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最上くんは3周目  作者: 伊福部ゴラス
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第34話 最上くんはショックを受ける

「変なバンドだったね、もがみっちのバンド」蘆毛あしもフミカの悪友ヒナがいう。


(もがみっち? ──いつのまにそんなくだけた呼び方になったの?)とフミカはおもったが口にはしなかった。


「変? ……かな?」最上もがみガモンはすこし心外そうだった。


 文化祭もひと段落し、生徒たちはダラダラとあと片づけをしていた。外はもう薄暗かったが、西の空だけが夕焼けで真っ赤になっていた。夕日に照らされた雲がまるで燃えているようだ。


 西日が差しこむ教室で、フミカたちも大繁盛のまま店じまいしたメイド喫茶のあと片づけをしていた。


「変だよ。むしろ〈変〉しかないくらいでしょ。だってサングラスに柔道着だよ。それに最後は変な人形を客にむかってブン投げるし。ねえ、フミカもそうおもうでしょ?」


「え……うん、まあ……そうかな」


「最上氏、なんでそんな顔してるッス?」とフミカのもう一人の悪友ユズハがいう。


 フミカはふりかえって最上の顔をみた。


「ぅわ!」


 おもわず声が出た。最上はまさに「ガーン」という音がきこえてきそうなほどショックを受けた顔をしていたからだ。


「アレ、ウケ狙いッスよね? え? まさかカッコいいとおもってやってたんスか?」ユズハは図々しく訊いた。


 最上は質問には答えず、固まったまま中空をみつめていた。それをみて、「ああ……カッコいいとおもってたんスね……」とユズハは呆れていった。


 校内放送が鳴った。


『このあと、校庭でキャンプファイヤーがあります。片づけが終わった生徒から校庭に集合してください』




 日も完全に落ち、すっかり夜だ。いつも部活で遅くまで学校に残っているフミカでさえ、こんな時間まで学校にいたことはない。なにか特別な感じがして心がそわそわする。


 校庭のド真ん中には木材が高く組み上げられている。そこに火がつけられ、すぐに燃え盛った。


「オオオ!」歓声が上がった。


「よーし! キャンプファイヤーといえばフォークダンス! 火を囲むようにして男女二列にならべえ! これは強制参加だぞお! 異論は認めん!」なぜか教師たちのほうが張り切っていた。


 みんなブーブーいいながらも教師らに従い、スピーカーから『オクラホマミキサー』が流れると、フォークダンスを踊りはじめた。


 恥ずかしそうに照れる者、おおげさにはしゃぐ者、強がって平静をよそおう者──なんだかんだとキャンプファイヤーをたのしんでいるようだ。


 フミカの次の相手は、最上だ。そうわかった途端、フミカは変に意識してしまい、ドギマギした。


 最上の手がフミカの手を握る。


(そういえば、最上くんと手をつなぐの……はじめてだ)


 顔が見れない。


(……暗くてよかった。きっといま、わたし……顔、真っ赤っかだ)

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