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救世主  作者: yurihana
2/7

集合

開いたグループ名は「お悩み相談所」。

しかしこのグループに入っている人は、誰かに相談するために入った訳じゃない。

このグループに入っているのは、自殺をしたいと思った人だけだ。

自殺という言葉をグループ名に入れると、親に見られたときに厄介だから、別の言葉にした。

ひょんなことから知り合った自殺志望者6人が、傷の舐め合いをしていると思ってくれればいい。

俺はこの6人には、自分のことをさらけ出せた。皮肉なことに、そのお陰で気が楽になり、今日まで自殺をしなかったと言えるだろう。


匠:なんか『救世主』?のせいで皆がおかしくなってる。みんなは無事?


すぐに既読がついた。


美久(みく):うん。でも吐きそう。匠今どこ?1人じゃ不安で。


健也(けんや):良かった。匠も美久も無事なんだな。とりあえず俺も会いたい。外は危なそうだし……。3年4組はどうだ? 廊下の真ん中にあるから。


匠:そうだな。


小花(こはな):了解!


春花(はるか):分かった!


(のぞむ):ラジャ


良かった。全員無事なようだ。

俺は3年4組に向かった。



3年4組には、俺と春花以外は既に着いていた。

「とりあえず、この6人が無事で良かった。なんだかんだで皆に一番気を許しているから」

こう言ったのは斎藤小花だ。背は小さいが、言いたいことはちゃんと言うタイプ。

「ごめんごめ~ん! もう皆揃ってるのね!」

「おい、静かにしろよ! 俺らの居場所を見つけられたら困るだろうが!」

「あんたもね」

加藤春花の大声を止めたのは森健也。そしてそれに突っ込んだのが美久だ。

渡辺美久の口調は基本的にきつい。だが、人一倍優しいことも知っているから、美久のことは苦手じゃない。

春花はいつも通りだ。うん、春花らしい。

「僕たちどうなるのかな?」

怯えながら、声に出したのは鈴木望。気が弱いけれど根性はある。

皆いい人達だ。俺が仲間に入っているのが不思議なくらい。


「これからどうする?」

健也が言った。

「どうするもなにも……。お父さんとお母さん、無事かなぁ」

小花が答えた。

「とりあえず状況を把握しよ。男子と女子でペアになって、学校の中がどうなってるか確認しようよ。まだ生き残ってる人がいるかもしれない」

美久の言葉に小花が反応した。

「やっぱり皆死んじゃったのかな」

小花は不安を声にのせて言った。俺も皆が死んでいて欲しくない。でもあの状態の健人が生きていると判断するのは無理があった。

皆は沈黙する。だが、春花がその沈黙を破った。

「まあまあ、暗いことを考えても仕方ないよ! とりあえず動かなきゃ!」

春花の意見に賛成し、俺たちは二人ずつに分かれた。

俺、渡辺美久は特別棟、つまり、いつも先生たちがいる場所を。

森健也、斎藤小花は教室棟を。

鈴木望、加藤春花は体育館や美術室などの特別教室を。

それぞれが調べることになった。



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