいな暖かい空気と、絶対零度の様な寒さが俺の間で喧嘩してる。


「あ、あー……あまにゃんさん」


「何デショウ、スイッチサン」


「声怖。何でそんなに怒ってるのか分かりませんけど、今の高校が嫌なら転校っていう選択もありますけど……」


「……テン、コウ…」


「あ、勿論お金もかかりますし、ご家族の負担にならない範囲で……」


「そうですね!それが良いです!」


「うわ声でか」


急に晴れやかな笑顔になり、こちらに寄ってくるあまにゃんさん。

ええ……転校したいぐらい嫌な事でもあったのか?なんにせよ、機嫌が良くなったなら良かった良かった。これで安心して勉強……









「へえ。君も来るんだね」


出来ないよね。

今度は先輩から凍えた声が聞こえた。その冷えた声音は、俺越しにあまにゃんさんに向けられる。


「はい♪スイッチさん共々、編入したらよろしくお願いしますね。先輩♪」


「あ”?」


「まあ俺は受かるとは限りませんけど…」


「大丈夫ですよ、その為に今日アタシ達がいるんですから。ね?先輩」


「……………そうだね」


“アカン”

“ヒエッ…”

“ここまで水と油なのも珍しいな”

“テンションでシーソーゲームしてる…”

“三鶴城礼司:久しぶり。何か険悪なムードが漂っているようだが、大丈夫だろうか”

“これ大丈夫か?”

“三鶴城礼司!?”

“リーダー!?”

“ファッ!?『至強』リーダー?”


「…ん?えっ三鶴城さん!?」


更にカオスな空気になっていく中で、スレ民が今までと違う騒ぎ方をしていた。

現実逃避の様にコメント欄を見ると、つい最近までBOTだと思っていた『至強』のリーダー、三鶴城礼司さんが観に来てくれていた。


「お久しぶりです。すいません、今ちょっと大変な状況で……」


「何?三鶴城さん?」


「えっ!?三鶴城さんって、『至強』のリーダーさん!?」


おお、三鶴城さんの登場で二人が周囲に顕現させていたブラックホールを収めた。コメントに現れるだけで二人を止めるなんて凄いな。流石、国内最強のパーティのリーダーだ。

………いやブラックホールを収めるってどういうことだよ。先輩はともかく、あまにゃんさんも日に日に強くなってません?


“いつもタイミング悪いなこのbot”

“BOTじゃねえっつってんだろタコ!”

“三鶴城礼司:ここのコメント欄にいる者達は、皆豊富なユーモアを持ち合わせているな。私も、彼等に負けない渾身のギャグで場を和ませてみせよう”

“は?”

“いややめてくれん?”

“何で???”

“リーダーやめてくれ!『至強』の格が落ちる!”

“勘弁して下さい”

“パーティから悲痛の叫びがww”

“この地獄で良く言えるなこの人”


何かまたスレ民が阿鼻叫喚に包まれてる。

いや、もう十分空気を引き締めてくれたので、それだけで有難いんですけど。何で急にギャグを……


“三鶴城礼司:ボクシングのファイトマネーで、僕寝具を買った”

“は?”

“は?”

“は?”

“勇者の威厳終了のお知らせ”

“お前さあ……”

“ヒエッ…(凍4”

“アカン(アカン”

“あのさぁ、一発で良いからガチで殴らせてくんない?”

“ボクシングじゃねえか…”

“既にTKOや”


「……ブフッ」


三鶴城さんの謎の駄洒落からのスレ民の皆さんの流れに、思わず吹き出してしまった。


「あは、あははっ!いきなり不意打ちやめて下さいよ!」


そういえば、前もこんな事あったな。あの時も、三鶴城さんとスレ民の皆さんの連携が面白くて、暫く思い出し笑いしてたなぁ。

それを思い出して、また笑いがこみ上げる。そんな俺を見て、先輩とあまにゃんさんはバツが悪そうにしている。


「……すまない。少し調子に乗り過ぎてしまっていた。君を助ける為に参じたのに醜態を晒してしまい、本当に申し訳ない」


「アタシもです。スイッチさんをそっちのけて迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。これからはちゃんと勉強を教えます」


「ひっ、ふー……あはは。はい、よろしくお願いします。三鶴城さん、和ませてくれてありがとうございます。助かりました」


“マジで修羅場を収めやがった”

“これは勇者ですわ”

“三鶴城礼司:どういたしまして。やはり君と私は笑いのセンスが似ている様に感じるのだが、時間があれば一度『至強』のパーティ加入について話し合いをさせてもらいたいものだ”

“あんなので良いのかよww”

“パーティはやめとこうや”

“もうスレ民からも舐められ始めてて草”

“何だ?コンビでも組むのか?”

“それで起きるのはコントじゃなくて昏倒”

“セ ル フ 尊 厳 破 壊”

“ファーーーーー!!!wwwwwwww(絶命”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なんか銀魂の徳川茂茂みたいな扱いになってるな笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ