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聖夜の贈り物  作者: 葉 立夏
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3

しばらくあるくと泉が見えてきました。


喉が乾いていた少年は泉のほとりで腰をおろすと両手で水をすくい喉を潤しました。

隣で水を汲んでいた若い女の人に、少年は『希望』とは何かと尋ねました。

女の人は言いました。

「なんて、難しい質問なのかしら。ちょっと待ってくれるかしら?」

 そういって、女の人はおもむろに足元の荷物の中から楽器を取り出しました。

弦がはられた古いその楽器を肩にのせ、女の人は演奏をはじめました。


 それはそれは素晴らしい旋律でした。

少年は聞き惚れ、『希望』がすぐそこにあるような、見えてきたような気がしました。

「私の『希望』はこれかしら。『希望』でもあり『夢』でもあるわ。

この音色で素晴らしい音楽を奏で、多くの人に喜んでもらえるようになることが私の『希望』なの」

 

 少年は気づきました。「希望」はとても個人的なものなのかもしれないということを。

人に聞いてもそれぞれ答えが違い、少女の求める『希望』とは異なるのだということも。

自分が見つけるしかないのだとわかった少年は、女の人に素晴らしい演奏で心が洗われたお礼を言うと、また、歩き始めました。


 「希望」を探す少年は、顔を曇らせたまま重い足取りで歩み続けました。

しばらく歩くと小さな村が見えてきました。村の入口で遊んでいた子供が少年に声をかけました。


「どうしてそんなに暗い顔してるの」

「探し物がみつからないんだよ」

少年はその男の子に答えました。

「困ったときは森の賢者に聞けばいいよ。北の黒い森に住んでるんだ」

「賢者がいるの?」

「そうだよ。村の皆は困ったときはいつも賢者に相談に行くよ。お兄ちゃんも探し物を手伝ってもらうといいよ」

 少年は、男の子にお礼を言うと、賢者に会いに行ってみることにしました。



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