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最上くんは3周目  作者: 伊福部ゴラス
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第37話 最上くんはショタと出会う③

「これが……俺」


 蘆毛あしもフトシは鏡のなかの少女(女装した自分)から目を離すことができなかった。


(な、なんだ……この感覚? 胸がキュッとしめつけられるような……へその下あたりがムズムズするような……)


 フトシは生まれてはじめての感覚に戸惑った。そして何度沈めようとしても()()()()が意識にのぼってくるのだった。それは──


(俺……この娘が、好き?)


 フトシの性癖が決定づけられた瞬間だった。今後この性癖によって彼の人生は狂わされることになるのだが、それはまた別のお話──




 一方、フトシを女装させた張本人である女子高生たちは、ふれれば壊れてしまいそうなフトシの儚い美しさに見惚れ興奮していた。はじめは嘲笑したり軽蔑していたヒナとユズハでさえ、頬を赤らめて()()()()いた。


 教室内にいた男どもも、驚嘆とともに小柄で可愛らしい少女(少年?)に心奪われていた。


「フトシ〜、めっちゃカワイイじゃん!」


 姉のフミカがフトシの小さな手を握りながらいった。フトシは我に返った。


 いつものフトシなら「うっせえな!」などと悪態をついただろうがまだ頭が混乱していて、


「ああ……そ、そうか」


 としか言えなかった。


「フトシ、お姉ちゃんと一緒にメイドさんしようよ。ね! ほら、立って。こっちで萌え萌えビームしよ」


 それからフトシは頭がふわふわした状態で姉の言われるがままにメイド業務をすることになった。




 しばらくして──


「蘆毛さん!」


 一人の男子生徒がメイド喫茶(1年1組の教室)にやってきた。それは調理班で家庭科室にいるはずの最上もがみガモンだった。


「蘆毛」と呼ばれたフミカとフトシが顔を上げた。


(あの男!)とフトシ。


 フミカは戸口に立つ最上の方へと小走りにむかった。


(あいつ……忘れもしない……姉ちゃんと映画デートした挙句、格ゲーで俺をボコした男……)


 実をいえば、フトシが姉の高校の文化祭にわざわざ来た理由は、姉と一緒にいたあの男の素性を探るためだった。


「あの男は姉の学校の同級生では?」と推測してここにきたが、ビンゴだった。


 なにやら親しげに話しているフミカと最上をみてフトシは、


(くっ、あの野郎! メイド服の姉ちゃんをいやらしい目で見てやがる! 許せねえ……)


 と自然と足が前に出ていた。しかし最上はすぐに教室を去ってしまった。


 フトシは自分が女装しているのも忘れ、最上のあとを追った。廊下で出ると最上の後ろ姿ははるか遠くにあった。フトシは走った。


 最上に追いついたのは中庭の渡り廊下だった。


「すみません!」


 その声に最上は立ち止まり、振り返った。そこにはメイド姿の小柄な美少女が息を切らせて立っていた。


「はあはあ、俺は……はあはあ、蘆毛フミカの弟です。あなた、姉ちゃんのなんなんですか」


「え……弟?」


 妹の間違いでは? と最上は思った。


「いや、そんなことどうでもいいや。アンタ、名前は?」


「最上……といいます」


「最上さん。言っとくけど姉ちゃんは渡さないから。悪いが諦めてくれ。もししつこくつきまとうようなら俺が容赦しねえから。それだけ。じゃあな」


 メイドの少女はそれだけ言うと、呆然と立ちすくむ最上を置いて、いってしまった。

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