第26話 最上くんはワルとツルんでいる
(あらためてわかったけど、わたしと最上くんてあんまり接点ないんだなあ……)
昼休みの教室で、蘆毛フミカはそんなことを考えていた。
最上ガモンとフミカは同じクラスだったが、最上は自分から積極的にコミュニケーションをとるタイプではないし(例外としてフミカに告白したときはとても積極的だった──)、フミカのまわりにはつねにヒナとユズハがいて声をかけづらいというのもあるかもしれないが、最上からフミカに話しかけることはあまりなかった。
かといって、男の子に気軽に声をかけられるほどの社交性をフミカも持ち合わせていなかったから、二人が学校で言葉をかわす機会はほとんどなかった。
(これで部活が同じとかだったら話す機会もあったんだろうけど……)
しかし最上はどの部にも所属していなかった。
ふと気がつけば教室に最上の姿がない。
(最上くん、休み時間とか教室にいないこと多いよなあ……そういえば最上くんがクラスのだれかとおしゃべりしてるところとか、あんまりみたことないかも。友達がいないってことはないんだろうけど、最上くんが仲の良い人っているのかな)
フミカがそんなことをぼんやり考えていると、クラスの男子が、
「おい、あれって最上じゃないか? 一緒にいるの島崎だよな?」
といった。
「え! まじ? あ、ほんとだ。でもなんで島崎なんかと?」
男子二人が教室の窓から中庭を指さしてそんなことを言っていた。
フミカも三階の窓から顔を出して、北校舎と南校舎にはさまれた小さな空間を見下ろした。そこにはたしかに最上がいた。
最上は中庭に置かれたベンチに座っていたが、その隣には改造された制服(いわゆる短ランボンタン)を着たリーゼントヘアの男子生徒の姿があった。
あまり共通点のなさそうな二人が中庭のベンチに座り、パックのジュースを飲みながら、なにやら親しげに話をしていた。
「最上氏と一緒にいるのは、中学時代に極道からスカウトされたという噂もある2組の島崎タツヤでは?」
「札つきのヤンキーと陰キャの優等生。なんか釣り合わない組み合わせねえ」
いつの間にかヒナとユズハも窓から顔を出し、中庭を見ていた。
「島崎……くん?」
「地元じゃ有名な不良少年らしいよ」とヒナ。
「最上氏と島崎氏に交流があるとは意外ですぞ」とユズハ。
「フミカ。あいつ、最上くんを不良の道に引きこもうとしてんじゃないの? ねえ、大丈夫なの?」
「ええ、そんなこといわれても」フミカは困惑することしかできない。
わたし、最上くんのこと、ほとんどなにも知らないんだ──




