表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最上くんは3周目  作者: 伊福部ゴラス
10/37

第10話 最上くんは頼られる

 一学期最大の校内イベント──球技大会。




 今年の種目は男子がサッカー、女子がソフトボールとなった。一年生から三年生の全クラスで男女それぞれ一チームずつつくり、トーナメント方式で対戦する。


 あしフミカはソフトボール未経験ながらも三打席二安打の活躍をみせたが、チームは一回戦で敗退してしまった。早々にやることがなくなった一年一組女子たちは同クラスの男子の応援に専念することとなった。


 すると男子チームは連戦連勝をかさね、あれよあれよという間に決勝にまで勝ち上がった。




 決勝戦をひかえた昼休み、一組の教室は盛り上がっていた──


がみくん、決勝までいくなんてすごいね」昼食を食べ終わるとフミカは最上ガモンに話しかけた。


「蘆毛さんだってすごかったじゃん。ヒット打ってたし」


「あはは。みてたんだ。あれはたまたま当たっただけ」


「そんなことないって。蘆毛さんテニスやってるし、ボールをとらえるのが上手なんだろうね」


「そんな褒められるとテレるなー」フミカはぽりぽりと頭を掻いた。


「塚本、マジ神だあ!」と教室内で歓声があがった。


 クラスで唯一のサッカー部員、塚本の席のまわりには人垣ができていた。みんなが塚本のことをたたえている。


 その光景をみてフミカがいった。


「塚本くん、ヒーローだね」


「うん。実際、2ゴール3アシストの大活躍だったから」


「すごーい」


 フミカと最上が談笑していると、そこにクラスの男子生徒五人がやってきた。


「ごめん、最上君。ちょっといいかな?」クラスでも影が薄く大人しい林が話しかけてきた。


「え? ああ、かまわないけど。なに?」


「あの……僕たちにサッカーの守備のやり方をもっと教えてくれないかな」


 やってきた五人は、試合でディフェンダーとゴールキーパーのポジションを務めていた五人だ。


「え?」最上はすこし驚いたようだった。


 林がいった。


「僕たち運動オンチだし、球技大会がはじまる前はサッカーなんてイヤでたまらなかったんだけど……なんか決勝戦にいくことになって、そしたら……できれば次も勝ちたいなって」


 それを聞いたフミカの顔がぱあっと明るくなった。


「すてき」とフミカがつぶやいた。


 林は照れて、


「いや……あの……なんていうか、僕たちが足引っ張ってみんなに迷惑かけたくないんだ」


 といった。


「迷惑だなんて。林たちは全試合完封してるじゃん」最上がいった。


「それは最上君が僕らを統率してくれたからだよ。僕たちは君の指示通りに動いただけ」


「そんなことないって」


「そんなことあるって!」いつも大人しい林が珍しく声を荒げた。「……もっと上手に動けるようになりたいんだ。最上君の指示にもっと応えられるように」


「林……」


 フミカが最上の肩をとんとんと叩いた。


「え?」


 最上が振り向くと、フミカが目を爛々(らんらん)とさせながら鼻息荒くいった。


「最上くん! やってあげなよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ