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△ 第3話 ここが全ての始まりだった。

今回はあとがきの部分も本編として扱ってください。

お願いしますね。

「あ...あのぉ、あそこに猫ちゃんがいて...」

「ね、猫ちゃん?」


俺は女の人が指す方を見た、川の真ん中のところにある、大きな石の上に確かに子猫がいた。


「なんであんなとこにいるんだ?」

「多分上流から流されてきたんだと思います。体が濡れてますから」


確かに子猫は全身濡れていて、体を震わしていた。


「ちょっとやばくないですか?」

「はい。春とはいえまだまだ冷えますし、子猫は体力がないから、あのままだと命に関わってきます」


女の人はそう言うが川に降りようとしない。いや、降りれないの間違いだ。


俺たちが今立っているところと、川の底とでだいたい2m以上の段差だ。

たとえ降りたとしても女の人の身長と力じゃ無理だ。


じゃあ迷う必要なんかない。


俺は、靴と靴下を脱ぎ捨て、ズボンの裾を捲った。


「えっ?!」


女の人が何か言いかけたが、俺はそれを無視して川に降りた。

かなり冷たい。


冷たさを我慢しながら子猫のところにたどり着いた。


「おい、もう大丈夫だぞ」


と声をかけて、子猫を持ち上げた。

子猫が爪を立てて暴れる。すごく痛いが我慢して女の人の下までたどり着く。


「あの、先に子猫を持ってもらってもいいですか?」

「あ、はい。もちろん」


俺は先に子猫を上げてから、自分もよじ登った。

そしたら女の人が、


「あの、ありがとうございます」

「いえいえお礼を言われるほどじゃないですよ」

「それと大丈夫ですか?」

「はい。体力はある方なんで」


女の人が顔をしかめる。


「いや、そうじゃなくてね?」

「?」

「今から学校だよね?」

「あ...」

「...」

「...まぁ大丈夫ですよ」

「嘘だよね?」


バレちった☆


まぁどうせもう遅れてるし、遅れるならどれだけ遅れても変わらんだろ、

と思い俺は、


「いえ、本当に大丈夫ですよ」

「でも...」


女の人は何か言いかけたがもう何を言っても無駄だと判断したのだろう、すぐ口を閉じた。


俺はカバンの中からタオルを出して女の人に渡した。


「あの、これ猫ちゃんに使ってあげてください」

「え、でも、」

「いいんですいいんです。気にしないでください」

「...ありがとね?」

「はい」


そう言って女の人は子猫をタオルでくるんだ。


「あのぉ、その猫どうするんですか?」

「私の家で飼おうと思ってる。猫を飼ったことなら1回あるから」

「そうですか。お前良かったなぁ、ほんとにラッキーだぞ?」


てかこいつさっきから全然暴れてねぇな。この差はなんなんだちくしょー。


「あの...」

「はい?」

「お名前は?」

「あぁ、そういえばまだでしたね。僕は谷口修也って言います」

「私は鈴原彩花(すずはらあやか)って言うの。本当にありがとね」


そう言って笑った顔はとても美しかった。

見たところ20代後半、いや前半だな。

格好は紺のデニムに黒のフード付きパーカー。

こういうラフな格好、俺の性癖に突き刺さりまくるね。

しかもスタイル抜群。俺の目によるとFカップだな。

くそ、これで髪がロングのストレートだったらなぁ。

彩花さんは、ショートだった。

もしロングのストレートだったら、ここで愛の告白をするレベルにタイプだった。

しかも...


「スンスン」

「?...あのぉ、どうかた?」

「あぁ!いやすみません!俺の好きな柔軟剤のメーカーの匂いだったので」

「少し嗅いだだけでわかるの?」

「はい!これは[world]が2つ目の商品として出したものですよね!1個目のやつよりかは売上は上がりませんでしたが、僕はどっちも同じくらい好きなんですよ!それに[world]って凄いですよね!年季がほとんどないのに、その実力だけで他社を圧倒して、トップに経つんですから![world]に比べたら他のところなんて...はっ!」


俺は我に返った。

いくら[world]が好きだからって、初対面の人にこれはキモイだろ。ただでさえ引かれる事が多いのに。


「いや、あの、えぇっとぉ...」

「...」


いつまでも無言な彩花さんになんて言えばいいかわからず、迷っていたら、


「ぷっ...」

「え?」

「フフッ、ごめんね?すごい詳しいんだね」

「あ、え?」

「私も[world]大好きなんだぁ。これも何かの縁だと思うし、メルアドを教えて貰ってもいい?」

「え、あ、はい是非とも」


そしてメルアドを交換し、


「じゃあ私はこれで...」

「あ、はい。じゃあ僕もこれで」

「ねぇ、修也くん」

「はい?」

「また連絡してもいい?」

「はい。いつでもいいですよ」


彩花さんはその返事に対して、


「ありがとう」


と、眩しいくらいの笑顔でそう言った。


2人が別れて少ししたところで、


「見つけちゃったあ。理想の人♪」


彩花は誰にも聞こえないような声でそう呟いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでみました! 助けられた猫ちゃんが命の恩人である修也くんではなく、 彩花ちゃんに懐くところが可愛かったです! やっぱり猫と女子は相性最高ですよね! [気になる点] ヒロインの彩花ちゃん…
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